ロシア/中共の対日核戦力大増強に“脳天気”日本 ──米国に核抑止力増強を要請し、米国核兵器の搬入を急げ!

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筑波大学名誉教授    中 川 八 洋  

 本稿は、紙幅が長くなりすぎたので中途で割愛した前稿「広島訪問のオバマ大統領は、“非・米”の野蛮人」第二節を独立させた論稿である。前稿「広島訪問のオバマ大統領は、“非・米”の野蛮人」に連続した論稿として一緒に読まれるのもよし、続きとせず新稿として読まれてもよし。

※2016年8月5日に中川八洋掲示板のために執筆された記事を、再掲載したものです。

“狂気の妄想”「核廃絶」に酔う日本人は、国家を守らんとする精神が死んだ“非人間”

 2016年5月27日にオバマが広島訪問で日本に残した禍根は、取り返しがつかないレベルで、日本の国家安全保障を破壊的に棄損した。“核廃絶”という、日本共産党が永年展開した「日本共産化革命=ロシア・中共の対日侵攻誘発」路線の一つを援護的に正当化するばかりか、日本生存の最後の頼みの綱である“米国の核抑止”を全面否定したからだ。

 超非現実の“核廃絶”など、カルト宗教「オウム真理教」の狂信者が懐く「アルマゲドン」(人類死滅/地球滅亡)と同じ“狂気の妄想”。これ以外の何者でもなかろう。少なくとも、正常な人間ならば、嫌悪的に唾棄する“有害妄想の極め付き”。現にハイスクール時代からドラッグ吸引が常習の、ヒッピー系の共産主義者の母親に育てられたオバマは、この地球を“戦争のない天国”にできると妄想する狂気に棲んでいる。米国社会から多発する殺人や強盗すら一掃できないのに、世界から戦争や紛争を一掃できると考えるのは非常識/非現実だと認識することすらできない妄想男である。

 一方、日本の方だが、日本が辛うじて独立を維持できているのは、米国の核戦力と米国の海軍力のゆえであるのに、日本人が“核廃絶”に狂喜するとは、この米国の核戦力を、「要らない!」とばかり、排斥するのと同じではないか。日本人は、オバマ以上に狂っている。

 特に、ロシアと中共が、オバマの核廃絶演説を言下に否定した事実を、日本人は直視しようとしない。日本人は、完全に狂ってしまった。オバマの核廃絶演説の影響を受けた国は、世界で二ヶ国のみ。第一番目は日本、第二番目は米国、この二ヶ国以外はない。

 だが、米国の場合の影響は、「“非・米の黒人”オバマが大統領の職にある限り」の、八年間の暫定。この八年間が終われば、核政策の一八〇度逆への転換すらありうる。核不拡散を対外政策の筆頭としたカーター大統領から、“核兵器によるソ連打倒”を旗幟鮮明のレーガン大統領への核政策のコペルニクス的な大転換を思い起こせばよかろう。

 つまり、オバマの核廃絶演説に影響を受けたのは、世界で唯一例外的に超バカ民族となった日本人だけということ。日本人は、オバマに感動して、“核廃絶”がさも正義の政策であるかに錯覚した。日本人はまた、世界がその方向に進んでいると狂妄するに至った。もはや、馬鹿以下の白痴ばかりとなった日本人につける薬はない。日本の国家滅亡は、古代アテネや古代ローマ帝国の末期と全く同じ軌道で急転落している。

第一節 オバマ広島演説に歓喜し、対日侵略の加速化を決定した露中

 そこでまず、ロシアと中共が、オバマの広島演説を嘲り嗤った事実、オバマ広島演説を好機に一気に核戦力の増大と強化の加速化を開始した“現実の世界”を垣間見ることにしよう。現実を直視することからも逃避する日本人のアパシー(無気力)の日本病は、年々ひどさを増している。全ての日本人から、人格の正常が腐食して消滅した。

「核廃絶」とは180度逆方向の、核増強に驀進する中共とロシア

 中共が、新聞でも報道されたように、米国の「THAAD韓国配備」に猛反発したことは、多少の教養ある日本人なら誰でも知っている。具体的には、中国外務省は7月8日、「中国を含めたこの地域の戦略上の安全保障の利益と戦略均衡を著しく損なう」との声明を出した(注1)。

 この事実一つだけでも、中共は核戦力を日本に向けて/米国太平洋艦隊の空母に向けて使用することが十分に証明されている。だが、日本人は、こんな初歩的な事実認識すらしなくなった。日本人一億全員、“馬鹿以下の白痴”になった。

 もし中共が、核戦力を使用しない方向や廃絶する方向に舵を切っているとすれば、満鮮国境の近くの山岳地帯・通化に展開する対日用核弾道ミサイル「東風21の発射直後をレーダー捕捉する「韓国配備のTHAAD」について、“米国は活用することが万が一もない防御兵器を無駄に配備しているぞ”と苦笑して済ましたはず。ところが、韓国配備THAADにむきになって反対するのは、「東風21」の対日核攻撃を予定しているということではないか。

 ロシアも同様である。中国外務省声明と時を同じくして、ロシア外務省も韓国THAADに対して、「きわめて深刻な憂慮」「アジア太平洋地域だけでなく、その領域を超えた」と批判した(注1)。

 それだけでなくロシアのプーチン大統領は、7月8日の一週間前、7月1日、米国がポーランドとルーマニアに配備するパトリオットPAC3(MD)について、「NATOが軍事的に我が国の国境に迫っている。これは完全に不公正で現実を無視している」と批判した(注2)。すなわち、ロシアは、旧東欧諸国に再侵攻すること/その際に場合によっては短距離核弾道ミサイルを使用することを、プーチン大統領自らが公言したのである。パトリオットPAC3は、ロシア領土内への攻撃能力は全くのゼロ。ポーランドやルーマニアの領土内に飛翔してきたロシアの核弾道ミサイルを着弾直前に撃ち落とす能力しかない。しかも、非核である。

 このように、ロシアと中共とは、周辺の自由諸国に対して核弾道ミサイルを使用すると、公言しまくっている。5月27日のオバマ米国大統領ヒロシマ演説の無力を越えた空無さの危険は、かくも怖しいレベルで日本の存立を脅かしている。だが、日本で、「オバマ広島演説は、日本の国家安全保障の根底を破壊した」と、正しく非難・糾弾した論文も報道も、既に二ヶ月を経過したが皆無である。日本は、国家としてすでに死んでいる。

大増強テンポをさらに上げる中共の巨大な核戦力体系の目的は、西太平洋の制覇

 中共が、南支那海のサンゴ礁を好き放題に軍事基地に埋め立てして、南シナ海を“支那の内海=領土”にする傍若無人の侵略行動を2010年ごろから公然と行うようになった。その一つが、「南支那海全域は、中共(レッドチャイナ)の領海」だと侵略を正当化する詭弁としてでっちあげた“戯けた妄語”「九段線」。オランダ・ハーグの国際仲裁裁判所の判決は、この「九段線」を、「歴史的権利だとの主張を裏付ける法的根拠はいっさいない」と、言下に否定した(2016年7月12日)。  

 この判決で、南沙諸島の七つの礁を人工造成しての滑走路など軍事基地建設すべては、「国連海洋法条約」に違背する国際法違反が確定したことになる。なお、このハーグ仲裁裁判所の判決は、この七つの礁は「島」ではないから、排他的経済水域EEZを設定できないともした。これはまた、この七礁の周辺12浬を中共の領海とは認めないとするものであり、“自由の航行作戦”と名付けた米海軍艦艇による「12浬内」に突入する軍事的威嚇行為が“合法”だと定めるものとなった。  

 さて、ここでの問題は、ハーグ仲裁裁判所の判決ではない。この七礁における中共の侵略的な軍事基地建設(表1)が、中共の強大化する核戦力と一体化したものである問題が、本稿の核心である。

表1;南シナ海における、急ピッチの中共の軍事化情況(2016年2~3月時点)

表2;日本人がことさらに等閑視する中共の核戦力の脅威(未完成、作業中)──中共の核軍拡狂奔は、対米/対日核戦争勝利の完璧な核戦力体系構築が目的──

 この表2は未完成である。理由は、こんなものはインターネットで簡単にわかるだろうと、これまで作業をサボっていたからである。だが、驚いた。この表が、インターネットにない。共産党員の教官のみが屯する「長崎大学核兵器廃絶研究センター」は、国民の税金で運営されているのに、インターネットに発表している「中共の核戦力一覧」なる表で、中共の核兵器の配備/保有実数を極度に低く操作している。核弾道ミサイル「東風11」「東風16」「東風26」に至っては、隠してあげる操作までしている。これから長崎大学を、「隠蔽が得意な、国民騙しの偽情報操作専門の長崎大学」と呼ばねばならない。

 要するに、対日核脅威がさも存在しないかに偽情報工作するのが、「長崎大学核兵器廃絶研究センター」の設置目的。長崎大学は、センター名称を正しく“中共の支配下にある、日本を中共の属国にするための嘘情報捏造研究センター”に改名すべきだ。

 長崎大学はそもそも、中共に対して、「核戦力増強を止めろ」など、抗議したことすら一度もない。また、どうすれば中共の核戦力を廃絶させうるかの論文一つ書いたことはない。長崎大学が日本国民を騙す悪質な嘘情報づくりに専念しているのは、日本国民や東京その他の主要都市を、支那の核攻撃下で大規模殺戮・破壊をしたいからである。

 レーニン/スターリンによる6600万人の自国民殺戮を、もう一度、日本国民で再現したいからである。 一方、防衛省も自衛隊も、中共やロシアの対日核脅威問題については、「見ない/聞かない/言わない」の三猿方式に逃避して、日本国と日本国民をこれらの敵性国家の大規模核攻撃から護るという職務を放棄して久しい。日本人は、ロシア/中共の工作員か、愛国心を喪失したアパシーな生物学的ヒトか、の二種類だけになってしまった。日本国民はゼロになってしまった。

防衛省は、中共の対日核戦力のそれぞれごとの防衛策を国民に示せ!

 防衛省も安倍内閣も、中共の核攻撃から国家・国民を守る職務/責任を全く果たそうとはしない。具体的に言えば、次のようなこと。第一の例。通化に配備している中共の100基を越える対日用核弾道ミサイル「東風21」に対して、日本をどう守るのか、防衛省は国民にその方策を提示していない。  

 第二の例。 地上発射の核巡航ミサイル「東海10」は、最低でも300基は日本に向けて発射されるが、これに対して、防衛省は、日本をどう守るのか、方策を提示せよ。第三に、爆撃機「轟炸6」に搭載された空中発射の対地核巡航ミサイル「長剣10」「長剣20」から、日本をどう守るのかを、防衛省は国民に提示せよ。渤海湾から対日攻撃する潜水艦発射核弾道ミサイル「巨浪1」から日本をどう守るのか、防衛省はその方策を国民に提示せよ。なお、渤海湾の防備は完璧で米国の攻撃型原子力潜水艦は万が一にも突入できない。

日増しに増大し続けているロシアの対日核攻撃戦力

 ロシア人エリートは、外国人を決して友人にはしない。それはロシア国家も同じで、ロシアは友邦を決して持たない。対等な同盟関係を持ったことがないのは、“同盟による自国防衛”という軍事思想が欠如しているからである。1480年に独立国家「モスクワ公国」が誕生して以来540年間、このロシア文化にはいささかの変化はなく、変化の徴候すらない。すなわち、外国人不信/他民族隷属化/条約不履行は、ロシア民族の永遠の不動の文化である。

 そして、ロシア人エリートは、外国を騙す能力いかんでエリートの位置が定まる。だから、ロシア国家のトップエリートは、天才的な騙しの政治家しかいない。プーチンも、この一人。安倍晋三は、このプーチンに完全に騙されている“世紀のスーパーお馬鹿”。だが、“騙され男”安倍晋三は、自分がプーチンと友人だと考えている。“お馬鹿”安倍のあほらしさもここまでひどいとは、形容の言葉がない。

 安倍晋三とよく似た“お馬鹿”が、ヒッピー系共産主義者の母に育てられた“ケニア国籍の父をもつアフリカ系黒人”オバマ。だが、こんな“お馬鹿”オバマですら、2014年3月のクリミア半島へのプーチンの侵略で目が覚めた。オバマの妄想「核廃絶」に従って、ロシアと締結した米ロ新START条約(2010年3月調印)をプーチンが平然と無視し反故にした、プーチンの「新世代の核ミサイル40基配備」声明(2015年6月)で、オバマは漸くロシアという国家もロシア人も決して信用できない事を知った。体験しないと理解できない者をビスマルクは“愚者”と名付けたから、オバマとは“愚者”である。とすると、体験しても理解できない安倍晋三は“愚者”未満だから、“痴者”ということ。

 要するに日本では、安倍晋三を見て分かるように、反省してであれロシアを知る政治家など独りもいない。ロシアに無関心かロシア無知かが、日本の全政治家の特性である。安倍晋三のごとき、ロシアに媚びる対ロ売国奴に至っては、日本の至る所で大繁殖し、日本国をロシアに貢がんとする。

 「ロシア無関心orロシア無知が日本の全政治家の特性」は、外務省のロシア畑でも顕著に同じ。1980年代までは細々といた“ロシア通外交官”は、1990年代以降はゼロになった。小村寿太郎/吉田茂に代表されるロシア通外交官の系譜は、(曽野明氏の口癖によれば)外務省の外にいる私(中川八洋)に継承されたが、私をもって最後。日本では、正統なロシア通がついに途絶えることになった。それは、日本国の亡国へと一直線につながることを意味する。

1、プーチンをして対米核戦力優位の好機とロシア核戦力の増強に爆走させた、オバマの核廃絶狂

 では、現在、ロシアが配備している核弾道ミサイルなどを概観してみよう。冷戦時代と何ら変わらないし、鋭意、性能アップと量的増強に注力していることがはっきりわかる。なおロシアは、兵器はどんなに古くなってもすべて退蔵する民族文化を有している。「破棄処分せず」は、モンゴル帝国からの伝統である。また、予備の兵器をとてつもない量で必ず生産し備蓄している。このため、米国国防省の諜報DIAがカウントする“表向きの配備数”の三倍ぐらいが実際の保有数だと考えてすら、かなり控えめの数字になる。

 次の表3を、日本の政治家で誰一人として、熟知はおろか、かすかでもいいから知っているものがいない。日本人は国挙げて、ロシアの核戦力大増強に全く無関心であるのは、かくも明瞭。日本を今かろうじて守っているのは米国。日本は、とっくに自国の日本防衛を捨ててしまった。

表3;ロシアが大増強する対米/対日/対欧州の核戦力(作業中、未完成)

備考;ktとはキロトン、広島原爆は13kt。

 この表3にある空中発射の核巡航ミサイルと水中・海上艦艇発射の核巡航ミサイルとが、日本に対するロシアの核攻撃の中核を成す。その数、能力capabilityで700発/基から1000発/基である。防衛省は、これらの核攻撃から日本の領土と国民の生命をどう守るかについて、未だ何一つ示していない。安倍政権ですら、日本を守ることにいっさいの関心はない。

2、ロシアの核戦力は「抑止」が目的でなく、「第一撃使用 first strike」が目的。

 日本人がロシアの核戦力について無関心・無知である特性は、ロシアの核兵器を一切知らない事だけではない。もう一つある。それは、ロシアの核戦略が米国とは異なって「抑止」ではないということだ。すなわち、ロシアは核兵器を戦争「抑止力deterrence」として増強しているのではなく、核戦争において勝利する核戦争勝利戦略のために核兵器の増強に精を出しているのである。

 この事は、ロシアのプーチン大統領が、「20143月のウクライナ・クリミア半島侵略時に、戦術核兵器の使用を準備した」と発言(2015年3月)したことで明らかだろう。この発言の意味は、米国がクリミア半島を死守するウクライナを援護して、黒海に第四艦隊を突入させたら、これに対して短距離の核巡航ミサイル等をぶち込む予定だったということ。このように、ロシアにとって、核兵器は使用する兵器であって、しかも「第一撃」使用も辞さない核戦争観に立脚している。

 「第一撃」とは、相手が核兵器に手を付けていなくても、必要に応じて先に核兵器のボタンを押す核使用のこと。米国は、そのガンマン時代からの文化として、相手に先に拳銃を抜かせれば、後から抜いた銃弾で殺しても正当防衛として殺人罪に問われないルールを、国家間の戦争や核戦争にまで採用している。これを、「第二撃使用 second strike」戦略という。

 このように、ロシアと米国との間では、核戦略思想や核戦争観が非対称un-symmetryに相違している。そこで、これを表4に纏めておく。      

表4;米国とロ/中の、核に関わる軍事戦略

 尚、米国とロシア/中共の「核戦争戦略」が対照的に相違するからと言って、ロシアと中共が完全に一致しているということではない。核戦争に関してロシアと中共の間にも、微妙な相違がある。誤解がないように、表5に両国の差異を書いておこう。

表5;ロ中の核戦争観等の差異

3、ロシアの対外行動は、米国の核戦力の増減に連動する──「米国が対ロ核優位になら引っ込み、対ロ劣位なら膨張を加速化する」。

 このロシアと中共の核戦争観の差異は、その核戦力の増強にも顕著に表れる。最初にロシアのケース。オバマが、2009年4月にプラハで「核廃絶」演説をしたことが、ロシアをして「ウクライナ/バルト三国と北海道への急ピッチな侵攻(準備)」に駆り立てた。2014年3月に、クリミア半島にプーチンが侵略部隊を投入したが、それはオバマのプラハ核廃絶演説が招いたのである。

 オバマは、しかし、自分の“狂気”「核廃絶」がロシアのウクライナ侵略を招いたとは、今でも、認識できていない。ただ、自分のロシア観が間違っていたと大いに反省しているようではある。ポーランド/ルーマニアにMDを配備したり、バルト三国それぞれ及びポーランドに各一千名(米英独加の合同軍)の前方展開部隊を増強したりの(注3)、弥縫策はやっているからだ。これを見ると、オバマの方が、今なおプーチンに頭をレイプされて恍惚となった“スーパーお馬鹿”安倍晋三よりはましということか。

 次に中共。中共は、ロシアのように、米国の核戦力の増減に自国の核軍拡や対外侵略行動が影響を受けることは全くないと言ってよい。矢鱈目鱈に核戦力の軍拡と海軍力の軍拡に狂奔する。そしてチャンスがあれば、黙って矢鱈目鱈に侵略する。これが赤い支那の軍事思想である。

 ロシアは時には侵略か退却かで躊躇うことはあるが、支那は膨張あるのみということ。むろん、支那も退却することはある。が、それは、ロシアのような戦略思想に基づいたものではなく、敵から軍事的敗退/逃亡を強いられた時に已むを得ず選択するもの。

 すなわち、ロシアとレッド支那の領土膨張主義は同じだが、ロシアに関しては米国の核戦力を増大強化すれば、ロシアの膨張路線にはストップ的な動揺が起きる。が、中共は、ひたすら対米戦争など怖くないとばかり突き進む。レッド支那との戦争を回避するためには、レッド支那と戦争してもぜったいに勝利する海軍力/核戦力/陸軍力/空軍力を持つしかない。全軍種で対中絶対優位を達成することだけが、対中戦争を抑止できる。

注  

1、『朝日新聞』2016年7月9日付け。  

2、同上。  

3、『朝日新聞』2016年7月9日付け、ほか。

 

第二節 ロ中の核脅威増大に、日本は“核抑止力”をどう向上させるか

 先に、「オバマが2009年4月にプラハで核廃絶演説をしたことが、ロシアをして“ウクライナ/バルト三国/北海道への急ピッチな侵攻(準備)”に駆り立てた」と述べた。だが、日本で、2010年からロシアが北海道侵攻準備態勢に入った明らかな事実や徴候を、無関心な一般国民ならいざ知らず、ことさらに隠蔽しようとするか、無視しようとする。

 具体的には、防衛省/自衛隊/外務省で、これらは、ロシアの北海道侵攻態勢の顕著な動きを、ことさらにローキー化する情報操作をしている。『防衛白書』『外交青書』を読めば、防衛省や外務省の国民騙しの情報操作は一目瞭然。

 政治家や一般国民も同様で、これほどまでに国家が外敵侵攻の危機に見舞われながら、「アベノミクス/介護/託児所/地震/その他」に狂騒するばかり。つまり、日本国民も日本の政治家も、近未来のロ中同時侵攻と、それによる国家滅亡や一千万人ぐらいは軽く死ぬかもしれない酸鼻を極める日本列島の悲惨な戦場化など、「アベノミクス/介護/託児所/地震/その他」に比べれば、どうでもいい問題だ/無視してよい問題、としている。日本人は世界最悪バカ民族に成り下がった。

 「日本列島が安全/領土が安泰」という前提が存在して初めて「アベノミクス/介護/託児所/地震」対策の意味がある。だが、こんなことが日本人にはわからなくなった。白痴化したバカ民族日本人に付ける薬はもう何もない。

 偶に尖閣防衛を熱く語る素性定かでない者に出会うが、これとて怪しい。なぜなら、尖閣の要塞化を訴えることもないし、尖閣防衛が、盤石な北海道防衛があって成り立つことを主張しない。これでは、尖閣防衛に無関心なものと何一つ相違する所がない。日本で、「尖閣を守るべく北海道を軍事要塞化しろ、北海道を守るために尖閣を軍事要塞化しろ」と、正しく主張している日本人は、自衛隊を含めてゼロとなった。  

 このことは、安倍晋三において特段に顕著に露わである。安倍は、父親の安倍晋太郎と二代に亘る対ロ売国奴の血筋において、択捉島をロシアに貢いでまで日ロ平和条約を締結しようとしている。それが松岡洋右の日ソ中立条約の二の舞なのが、“お馬鹿”安倍晋三には理解できない。“侵略の皇帝”プーチンは、北海道に侵攻するために日露平和条約を締結するのだが、こんな簡単なイロハが、安倍晋三には理解できない。

 しかも、択捉島の東側をロシアに渡せば、それは択捉海峡をロシアに渡すことになる。“オホーツク海のロシア制海”を叩きつぶさなければ、オホーツク海に展開しているロシアのSLBM(潜水艦弾道ミサイル)原潜を発射前に撃沈することはできない。この作戦を成功させるためには、択捉海峡と得撫海峡という二海峡を日米側が確保する必要がある。現時点、国後・択捉島だけでなく、南樺太も得撫島から占守島までの千島列島=クリル諸島は、日露間だけに限るが、国際法上日本領土である。日露平和条約のない現時点の方が、日本はロシアに対し、何百万倍も安全である。

 もう一度言う。日露平和条約を締結するよりは、締結しないで択捉海峡と得撫海峡という二海峡が国際法上日本領土である方が、ロシアの対日侵略戦争時には国際法が全てを律するので、日本の国益に何百万倍も裨益するということだ。これに違背して逆走する安倍晋三とは、日本の国土防衛を一切忘れた“世紀の対ロ売国奴”である。そして、安倍晋三に「日露平和条約の締結を止めてくれ!」と諫言しない日本人とは、祖国日本を守ることを忘れた“非・国民の群れ”に過ぎない。日本には、まともな政治家も日本国民も一人もいない。

 このオホーツク海に遊弋するロシアSLBM潜水艦問題を日本人全てが忘れているのは、常日頃、日本の新聞・テレビが、①ロシアと中共の核兵器についていっさい報道せず、日本人の頭をロシア/中共の対日核攻撃の脅威を知ることのないように洗脳してきた成果である。そればかりか、②核兵器問題については北朝鮮ばかりに限定する情報操作をする事によって、ロ中の対日核脅威を日本人から隠すのに成功した成果である。例えば、北朝鮮の原潜発射のSLBMについては報道するが(例えば、『朝日新聞』2016年7月9日付け)、渤海湾に潜む中共の対日SLBMや、オホーツク海を遊弋するロシアの対米SLBMについては一切報道しない。

 このように、「日本の新聞/テレビが、北朝鮮の核兵器問題のみをしきりに報道するのは、日本にとって真に脅威であるロシアと中共の対日核戦力増強の現実を日本人の頭から消し去る情報操作である」が、これに懸念を表明した日本の有識者は一人もいない。防衛省/外務省も、このような指摘を一度もしたことがない。

中ロの対日核脅威を日本人から隠すべく、大音量の読経「核廃絶!」が日本を覆う

 外務省に至っては、中ロの現実の核の脅威を国民に啓発するのではなく、共産党と一緒になって、“カルト宗教の狂気”「核廃絶」に現を抜かす有様。例えば、核兵器を禁止する条約ができるかに妄想する。そんな条約ができるわけない。また、仮にできたとしても、日本に対する核脅威国の中ロは、万が一にも参加しない。この事は対人地雷廃絶条約で経験済みではないか。  

 日本が、中ロの対日核攻撃の核戦力の脅威から安全であろうとするなら、対中/対ロの核抑止力を強化するしかない。専門用語でいえば、「核抑止の信頼性credibilityをいかに改善し向上させるか」ということだ。  

 この方法としては、出鱈目評論家がさも国防の知見があるかに演技するための無責任きわまりない、「日本が独自で核武装すればいい」などは、トンデモナイ暴論に過ぎないものだから、断固排斥しなければならない。日本が独自で核武装するチャンスは、1970年代半ばをもって既に消滅している。日本が核武装を選択するのであれば、米国に発注して購入するしかない。

A、「非核三原則」を撤廃して、米国の核兵器の搬入と米国製核兵器の日本購入を可能とすること。  

 この発注購入方式を選択するならば、その前に米国の核兵器を日本列島に配備する方が、核抑止の信頼性credibilityは、格段に高くなる。すなわち、日本が中露の核脅威に対抗して日本国を守りたいのであれば、非核三原則の撤廃を急がねばならない。非核三原則は、米国の核兵器の日本領土内での展開set-upを禁止し、同時に日本が米国製核兵器を購入することを禁止している。  

 次なる、対中/対ロ核抑止の向上には、日本国内から“カルト宗教の狂気の経文”「核廃絶」の声と運動を完全に粉砕して、それを日本から一掃することだ。

B、狂気のカルト経文「核廃絶」の宣伝洗脳運動を日本列島から完全に一掃すること。

 このためには、まず、自民党総裁は、8月6日/9日に、広島と長崎に行ってはならない。広島も長崎も、その式典は共産党が実質的に主宰しているのであり、またそれらの集会は日本国の滅亡を目的としたものである以上、祖国を愛し祖国を守らんとするものが一秒たりとも同席することは許されない。  

 そもそも、「核廃絶」運動の欺瞞は、“世紀の詐欺師”のペテンの論理で構築されている。第一の欺瞞は、科学技術は、いったん発明されたら決してなくならない。これは完全な真理で、この真理を否定するのは、麻原彰晃と同じ狂人だと断定できる。例外は、その兵器よりはるかに破壊力や殺傷力を持つ兵器が出現した時のみ、廃れることがありうる。例えば、弓矢は、鉄砲や大砲の出現した過程で消滅した。核兵器の消滅は、核兵器の数十倍以上の破壊力/殺傷力の新兵器の発明がない限り、あり得ない。それは人類にとって、逆に不幸なことである。

 日本が目指すものは、“核兵器との共存における平和”であって、それ以外は現実を無視した狂気であり、狂妄である。

 核廃絶という国民騙しは、かつて20世紀の“共産主義社会が到来する”という悪魔の騙しと同じかそれ以上に悪質なもの。この騙しのトリックは、次の第二の欺瞞をロジックとしている。それは、全ての兵器、全ての殺傷能力がある道具は、明確に善と悪がしっかと存在するのに、この善悪の境界を不在とするトリック詭弁である。

 まず先に、核兵器以外で説明しよう。警察のピストルと強盗のピストルを例とする。後者は、強盗目的を達成すべく使用するもので、存在させてはならず、刑法においても取り締まりの対象となっている。前者は、悪者/犯罪者退治に限定しているが、威嚇を含めた使用が認められている。また、警官がピストルを携行することは、刑法の銃刀法禁止の対象外になっている。

 核兵器もこれと同じである。侵略する側の核兵器は武装解除=廃絶させねばならない。が、被侵略側/平和愛好国の核兵器はいくらあっても構わない。警官のピストルが何丁あっても国民の安全に貢献するが、強盗のピストルは絶えずゼロにする監視を怠ることはできない、のと同じである。「悪の核兵器を撲滅すること、善の核兵器を活用すること」が、平和の要諦である。

 だが、核廃絶運動は、侵略する側の核兵器も被侵略側/平和愛好国の核兵器も同等に扱う。強盗のピストルと警官のピストルを同一視する欺瞞的詭弁と同じ。“善の核兵器”と“悪の核兵器”は峻別され、差別されねばならない。ところが、日本の「核廃絶」運動は、平和を破壊することが目的で、善の核兵器をゼロにする運動である。日本の平和を維持するため、核廃絶運動は断固粉砕し息の根を止めなければならない(備考)。要するに、ロシアと中共の核戦力をゼロにする運動だけが正常で、日本の平和に寄与するということである。

備考;例えば、2016年7月30日、長崎市主催のシンポジウム「核兵器廃絶への道」が開催された。このような核廃絶運動は、オウム真理教の狂気と同種の悪のカルト宗教だから、破防法の適用も視野にいれ、日本から排除していくことが、日本の国家生存にとって絶対に不可欠な国策である。

C、陸軍力は核抑止力を有する。陸上自衛隊の戦車を3000輌、陸自兵員を35万人にすること。  

 非核の国家でも大規模核攻撃に対して、生存し反撃し国を守ることが出来る。それは海軍・空軍基地は、核攻撃下で、その機能を十全に維持することはできない。潜水艦や航空機は、岩盤に横穴を掘った中に入れれば生存させうるが、基地全体はメガトン級の水爆を直撃されるとまず機能を失う。だが、陸軍力は、地下150㍍の地下に広大な基地を作れば、完全無傷で生き残れる。

 北海道の石狩岳と雌阿寒岳の地下150㍍に、それぞれ、戦車750輌(戦車師団×5)、砲兵部隊、ミサイル部隊、その他で10万人(備考)を収容する空気清浄機付き/冷却装置付きの地下シェルターを建設しておけば、それぞれがロシアから10発以上のメガトン級水爆を直撃されても、被害はゼロ。

備考;北海道の陸自は、このように、最低で戦車は1500輌/人員は20万人を配備する。

 ロシアの数十万人の大部隊が石狩平野や釧路平原に上陸し始めると、当然、ロシアは核攻撃を止める。この時、陸自の主力部隊20万人は巨大シェルターから出て、防衛戦闘を開始すればいい。敵を殲滅したいなら必ず縦深をとって敵を叩く戦法しかないから、上陸後の敵との会戦こそ防衛戦の王道で、この方法で遅きに失することはない。

 なお、このロシアの上陸部隊の侵攻速度を遅らせるために、北海道の海岸には東も北も南もぎっしりと対人地雷を2000万~3000万個ほど、戦車地雷と一緒に埋めておく必要がある。こうしておくと、巨大水爆の大量投下から発生した放射能の半減期を考慮して、陸自の20万人部隊はゆっくりシェルターから出てくることができる。

D、米国の核戦力を、中ロの核戦力総計の三倍にすること

 核抑止は、悪に対して善の核戦力が絶対優位でない限り、その信頼性は十分なものにはならない。ケネディ大統領が、核戦力を対ソ三倍にすると公約した核抑止政策こそ、正論であった。レーガン大統領は、この対ロ三倍を、地理の非対称その他をフルに活用・駆使して、金のかかる対ロ大陸間弾道ミサイルでなく、核トマホークなど巡航ミサイル中心で達成した。 日本は、米国に対して、「米国の核戦力を、中ロの核戦力総計の三倍にせよ」と要求すべきである。そして、この費用の四分の一を負担すると公約すべきである。

“核恐怖”に泰然・超然のスイスに学べ!

 ロシアや中共からの核戦争を防止したい/阻止したいと願うならば、なおのこと、核戦争の恐怖に慄いてはならない。日本国民が“真正の勇者”になればなるほど、敵は対日核戦争を自制する。実際に、スイスという国家は、そのように考え、また国民はそのような考えを持て!と、スイスの全家庭にこの趣旨で書いた『核戦争から国民の生命/財産をいかに防護するか』のマニュアル本を配布している(文献リストの6)。日本国民は、これを必ず読む必要がある、安倍政権は、原書房が翻訳した『民間防衛』(正しい翻訳タイトルは「国民防護」)を、日本全国の全世帯に配布すべきである。  

 そこには、こう書いてある。

「もはや、恐怖に負けてはならない。学者たちは、あらゆる努力は無駄だとわれわれに信じ込ませようとしている。研究所が引き出した恐るべき核兵器の破壊力を前にしては大声で恵みを求める以外にないと彼らは言う。

 しかし、NOである。我々は最後まで自らの主人であり続けよう」(146頁)。

 

附記 日本国民なら最小限読むべき文献リスト

1、 ベイレンソン『核と平和―自由世界は生き残れるか』、学陽書房。

2、 Richard Pipes,Survival is not Enough, Simon&Schuster,1984.など。

3、 中川八洋『日本核武装の選択』、徳間書店。

4、 ダグラス/ホーバー(中川八洋監訳)『ソ連核戦争戦略―世界征覇の道』、山手書房。

5、中川八洋『地政学の論理―拡大するハートランドと日本の戦略』、徳間書店、第五章。

6、スイス政府編『民間防衛―あらゆる危険から身をまもる』、原書房。

7、ロシアの核戦力・核戦略を最も正確に分析したのが、CIA「Team B(1976年~初期レーガン政権)

 メンバーには、Pipes/Daniel Graham/William Van Cleave/Paul Wolfowitz/Paul Nitzeほか。

備考;2010年頃を境に中ロの対日軍事脅威が急騰する“日本の危機”に直面している日本が、もしSurvivalしたいなら、1979年~84年頃の米国/英国等の「反ロ」保守系学者・専門家の著作を「温故知新」する事。この意味で、「チームB」の主要学者の著名論文は、現在においても古くなっておらず強く推薦できる。特に、「反ロ/対ロ防衛」理論の基本部分は、「反中/対中防衛」に使えることに留意せよ。なお、中川・国際政治学は、一にチャーチル、二にチームB。

8、Reaganの最も有名な、しかも世界史的な「1983年3月23日演説(SDI演説)(未邦訳)。インターネットで検索可能。Address to the Nation on Defense and National Security.

*Reagan演説は、反共・反ソであるが故に、日本の新聞界・出版界は、可能な限り排斥した。

9、【核軍備管理と核抑止の基礎知識】については、下記の三冊。

a 中川八洋『現代核戦略論―核時代の平和学』、原書房。

b 中川八洋『核軍縮と平和』、中公新書。本来のタイトルは『SDI・・・』。ある理由からタイトルに急遽変更した。大いに反省している。

c 中川八洋『永遠の核抑止、終焉した軍備管理』、1993年末に出版予定で上梓。出版社は2社ほどオファーがあったのに、細川政権の誕生その他でついうっかり原稿を渡すのを忘れた。「核抑止」概念が、日本の文献では、突出して最も分かり易く解説されている。なお、この三冊と、先にリストした『日本核武装の選択』をもって中川・核戦略四部作という。

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