東京に約30発の化学弾頭を投下する金正恩の北朝鮮 ──都民は防毒マスクを購入・常備せよ、地下鉄は全駅員に支給せよ!

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筑波大学名誉教授  中 川 八 洋  

 安倍晋三は、さる4月13日、参議院外交防衛委員会で、「(日本に向けて発射される)北朝鮮の弾道ミサイルは、猛毒の神経ガス・サリンの弾頭を付けて発射する能力を有している可能性がある」と答弁した。これには驚いた。安倍晋三とは、“お馬鹿丸出し”よりもはるかにひどい“白痴”ではないか。こんなピントはずれの間違いをするようでは、安倍には日本国民の生命を守る能力などない。

※2017年4月22日に中川八洋掲示板のために執筆された記事を、再掲載したものです。

 「能力を有している可能性がある」とは何だ。対日用の北朝鮮ノドン弾道ミサイル約300基すべての弾頭には、核弾頭がまだ一発も装着されていないと仮定すれば、サリンかVXかの神経ガスが装填されている。それを、あろうことか「能力を有している可能性がある」とは、事実誤認も度が過ぎよう。実際にも、対日用に配備されている北朝鮮ノドン弾道ミサイル約300基すべて、僅かな数の核弾頭の他は、サリン弾頭かVX弾頭かである。

 安倍晋三のように、自国を標的として配備されている敵国兵器に関する基礎常識を欠く“スーパーお馬鹿”首相など、世界に類例がない。弾道ミサイルとは、核兵器か神経ガスの弾頭を付けるべく開発し配備している兵器。それを「能力を有している可能性がある」との謂いは、安倍晋三がこれまでノドン弾道ミサイルは空弾頭で日本に飛来して来ると思っていたということ。

 強盗にピストルやライフル銃を突きつけられて、それに弾は入っていない筈だと思い込む“スーパー白痴”が、安倍晋三の実像。こんな安倍晋三が首相でも、自分の命が守られると錯覚・妄想している日本人とは、虫けらと同レベル。日本人は、死に体の人間以下になってしまった。

対日用ノドン弾道ミサイル300基は、サリン弾頭が200基、VX弾頭が95基、核弾頭が5基と仮定

 対日用のノドン弾道ミサイルは、現在、約300基ある。ノドン弾道ミサイルを搭載するTELランチャー(備考)でいえば約60車輛だが、その後ろに予備を2基づつ搭載している運搬車両が2輌随伴しており、一ランチャー当り5基発射するシステムで最小部隊が編成されているようだ。5基×60ランチャー=300基である。    (備考) transporter-erector-launcherの頭文字。

 現時点、ノドン弾道ミサイル300基の弾頭は、過半数がサリンの神経ガス、残りがVXの神経ガスである。もし、ノドン・ミサイルの直径1.35メートル以内で重量(ペイロード)1000㎏前後に核兵器が小型化されていれば、それはミサイルに装填できる核弾頭となっている。ノドン核弾頭の核爆発威力を仮に12kt(キロトン)とすれば、それは広島原爆13.5ktとほぼ同じである。

 そこで、現在のノドン300基の弾頭について、サリン弾頭が200基、VX弾頭が95基、核弾頭が5基だと仮定しよう。次に、このうち東京に投下するノドン・ミサイルを30基と仮定し、その内訳をサリン弾頭が20基、VX弾頭が8基、核弾頭が2と仮定する。この蓋然性の高い現実的な仮定数字に立脚すると、このような数字をいっさい知らない安倍晋三政権とは国民防護を真剣に考えたことが一度もない内閣である現実を一目瞭然に抉り出してくれる。

 安倍晋三の真の問題は、醸し出すムードとは裏腹な“極端な反・国防主義”が信条である事に加え、今日明日の人気(平時の有権者の選挙投票行動)には関心はあっても、人格の冷酷非情さと複合した、有事や国民の命などには寸分の関心もない問題。

 対日用ノドン弾道ミサイルが1994年頃に実戦配備されてから既に二十年以上が経った。この間の政権、つまり細川護熙以降の、安倍晋三以前の数々の政権も、まったくの無為無策だった。だからと言って、安倍晋三がいま、自分が無為無策であること(前例踏襲)を正当化できると考えているとすれば、大間違いである。

 1994年頃に配備が開始された時は、ノドンは僅か4~6基だった。だが、今や300基となった。また、1994年頃のノドンの命中精度はCEP(備考)で2000メートルぐらいだった。が、今や200メートル前後と、精度は十倍にも向上した。ノドン全基が発射されても、1994年時点では、日本人死者は数万人規模がせいぜいだった。これに比して、今では、東京はむろん大阪・名古屋・福岡など大都市はことごとく大量攻撃されるようになり、ノドンの核弾頭やVX弾頭で、最大数を推定すれば、日本人2000万人ほどが殺戮される。しかも、今後ますます、ノドン・ミサイル基数が急増するだけでなく、サリン弾頭が核弾頭に入れ替わっていくので、この2000万人は増加する一方。    (備考) CEPとは、circular error probabilityのこと。「平均誤差半径」と訳す。

 要は、安倍晋三の無為無策とは、2000万人の生命を防護できるのに、それをしない異常性にある。安倍晋三は、保護責任者の意図的な保護放棄と同種の、北朝鮮のノドン「対日」大規模攻撃の、事実上の共犯者となっている。安倍晋三は、無意識であれ、日本国民を大量殺戮する悪魔の仕業に専念している。

 満洲の一般邦人155万人を、1945~6年に侵攻したロシア兵に皆殺しさせることを計画して、1939年のノモンハン戦争の直前頃からスターリンと通謀しながら、(コミュニスト参謀たちが完全占拠していた)帝国陸軍参謀本部と関東軍総参謀部は、満洲の関東軍の正規師団を(対ソ戦の能力を削ぐため)1943年夏から1944年にかけて一つ残らず満洲外におっ放り出した。

 1945~6年、米国と蒋介石の尽力によって満洲一般邦人102万人がようやく帰還でき、ロシア兵や満洲の支那人に殺された我が邦人被害者は(シベリアに連行された一般邦人男性を含み)約55万人で済んだ。婦女子が半分を占める55万人という邦人被害は、元を辿れば、帝国陸軍内に増殖した赤いエリート軍人の自国民殺戮プランの被害者たちだった。権力を掌握した共産主義者日本人による一般日本人大量殺戮が、祖国反逆大東亜戦争という悪魔の戦争のトップ目的だった。

 北朝鮮のノドンによる対日核攻撃が現実となってもなお、安倍晋三を始め、異常な対ノドン無為無策が日本政府の基本政策となっているのは、大東亜戦争という赤色エリート陸軍軍人のなした“世紀の大犯罪”「自国民である満洲邦人皆殺しプラン」を継承しているからである。だが一億日本人の誰も、これほどの日本国民の無防備情況に対し、戦慄もしない、危険の感得もできない。

 日本人から愛国心はもとより、知も倫理道徳も消えてしまった。動物化した日本人の群れは、安倍晋三総理の周辺を固めた共産党員官僚の共産革命プラン「働き方改革」とか「天皇制廃止」とかの、刹那的享楽ごっこ気分の共産化革命行政で、ただ奈落へと狂乱するばかりである。国家は、ローマ帝国のごとく、国民が阿波踊りのお祭り騒ぎをしている中で、滅んでいくのである。

安倍内閣「国民保護ポータルサイト」は、(北朝鮮と通謀し)日本人大量殺戮を狙う日本人無防備作戦

 刹那的享楽に現を抜かして、自らの生命&財産を守ろうともしない日本人の劣化・動物化は、頭上に降り注ぐサリン弾頭やVX弾頭にもいっさい無関心の、堕落と腐敗を極める日本人の現実において、端的に明白だろう。

 例えば、3月17日に秋田県男鹿半島で、ノドン・ミサイル攻撃を想定した避難訓練が行われた。安倍内閣が主導した、この初の対ノドン避難訓練は、北朝鮮ノドン・ミサイルがさもサリンやVXの弾頭を搭載していないかに日本国民を誑かし騙すことを目的としたもの。つまり、日本人を大量殺戮することを目的とした擬装避難訓練である。

 安倍政権の中枢たる内閣官房は、実は、共産党員官僚と北朝鮮人官僚しかいない。北朝鮮と打ち合わせたのか、北朝鮮の対日戦略目的を忖度したのか、いずれであれ、ノドン・ミサイルの攻撃下で日本人がより多く死ぬように、この逆立ち避難訓練を実施した。

 内閣官房の担当大臣である官房長官の菅義偉とは、法政大学夜間部在学中、共産党に入党していた札付きの共産主義者である。菅義偉の、日本人への憎悪は半端ではない。かつて参謀本部作戦部を牛耳り自国民殺戮に狂奔した帝国陸軍の赤いエリート軍人の“究極の反日”は、今も霞が関の中枢に巣喰うコミュニスト官僚群に引き継がれている。

 話を戻す。秋田県男鹿半島の逆立ち避難訓練の概要は、次の通り。

 北陽小学校の44人の児童は、防災行政無線の避難指示で、教員に引率されて体育館に駆け込んだ。次に、集落の神社やバス停留所にいた高齢者60人が公民館に駆け込んだ。子供たちに死への道を選択する自殺行為を叩きこむとは、何という残虐非道な逆立ち避難訓練であろうか。

 なぜなら、この訓練は、ノドン・ミサイル弾頭が空自のパトリオットで迎撃された場合の破片から身を防護するというもの。だが有事に、空自に僅かしかないパトリオットが秋田県に配備される可能性は全くない。また時速数万㎞で着弾するその一分前に迎撃するから、パトリオットの20㎞圏内の地点でない限り、パトリオットの恩恵に預かれない。

 しかも、仮に弾頭が迎撃され破片が落下してきたとしても、そのスピードは時速数万㎞だから、体育館や公民館の屋根をつき破る。頑丈な防空壕的な鉄筋コンクリートでない以上、何の意味もない。また弾頭がサリンやVXの場合、密閉された体育館や公民館であれば、より人体に呼吸され易くなる。屋外の方が、神経ガスが拡散されているし、風があればそれを吹き飛ばすから、はるかに安全。

 サリンやVXの気体比重は重く、地面に這うように地表に沈下している。1995年の地下鉄サリン事件で被害者数が拡大したのは、まだフラフラしているだけの/気分がすぐれないだけの乗客を、まだ元気だった駅員が、あろうことか地下のプラットフォームに寝かせたからだ。

 表1にあるように、サリンの対空気比重は4.86、VXは9.25。地下鉄での毒ガス攻撃で命を救う方法は、ひたすら急いで地上に逃げる/地上に誘導すること。しかし、この化学イロハを地下鉄駅員に教えていないだけでなく、悪魔の共産党と朝日新聞によって刷り込まれた、日頃の日本人の異常な軍事知識アレルギーが、1995年地下鉄サリン事件の被害者数を不必要に増大させたのである。

 イスラエルやスイスのように、全国の小学校一年生に入学したら直ぐ軍用防毒マスクの着脱訓練をし、化学兵器の基礎知識を教える方が、人間的(ヒューマニズム)教育である。これこそが正しい“国民防護population protection”である。だが日本では、悪魔すらたじろぐ残虐非道で非人間の党員が構成員の共産党と社会党とが戦後一貫してソ連軍の対日侵略を無血勝利にしてあげるべく、化学兵器に対する防毒マスク反対運動や核シェルター反対運動を行ってきた。これは今も続いている。

表1;化学兵器が着弾したら、ビルの屋上に駆け上がれ!木に登れ!

(出典は、注1)  

 安倍晋三の内閣官房がインターネットに出している「弾道ミサイル落下時の行動について」は、全て逆さまになっている。共産党員や北朝鮮人官僚しかいない内閣官房は、次のように書いて、ヒトラーのガス室ユダヤ人殺戮を真似て、日本人を大量殺戮したい究極の対日憎悪感情を剥きだしに、この「弾道ミサイル落下時の行動について」を政府広報にした。        

表2;日本人の大量殺戮を狙う殺人鬼内閣官房「国民保護ポータルサイト」

 サリンもVXも、比重が空気より数倍から10倍も重い。このため、これら殺人液体は、霧状となって地表にべったり張り付くし、地下があればより深い地下へと這うように下がっていく。ノドンが着弾した後、生きていれば、そして核爆弾でなければ、100%サリン or VXだから、ひたすら風上に&高い所へと逃げれば、そのぶん安全は鰻登りに高くなる。軍用神経剤サリン/VXの純度は、地下鉄サリン(1995年)や金正男殺害VX(2017年)のような不純物が九割を超えるものとは異なる。生きたければ、“地下街に入るな!地面に伏せるな!風が吹き込まない窓のない部屋から飛び出せ!”が絶対基本。  

 さて、この医学的な常識において、安倍内閣の内閣官房が国民に広報した表2をもう一度読んでみて欲しい。逆さになっているのが瀝然としていよう。ノドンが着弾する地域では、ノドン弾頭の破片に当る確率は、宝くじ5億円に当たる確率よりはるかに低い。しかし、ノドン弾頭のサリンやVXに晒され皮膚に付着する確率は、雨の日に雨に濡れる確率と同じである。

 共産党員官僚と北朝鮮人官僚が跋扈する“悪魔の内閣官房”は、日本人を大量に殺戮したいと考えるまさしく「テロリスト達」であり、かつ共謀しているから、共謀罪の(施行と同時に)適用第一号で、「弾道ミサイル落下時の行動について」に関わった数名の官僚とそのボス菅義偉を直ちに逮捕しなければならない。菅義偉・官房長官の顔をテレビで見たら、彼こそ真赤な嘘の表2の責任者だから、すぐさま“菅義偉は、大量殺人願望の殺人鬼(予備)だ!”と正確に把握し断罪してこそ、科学と刑法に適う真正の知性というものだ。いや、知性以前の、人間としての当然の正常な行動である。

日本人よ、ガスマスクを直ぐ購入し常備せよ──「防災より、防護は数万倍優先する」を胸に刻め!

 もし、安倍総理の内閣官房が本心から国民防護を考えていれば、「ガスマスクを購入して常備しておくよう」指導するだろう。だが、内閣官房の「国民保護ポータルサイト」は、「口と鼻をハンカチで覆い・・・」と、子供騙しの戯言を述べている。

 サリンやVXがハンカチで防げる、そんな魔法のハンカチがあるなら、日本人憎悪狂のコミュニスト菅義偉よ、国民に見せるべきだ。また、このハンカチを握っている手に、サリンやVXは付着しないと内閣官房は主張していることになるが、日本人憎悪狂のコミュニスト菅義偉よ、その科学的理由と根拠を是非とも説明せよ!  

 安倍晋三の内閣官房が本心から、北朝鮮のノドン・ミサイル攻撃から日本国民の生命を守りたいと考えているのならば、非兵器non-weaponによる消極防御passive defenseの“要”「ガスマスク/防護服/核シェルター(「対NBCシェルター」のこと)/教本」の購入・設置を呼び掛けているだろう。だが、安倍晋三の内閣官房とは、日本人の大量殺戮に狂奔する“敵国・北朝鮮の東京支局”である。このような呼びかけを一度もしたことがない。  

 ガスマスクや防護服は、例えば、重松製作所のがある。重松製作所が販売している、二万円前後の製品がサリンやVXに対しどれほどの防護能力があるかにつき実験データのチェックをしていないが、それらを身に着けていない時と比較すれば、天と地の差異がある事だけは間違いなかろう。防護服が無い者は、台所にある食器洗剤洗い時のゴム手袋をし、またスーパーマーケットの大きなレジ袋を頭からすっぽりかぶり空気が外から入らないように首のあたりで縛ると良い。二分以内なら窒息しないし、二分間あれば、ビルの屋上に避難できる。  

 サリンの場合は、高台やビルの屋上に逃げる時間を稼げればいいのだから、ガスマスクは30分ほど有効であれば充分。VXの場合は、ノドンが着弾した地域には三週間は戻れないから、一気に風上に向かって遠隔地に逃げなければならない。ケースによるが、ガスマスクをかぶり防護服を着て一時間ほど走れれば、安全地帯に何とか辿り着けるだろう。防護服は、インターネットで買える。

 「教本」と言えば、ニューヨークの医師アンジェロ・アクィスタの『生物・化学・核テロから身を守る方法』などが簡便である(注2)。専門的な知識をもう少し知っておきたい向きには、杜祖健/井上尚英の『化学・生物兵器概論』(注1)を薦める。政府や地方公共団体の担当者は、このほか、行政がやるべきことが明示されている『民間防衛』(注3)が必読である。

 特に、この『民間防衛』が中央官庁と地方自治体で読まれるべき理由は、もう一つある。共産党は名著『民間防衛』を蛇蝎のように排撃するから、誰が(日本国民を大量殺戮したい悪魔の)共産党員公務員かを炙り出せる。

兵器による積極防御active defense、及び兵器による消極防御passive defense

 北朝鮮のノドン弾道ミサイルの化学弾頭と核弾頭から、日本国民の生命を防護する方法は、図1のように分類される。  

図1;ノドン弾道ミサイル問題で、積極防御をしない/ガスマスク普及も妨害する“逆立ち安倍政権”  

 「積極防御」について、国会議員の中に、対日用のノドン・ミサイルに対する先制攻撃preemptive strikeによる発射前破壊の必要性を主張している正常な日本人が僅かだがいる。例えば、3月30日、自民党の有志は、安倍政府に、「敵基地攻撃能力の保持」についての要望書を提出した。

 だが、これほど緊急性があり、また国民の生命を守るにこれほど正しい行政すら、政府・国会のアジェンダに上ることがない。日本人を皆殺しにしたい、少なくとも不幸のどん底に陥れたい朝日新聞や霞が関の共産党員官僚に洗脳されて、アパシー化する日本人は、とうとう動物以下/虫けら並みに劣化してしまった。  

 なお、図1の「核シェルター」につき附記。核シェルターと通常呼ばれる「対NBCシェルター」についても、ガスマスク同様、国民広くに普及させねばならない。NBCとは、「nuclear核/biological生物・細菌/chemical化学」の頭文字を採ったもの。日本でも、多少のメーカーがある。アースシフト社の商品名「ソトチカ」とか、織部精機製作所の核シェルターなどがある。

 織部のは、「サリン、炭疽菌、VX」を除去するスイス製の空気洗浄器がついており、これなら化学弾頭のノドン・ミサイルには有効である。シェルター設置費込みでの、この販売価格がいくらかは知らないが、多少の広さの庭を持つ在東京の裕福な者が500名ほど一斉に購入・設置すれば、コストは一気に半額以下になる。金持ちは、この責任を果たすべきである。庭付き一戸建てで金銭的な余裕のある東京人は、隗より始めよで、織部精機製作所の対NBCシェルターを直ちに購入設置し、小池百合子・都知事の行政を動かし、東京都民を守る先達の道を選択すべきである。

陸上自衛隊の化学除染能力を百倍に増強しなければ、対ノドン自衛隊基地&戦力防護は不可能

 さて、問題は、自衛隊の化学除染部隊が余りに貧弱で、ノドン・ミサイル300基の対応に全く不足している事であろう。ノドン・ミサイルが全基発射されるのが有事であり、この想定において、スタンダード・ミサイル3とパトリオットPAC3ミサイルによって六割迎撃できたとすれば、日本列島とくに大都市部に着弾するのは四割の120基である。先述の仮定に従えば、「サリン弾頭が80基、VX弾頭が38基、核弾頭が2基」となる。

 これに対して、現在の陸上自衛隊化学科所属の特殊武器防護隊の、装輪装甲のNC防護車/NBC偵察車や除染車および人員が十分か否かを、安倍内閣が検討したことは一度もない。六輪装輪装甲のNC防護車(「偵察車」)は1985~2009年の生産でたった47輌。八輪のNBC偵察車は2010年からの配備で、現時点でたった19輌しかない。

 仮にNC防護車がまだ半分使用されているとして、総計でも僅か50輌に満たない。最も重要な働きをする(大型トラック改造の)除染車が何輌あるか私は知らないが、各師団に配属されているNBC部隊は一ヶ小隊程度の人員しかないから、有事には自分の師団基地の除染すらままならないはず。  

 つまり、有事に敵の化学弾頭が集中的に投下される空自の空軍基地や海自の軍港の除染すら、このような小規模にすぎる陸自NBC部隊では、救援に駆け付けることすらほとんどできない。航空自衛隊は、三沢や小松など各空軍基地に大規模なNBC除染部隊を常に配置しておかねばならないが、未確認だが、どうもほぼゼロらしい。もしそうなら、私は、唖然として声も出ない。

 三自衛隊全体で、“NBC偵察車を現在の十倍、除染車と除染部隊を現在の百倍ぐらい”にしないと、日本列島の地表に着弾する「サリン弾頭が80基、VX弾頭が38基、核弾頭が2基」に対処できないはず。だが、安倍晋三よ、内閣官房にある日本版NSC(国家安全保障局)は、なぜこの計算をしないのか。反・国防主義の安倍晋三にとって、北朝鮮人・谷内正太郎が局長を務める日本版NSCは、安倍晋三の外交を派手に演出する“外交プレイアップ芸能事務所”で、“国家安全保障”などは初めから積極的に排除している。安倍が肝いりで創った日本版NSCは、“国家安全保障”とは全く無関係なトンデモ組織に過ぎない。

 さて、問題は、地方自治体である。有事には、各都道府県知事が(都道府県ごとに)国民の生命保護を一手に引き受け全責任を持つ最高命令権者である。つまり、ノドン・ミサイルのサリンやVXから国民の生命を守る国民防護は、各都道府県の地方公共団体が果たすべき一義的な責務である。各都道府県の知事こそは、NBC偵察車と除染車と除染部隊職員ならびにNBC救急医師団・病院を準備する最高責任者である。

 そこで、小池百合子・都知事に尋ねる。前述した「東京へのノドン攻撃を30基。その内訳はサリン弾頭が20基、VX弾頭が8基、核弾頭が2」の仮定に対して、東京都はNBC偵察車を何輌配備しているのか。除染車は何輌保有しているのか。東京消防庁にNBC除染職員は何名いるのか。東京都内のどの病院とどの医師がNBC救急医師団・病院に指定されているのか。また、なぜ東京都は公共の核シェルターを建設しないのか。

 国民の生命防護を優先しない地方行政などあり得ない。四十七都道府県が一斉にNBC偵察車(メーカーは小松製作所)や除染車(いすゞ自動車の大型トラックを転用)を購入すれば、現在、自衛隊に納品している価格の三分の一以下になるだろうから、決して高くはない。

 これ等の準備をすべき全責任を持つ地方自治体が、この責任から逃避している現状は、彼らは国民を遺棄することをすでに決定しているからである。1945年、日本陸軍の関東軍が、満洲における邦人155万人を「レイプ自由/殺戮自由/重労働自由だ」とロシア兵に餌食として差し出したが、この悪魔の仕業の関東軍と同じことを、今、都道府県の知事は平然と繰り返している。だが、平成の日本人は、この究極の非人間的な行政に怒ることもない。そればかりか関心すらない。日本人は精神において既に死んでいる。日本国は精神において既に滅んでいる。

日本自ら率先して北朝鮮のノドン・ミサイルを先制攻撃し、国民の命を守るのが国家だ

 米国トランプ大統領は、今、北朝鮮の核実験場や寧辺の遠心分離工場/プルトニウム生産工場を、非核のトマホークで破壊しようか否かと思案しており、どうやら決断が下せないでいる。これでは、1994年のクリントン大統領の愚かな躊躇いの繰り返しではないか。

 ならず者国家を抑制・懲罰したいならば、また近未来の最悪な惨状を回避するには、今すぐ、軍事的決行以外の策は存在しない。このことは、1930年代の英国で、ヒトラー・ドイツに対する対外政策に絡み、チェンバレン等に反駁するウィンストン・チャーチルの炯眼演説において十全に証明された歴史の教訓ではないか。

 米国が1994年、対北・核施設破壊を断念したのは、“韓国一の臆病男”金泳三大統領がクリントンに「やめてくれ!」「ソウルが火の海になる」と泣きこんだことが主因である。今般は、金泳三のようなピント外れの妄想野郎は韓国にいないが、二十三年前とは比較にならないぐらい北朝鮮の軍事力が格段に強化されてしまった情況(ジレンマ)に米韓両国は陥っている。だが、1994年の時とほぼ酷似して、北朝鮮の独裁体制が米国のトマホーク攻撃で瞬時に崩壊する確率の方がはるかに高い。トランプ大統領は、自らの勘をもっと信用し、日頃の直情径行癖を大いに発揮する時だろう。

 このトランプの逡巡よりも、情けないのは日本である。1994年の時点では、ノドン・ミサイルは4~6基しか生産されていなかった。命中精度も悪かった。ロシアは、ソ連邦の崩壊直後でいっさいの対外行動に出るどころでなかった。中共は、ソ連崩壊の余波で、世界に媚を売って共産党独裁政権をやっと維持することだけで精いっぱいだった。

 1994年春、日本こそが音頭をとって、クリントンの対北攻撃を決断させるべき役割を果たすべきであった。だが、この時、日本の不幸は、辞任寸前であった“共産主義シンパ”細川護熙が日本の総理であった。金泳三と細川護熙の二人が、日韓がともに完全な安全圏にいるのに、また日韓は北朝鮮が叩きつぶされる光景を物見遊山で見学できたのに、この好機を自ら逆に叩き潰したのである。

 さて翻って2017年の今、トランプ大統領に対してどうプッシュするかが、日本の今後の生存と平和の岐路となろう。安倍晋三がもし歴史に範を求めるならば、1933年から1938年10月までの(人類史に燦然と輝く)チャーチルの偉大な対ヒトラー・ドイツ政策提言であろう。また、1994年春、クリントンの対北攻撃を、自分の個人的な恐怖心と怯懦から断念に誘導した金泳三の愚行もまた、反面教師として安倍晋三が拳々服膺すべき歴史の教訓であろう。

(2017年4月22日記)

 

注  

1、杜祖健/井上尚英『化学・生物兵器概論』、じほう。27~9頁。  

2、アンジェロ・アクィスタ『生物・化学・核テロから身を守る方法』、草思社。井上尚英『生物兵器と化学兵器』、中公新書、も役に立つ。  

3、スイス政府編『民間防衛(国民防護)』、原書房。

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