筑波大学名誉教授 中川八洋
北朝鮮の“血塗られた殺人狂”金正恩は(附記)、さる2017年6月7日、次の声明を発した。日頃ブラフばかりがほとんどの北朝鮮・金正恩の言動などいつも「笑止」と聞き流すのだが、稀有にも本音(実際の対日弾道ミサイル戦争計画)を洩らしたこの声明には、私も珍しく襟を正して、「北朝鮮が日本に対し核弾頭を含むVX/サリン弾頭を五百発前後ぶち込む現実が、とうとう近づいてきたな」と、素直に実感した。この声明とは、次の内容(8日付け「朝鮮中央通信」)。
※2017年6月12日に中川八洋掲示板のために執筆された記事を、再掲載したものです。
「いったん有事の際、米国より先に日本列島が丸ごと焦土化されかねないということを認識すべきである」
「日本は、無慈悲な我々の不敗の核戦力の前で、島国の運命をもって危険極まりない賭博をしていけない(=北朝鮮が対日開戦する前に無条件降伏を選択する方針を、日本は早く決めたらどうだ)」
VX・サリン弾頭には、風上に走れ!木に登れ!高層ビル屋上を目指せ!地下から飛び出せ!
この声明の内容分析は後述する。まずは、住民を大量殺害したい犯意なしにはできない、新潟県燕市が6月12日午前におこなった奇妙奇天烈な避難訓練状況を、報道写真から垣間見てみてみよう。この写真では、老婆が道路に廃棄されたマンホールに、また数名が田畑の用水路の蓋の下に潜りこんでいた(『新潟日報』)。唖然とした。避難として逆さまの自殺行動だからだ。
北朝鮮は、燕市に核弾頭搭載ムスダン・ミサイルをロフト軌道で撃つことはないが、新潟市に着弾する予定の化学弾頭ノドンミサイルがコースを逸れて燕市に着弾することならありうる。つまり、これを想定したのなら蓋然性はある。そして(防毒マスクや防護服を着ていない者が)化学弾頭から死を逃れたいなら、風上に向かって走るか、高いところに上るか、のいずれかしか方法はない。
北朝鮮は、日本に向けて撃つ弾道ミサイルとして既に500基前後を展開し終えた。それらすべては、核弾頭、VX・サリン・タブン等の化学弾頭、そして炭疽菌芽胞・天然痘・ペスト菌などの細菌弾頭のいずれが搭載されており、空弾頭など一基もない。当たり前の話。
弾道ミサイルは、核弾頭/化学弾頭/細菌弾頭の運搬手段として開発生産したのである。ところが、日本では、「北朝鮮はこれ等を搭載しない」との真赤な嘘(妄想)の偽情報が結果的に広く流されている。乗客を一人も載せない計画で新幹線を敷設するなど決してないことは、五歳児ですら自明である。同様に、「核弾頭/化学弾頭/細菌弾頭を搭載していない弾道ミサイルは、一基も日本に飛来してこない」ことも、自明以上に自明ではないか。
しかも、北朝鮮は、国民のほとんどに食うや食わずの極貧を強いて、一部には餓死を強いて、人口二千万人の小国ではあり得ない巨大な量の弾道ミサイル体系を保有するに至ったのである。これを使用しない/これを日本に向けて発射しない“場合”など、万が一にもおこり得ないことぐらい、世界万人が共通している常識中の常識。だから、燕市も、この弾道ミサイルの飛来・着弾を想定して、その避難訓練をしたのではないか。
だが鈴木力・市長は、明らかに狂気の妄想領域にいて、この着弾する弾道ミサイルの弾頭の中は“空っぽ”だ、と決めつけている。弾頭の外郭金属の破片が飛び散るだけだと、決めつけている。
もし鈴木力が精神病院から脱走してきた狂人でなく正常であるとするなら、燕市長とは市民をVXやサリンで大量殺戮しようと計画していることになる。エアロゾル化したVXやサリンは比重が重く、地表にべったり張り付くように地上を“下に、下に”と動いていく。だから、窪みや地下の穴倉は最も危険であり、助かる可能性を求めるならば、ひたすら高いところ、風上方向に逃げるのが唯一の方策。
鈴木力がなすべきは、NBC偵察車(一輛)/除染車(三輌)を常備し、防毒マスクを住民に購入させる
都道府県知事や市町村長は、災害や戦争から住民の生命防護に一義的責任を有する。政府は国家と国土の防衛に責任を有する。だが、安倍晋三の政府は、この国防の責務を果たそうとはしない。現に、日本に投射されるノドン、スカッドER、ロフト軌道でのムスダンと火星12号を先制的に破壊する敵弾道ミサイルの発射前撃破を行う兵器を購入しようとは決してしない。
そして、海自のスタンダード・ミサイル3や、空自のパトリオットPAC3は、それぞれのミサイルの実験迎撃率を80%/90%と仮定しても、北朝鮮の凄まじい量のミサイル同時攻撃の現実が実際の有事である以上、動画で発表したように、日鮮間戦争での実際の迎撃率はそれぞれ「20%以下」「4%以下」で、ほんの少し迎撃できるに過ぎない。
しかも、内閣官房がインターネットに出している『弾道ミサイル落下時の行動について』(国民保護ポータルサイト)は、日本国民の過半が核弾頭や化学弾頭あるいは細菌弾頭で阿鼻叫喚の中で殺戮されるように、意図的に、逆さの真赤な嘘ばかりを書いて、その方向への洗脳を成している。ユダヤ人をガス室で殺戮すべくアウシュビッツに騙して強制連行したやり方が踏襲されている。安倍政権の内閣官房が、日本国民を一気に3000万人ほど大量殺戮したいと企図しその計画を実行しようとしていることに疑う余地はない。
そして、燕市長の鈴木力は、この内閣官房の3000万人日本人大量殺戮プランに加担して、上記の(自殺に誘導する)逆立ち訓練を行った。まさしく公権力テロ以外の何者でもなかろう。北朝鮮人官僚と共産党員官僚が牛耳る、日本人を憎悪する“悪魔の内閣官房”と、鈴木力は共謀して逆立ち訓練を行った以上、刑法共謀罪が厳格に適用される事案である。新潟県警は、鈴木力を同罪の容疑で逮捕しなければならない。
なお、鈴木力が、真っ当な市長であるならば、市役所にNBC偵察車(一輛)/除染車(三輌)を常備し、防毒マスクを住民各自に購入させている。なお、NBC偵察車は陸上自衛隊に納入しているメーカーから購入できるし、除染車についても同様。防毒マスクと防護服は、軍用でないので防護が完全とはいえないが“ないよりまし”で、重松製作所のを全世帯が家族全員ぶんを購入するよう、市長が行政指導すべきだろう。
「米国より先に日本列島が丸ごと焦土化される」は、確度100%の現実
先に引用した、北朝鮮の声明「米国より先に日本列島が丸ごと焦土化される」は、現在の北朝鮮が有している戦争プランをそのまま明らかにしたもので、ブラフではない。なぜなら、北朝鮮は、韓国を電撃的に占領併呑し朝鮮半島全域を北朝鮮国家にしたいから、産業や人口を含めて韓国全体を破壊的に攻撃することはなく、焦土的な攻撃はソウル市だけに留める筈である。
また、戦争後に北朝鮮は、“アジア第二の強国”として存立したいから、米国からの核報復は何としても避けねばならず、米国本土攻撃はむろん、在日米軍基地・グアム・ハワイへの弾道ミサイル攻撃はよほどの最終局面事態でない限り行わない。つまり、北朝鮮の弾道ミサイル戦争は、次のように計画されている。
A、日本のみに(亡国相当の)甚大な被害を確実に与えるべく、日本のささやかなミサイル迎撃能力をパンクさせる大規模で同時一斉攻撃を日本に対して奇襲先制的に行う。
B、2時間以内で日本が「死者3000万人/重体・不具廃疾2000万人」の地獄絵的情況になれば、日本は闘う気力すら失い、北朝鮮に無条件降伏の白旗をあげ、米国への救援要請をしない可能性がある。
C、米国でもまた、日本救援のために北朝鮮に報復しても、もう手遅れだというあきらめが潮流となる。
つまり、上記のAとBは、「北朝鮮は、日本の主要都市をことごとく火の海以上の“阿鼻叫喚の地獄絵”にする」ということだから、上記の声明と一致する。即ち、北朝鮮の弾道ミサイル戦争は、表にあるごとくに、日韓米は差別化されている。日本国民が現実直視から逃避せずしっかと認識すべきは「最初に攻撃される国は日本で、しかも日本は無条件降伏まで連続・大規模攻撃を受ける」ということ。
なお、序なので、北朝鮮の日韓米に対する差別化を表にしておこう。
表;北朝鮮の核弾頭・化学弾頭攻撃標的三国に対する、開戦時期と攻撃規模の相違と差別
附記
金正恩とはスターリンと同じ、史上稀にみる血塗られた残虐性の異常人格である。が、日本人はこの事実を軽視する。だから、日本人の死者3000万人という北朝鮮の対日弾道ミサイル戦争の現実を一笑に附して「起こり得ない」との妄想に耽る。近未来に起こる蓋然性の高い危機現実を見ない、ダチョウに酷似した日本人の民族文化は根強く、2011年の東電「3・11」はその端的な証明だろう。
東電は、「3・11」の少し前、一人の安全専門の技術者(社員)の直訴「20㍍の津波はありうるので、予備交流電源を原子炉のすぐ後ろにある山側に設置したい。30億円支出して欲しい」に対して、社長が「30億円などもったいない」と拒否した。その結果、不必要なセシウム避難/セシウム除染、ならびに必要な廃炉費用で約20兆円の損失を被った。30億円をケチった代償は20兆円となった。
この“愚の極み”東電と同じく、金正恩が対日弾道ミサイル戦争で、核弾頭も化学弾頭も炭疽菌芽胞弾頭も大量に打ち込んでくる確率100%が現実なのに、日本人は、特に安倍内閣も防衛省もこれにことさら目を瞑って何もしない。野犬に食い殺される直前のダチョウの光景と同じである。
そればかりか、残忍残虐なコミュニスト菅義偉・官房長官が率いる内閣官房は北朝鮮と共謀して、お笑いテレビ芸人と同類の“スーパーお馬鹿”安倍晋三の無為に付け込み、金正恩の目標「日本人の死者3000万人」がより確実に達成されるよう、日本国民が阿鼻叫喚の地獄絵の中で自殺に至る逆訓練を全国の自治体に命じている。
これほど恐ろしい公権力による自国民殺戮のテロを、家畜レベルに劣化した今日の日本人は認識できなくなった。日本人から賢慮とか知性とかが全く消失した。生物学的な生存本能すら腐敗して消えている。
ともかく日本人は、金正恩が叔父・張成沢や兄・正男を殺し、そればかりか、人民武力部長(国防相)玄永哲ら幹部70名以上を既に処刑してしまったが、この事実をまずしっかと見つめることだ。これ等の残虐殺人は、“日本人なら3000万人を殺戮し、2000万人以上を重体・不具廃疾にすることは金正恩にとって愉快で堪らない”ということの情況証拠ではないのか。このように人間観察からの推定も知性だが、今や一億の日本人から、通常の人間が持っているこの種の人間観察力すらすっかり消滅した。
(2017年6月12日午後記)