筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
「侵略者(ロシア)が敗北するまでは、(ウクライナ人の)誰も、そしてどこでも安心することはできない。世界にとっても、《ロシアの敗北》以外の目標はあり得ない。この目標以外のことは《人命の損失》であり、《権利の損失》であり、《平和の損失》である」(ゼレンスキー大統領、2023年4月26日)。
(本稿は、「岸田の広島G7サミット」批判の第二弾。まぐまぐに投稿した第一弾(2023年5月26日配信)と共に読まれたい)
5月21日夕方のゼレンスキーとの会談で、岸田首相は、陸自の車輛百台をウクライナに供与する旨を伝えた。翌22日の朝、この百台が「ジープ(1/2トン・トラック)/大型ジープ(高機動車)/キャタピラ式小型ダンプカー(資材運搬車)」だと聞いて、「ふざけるな、岸田!」の悪態が思わず口に出た。
これら車輛は、陸軍の通常の武器ではない。いわゆる軍民共用の一般車輌。今、ウクライナが欲しているのは、戦車や多連装ロケット機やミサイル&ドローン迎撃の防空兵器や歩兵戦闘車など。この真面な武器の方は、岸田文雄は一輌すらウクライナに渡そうとはしない。岸田文雄には同情する感情も道徳がない。岸田はやはり正常な人間ではない。
つまり、道徳と知を喪失している岸田文雄は、日本の戦車や多連装ロケット機やミサイル&ドローン迎撃の防空兵器や歩兵戦闘車などが、これからのウクライナの反転攻勢に不可欠なのが、全く理解できない。これ等の武器が不足しては、反転攻勢するウクライナ側の人的損害は、一気に五万人どころではなく、十万人のラインを超える可能性も高い。岸田文雄の反軍思想に汚染された非・武器(軍民共用車輛)提供主義は、侵略被害国のウクライナに、“もっと死ね!”と罵声を浴びせているのと同じではないか。ウクライナ人の生命を軽んじる岸田文雄とは、ほとんど悪魔に近い。
これから始まるウクライナ反転攻勢は、1939年9月1日開戦のドイツの対ポーランド電撃侵攻とは真逆になる。類似の戦史を訪ねれば、第一次世界大戦において、仏軍の方がドイツの電撃侵攻軍をマルヌ川河畔(パリの東部)で食い止めたため、パリ占領を阻止されたドイツ軍の電撃侵攻作戦失敗に似た様相を示すかも知れない。
1914年9月のマルヌ会戦でのドイツの電撃侵攻失敗が、その後の第一次世界大戦を永く続く陰惨な戦争にした。ウクライナ総司令官ザルジニーが、失敗しなかっただろうシュリーフェン(元帥、伯爵)であって欲しい。失敗した小モルトケに万が一にもならないよう、祈るばかりである。
私の試算だが、ウクライナ陸軍の兵器・弾薬の量は、ノンストップ進撃で展開する通常の反転攻勢に必要な量の三分の一程度しかない。ザポリージャ州のメリトポリあたりで、退却はしないが進撃が阻止され“睨みあい膠着”に陥る事態が懸念される。このケースに陥れば、戦況は一気に、ロ烏戦争は、何年も勝利が来ない最悪のドロヌマ塹壕戦へと変貌する。
“岸田文雄の“非戦闘車たった百台&三桁まちがい三万食”供与は“英雄”ウ国への侮辱の極み──「10式戦車百輌/多連装ロケット全て/日本版ゲパルト五十基/歩兵戦闘車六十輌」を供与し、日本は“義勇に反する反道徳”から脱却しよう” の続きを読む