筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
1954年12月上旬の吉田茂の総理退陣は、日本の安全保障環境を劇的に悪化させた。親日のGHQの誠心誠意の努力によって、(大東亜戦争中ずっと)ロシアに奪われていた日本の主権を、戦後日本は勝海舟の1861年対馬奪還と同程度に取り戻すことができた。なのに、“親ロ狂”鳩山一郎は、“日本は対ロ奴隷国であるべき”主義の、近衛文麿の暗黒時代に日本を引き戻したからだ。
具体的には、ロシアと“ロシア狂徒”日本共産員が牛耳る朝日新聞その他の対ロ売国マスメディアが大キャンペーンして日本人を洗脳し、これらロシア“共謀者”が人為的に醸成した鳩山一郎“大ブーム”に乗っかり、鳩山一郎が、北方四島“対ロ献上”に大暴走を開始したからだ。それが組閣後最初の記者会見での鳩山一郎の意味不明な大妄想の宣言、「ソ連と国交を回復して第三次世界大戦を回避したい」である。真面な日本人の多くは、エッと、我が耳を疑い絶句した。
実際にも、日本の対ソ国交回復がソ連の軍事力を増強させ、北ベトナムに南ベトナムを強奪させるベトナム戦争の勃発となった。また、キューバへの核弾道ミサイルの搬入・設置も、日米分断の働きを有する日ソ国交回復でソ連が勢いづいた側面は無視できない。北方領土“奪還”無き日ソ国交回復こそ、ソ連の世界制覇への野望をより燃え立たせたのである。
上記の鳩山一郎の、火星人発想は、孫の鳩山由紀夫が受け継ぎ、由紀夫は2009年に総理になるや、意味不明の火星人妄想語を連発。鳩山由紀夫は、2010年に総理を辞任した後も、祖父・鳩山一郎譲りの火星人妄想語に歯止めがかからず、2022年2月のロシアのウクライナ侵略戦争が起きると、ロシア大使館に頻繁に出向き、「ロシアよ、侵略に勝て!勝て!ウクライナ人など殺せ!殺せ!」と、大はしゃぎ。鳩山一郎がなした、“ロシアの北方領土《侵略》”に歓喜する反・正義の対ロ交渉の狂気は、孫・鳩山由紀夫を観察すれば、その核心が浮かび上がってくる。
鳩山由紀夫の火星語に、鈴木宗男と佐藤優以外の一億日本人は総スカンだが、由紀夫は、カエルの顔に・・・・のことわざ通りに、自分への嘲笑や非難を一向に気に掛けない。同じく、鳩山一郎も、吉田茂の自由党の国会議員と吉田茂系の(外務省の多数を占めていた)外務官僚(外交官)が、こぞって猛反対する対ロ交渉・対ロ国交回復をフンと無視して、まったく痛痒も感じなかった。反共反ロで親日の米国ダレス国務長官は、鳩山一郎に怒髪天を衝いて怒ったが、鳩山一郎は、これすら足蹴した。鳩山一郎は、“ロシア大好き売国奴”後藤新平の生れ変りだから、日本の国益を害する対ロ“国交回復”と対ロ“北方四島”献上を強行した。
これは、ロシアや日本共産党とがっちりスクラム組む鳩山一郎が、親ロ反米路線に舵を切ったことに他ならず、(日本の正しい親米反ロ政策を積み重ねてきた)マッカーサー・吉田路線を、ごみ焼却場に投げ捨てたことを意味する。1945年9月2日に開庁した(親日と言うより)“愛日”マッカーサー元帥のGHQが七年間弱、“反共・反ロ・反ナチ・親英米・大東亜戦争否定”に立脚される昭和天皇のご聖旨に沿って取り組んできた日本国再建を、対ロ売国奴・鳩山一郎は全否定し、破壊した。
“国際法が守る《日本の北方領土》──北方四島“無血進駐”は陸自駐屯地の国内移動” の続きを読む