トランプ大統領のINF全廃条約破棄こそ、日本と東アジアの平和に対する(ノーベル平和賞に値する)偉大な貢献 ──日本が恐怖すべきは、日本国滅亡のロシア/中共の対日核攻撃

Pocket

筑波大学名誉教授    中 川 八 洋

 “核兵器のない、阿鼻叫喚の戦争の時代”を心底で希求する戦争待望狂朝日新聞は、トランプ米国大統領の(大統領就任以来)初めての“偉大な世界平和貢献”であるINF条約廃棄を罵倒すべく、あらん限りに真赤な嘘偽りの“核の恐怖”を煽動する逆走報道に精を出している。

 『朝日新聞』2018年10月22日付け二面の大見出しは、「核の歯止め失う恐れ」。何ともカビの生えた古臭い核恐怖煽動であることか。モスクワや北京の支配下にある朝日新聞は、ロシアや中共の核軍拡を熱烈に応援し、米国に対しては核軍縮に押しとどめようと、どす黒い企図がアリアリで露わ。ロシアや中共に、日本に対し核恫喝や核攻撃をさせ、日本が国家滅亡するのを社是とする朝日新聞とは、ロシアが日本に潜入させている前衛の侵略部隊。超「反日」の対日工作機関。

※2018年10月23日に中川八洋掲示板のために執筆された記事を、再掲載したものです。

米国の核軍縮での“戦争の東アジア”を祈る、“戦争のない平和”が大嫌い朝日新聞

 後述するように、INF(中距離核戦力)全廃条約をレーガン大統領が1987年12月に締結したのは間違いであった。トランプがこれを廃棄する事は正しい。なのに、朝日新聞が、この正義に適う正しい条約廃棄を非難するのは、同紙が中傷誹謗を越えた恐ろしい他意を秘めているからだ。

 “侵略の皇帝”プーチンが率いるロシアは、INF全廃条約に対して遵守する気などさらさらなく、違反のし放題。つまり、INF全廃条約はすでにロシアによってズタズタに空洞化している。条約の理論からしても、この条約はいったんゼロベースにする方が、国際安全保障の常道で、理に適った対応。INF全廃条約からの米国の離脱は、常識の範囲内の行動で、非は何一つもない。

 ウクライナのクリミヤ半島を侵略したように、“侵略の皇帝”プーチンが率いるロシアは核軍拡のやりたい放題だけでなく、今や、核戦争そのものの準備に余念がない。核弾頭搭載の(中距離)地上発射巡航ミサイル(備考)の著しい増強は、この核戦争の準備として不可欠だからである。また1㌔㌧以下の低出力の核弾頭の開発と配備に全力を講じているのも、それが使える核兵器だからだ。ロシアは、次の戦争では通常兵器と同じ感覚で、この低出力核弾頭が塔載された巡航ミサイルをふんだんに使用するだろう。日本はロシアが戦争を企てる筆頭標的になっているから、北海道には、この低出力核弾頭が搭載された核巡航ミサイルが雨霰と撃ち込まれる。ともあれ、ここ十年以内に、ロシアは、この低出力核弾頭を数千発も実戦配備する。

(備考)例えば、INF条約違反の、ロシアの地上発射型巡航ミサイル「ノバトール9M729」は2014年、発射試験に成功した。この時、INF条約は空文と化し死んだ。朝日新聞は、プーチンが殺した“死体の条約”を米国は守れと主張している。悪意と狂気なしにはできない異様極める主張。また、超現実の核廃絶を妄想する“マルクーゼ系コミュニスト”オバマ大統領は、この2014年、INF条約の廃棄をプーチンに通告すべきだった。しかし朝日新聞は、オバマ大統領のこの責任放棄の方は批判しない。

 要するに、朝日新聞の嘘八百の記事は、すでに“死体のINF全廃条約”が、核兵器の増強や核軍拡を阻止するのに役立つと、現実から乖離した妄想や極度な逆立ちを前提に論を進めている。蒋介石殺害が戦争目的だった1937年7月の対支那戦争開戦に始まる、八年間の大東亜戦争を煽りに煽った“自国民殺しの戦争大好き”朝日新聞は、性懲りもなく再び、ロシアと中共の核兵器で日本人を大量殺戮したいのである。

 ヒロシマ/ナガサキに核は投下されているから、日本に対する核攻撃は、ロシアも中共も気兼ねする必要もないし躊躇う閾値(しきいち)が低い。「人類初の被爆国は、確率的に、人類第二の被爆国となる」は一般原理。この原理について、残忍な日本人大量殺戮を社是とする朝日新聞は百も承知。

「米国の核増強がロシア核軍拡を阻む」「米ロ核競争が核軍縮の道」は証明済み真理

 朝日新聞は、「INF条約は、冷戦終結のきっかけとなった極めて重要な条約」だと吹聴する(二面「解説」)。全くの嘘。全くの歴史の偽造。歴史の真実は、以下の通り。

 1989年11月にロシアの植民地・東欧諸国が解放されたことをもって、ゴルバチョフが造語した“全世界騙しの呪文”「冷戦の終結」を振り撒いた。が、「冷戦の終結」の原義である東欧解放は、INF条約とはいっさい無関係。この事実は、しっかりと踏まえる必要がある。

 東欧解放は、1983年末にアンドロポフ共産党書記長(KGB議長を兼務)が決定した。数十万人の将兵を擁する軍隊組織であるKGBのロシア単独支配が強まり、共産党権力が崩壊していく時期に共産党書記長となったゴルバチョフは、KGB職員が一丸となってアンドロポフ遺言を守っている情況下で、この遺言を忠実に実行する以外の選択はなかった。すなわち、「冷戦の終結」をなぜアンドロポフは決定し、ロシア最強の絶対権力官庁KGBはなぜ1984年に死没したアンドロポフの遺言を守ろうとしたのかこそ、「冷戦の終結」問題の核心だろう。

 パ―シングⅡ弾道ミサイルと地上配備型トマホークを西欧同盟国の地上にレーガンが配備した1983年、アンドロポフは「米国は本当に対ロ核戦争をするかもしれない」「この核戦争においてはロシアの全面敗北となるのは確実」と判断した。そこでロシアは、①中距離弾道ミサイルSS20を一基残らず解体する代り、米国もパ―シングⅡ弾道ミサイルと地上配備型トマホークの撤去かつ解体するINF条約を締結すること、②その後に東欧六ヶ国を解放し、米国の対ロ核戦争の意思も動きも完全に雲散霧消させろと(備考)、KGBの幹部に命じた。この幹部の中に、三十一歳のプーチンがいた。

(備考)1983年末のアンドロポフの命令は詳細で、東欧解放については年月日まで定めた。「フランス革命200周年の1989年にすること」「レーニンの1917年共産革命の記念日11月7日」にすること。ゴルバチョフはこれを守り、ベルリン壁崩壊は1989年11月7日であった。

 このように冷戦の終結の立役者は、シング弾道ミサイルと地上配備型トマホークの西欧同盟国の地上配備であり、それを推進したレーガンである。レーガンによる米国の核増強が、ソ連邦を崩壊させて、いったんはロシアの核軍拡を中断させたのである。これを“米国の核による平和”という。

 そして、東欧を解放した慣性で、ソヴィエト連邦の共産党/KGB二頭独裁体制は、1991年12月25日のキリスト生誕の日を期して、ロシア連邦という(共産党のいない)KGB一頭独裁体制に移行した。アンドロポフが策定したアジェンダに従って、これらすべての国家改造を取り仕切ったのがKGB第二総局。だからプーチンもメドベージェフも、KGB第二総局の将校出身なのである。

 この“共産革命を逆走させた”かのような「ソ連→ロシア」の歴史の真実を隠す対外プロパガンダのため、KGBは、1985年から1991年の間、ソヴィエイト・ロシアの“最後の書記長”に、天性のプロパガンディストでウォッカが飲めないルーマニア系の“おしゃべりゴルバチョフ”を選び、アンドロポフが立案した“ソ連の計画的な大退却”を世界の目から隠すのに成功した。

 朝日新聞が、「《冷戦の終結》は“ゴルバチョフの新思考”による」と見え透いた真赤な嘘情報を流すのは、退却や敗北を外国に見せない民族文化が基底のロシア帝国に依頼された筋書きに従った“日本人騙しの真赤な嘘”。朝日新聞とはロシアの対日工作機関。日本の報道機関ではない。

“悪の核兵器”は廃絶しなければならない。が、“善の核兵器”はいくらあっても良い。

 朝日新聞によって煽動され多くの日本人が洗脳されているが、核兵器を何でもかんでも悪とする馬鹿げた狂説が妖怪のごとくに日本国の上空を飛び回っている。が、警官のピストルと強盗のピストルとが“善のピストル”“悪のピストル”で差別され同一視されていないように、核兵器も“善の核兵器”と“悪の核兵器”に差別するのが正常。この差別化をしない共産党や朝日新聞は、頭が狂っている。“気狂いどもの狂祭”核廃絶運動を蔑視し拒絶しない日本人は、オウム真理教の狂人信徒と何ら変わるところがない。

 具体的には、日本国を現実にロシアと中共から守っているのは米国の“対ロ/対中の核抑止”だから、米国の核兵器は“善の核兵器”である。一方、日本に対し核攻撃の照準を合わせ、いつでも核恫喝する態勢のロシアと中共の核兵器は“悪の核兵器”に分類される。この“悪の核兵器”が核恫喝や核攻撃に使用されるのを抑止する米国の“善の核戦力”を抑止力という。

 用語「抑止deter」も、用語「抑止力deterrennce」も、その原義は警察用語。警察は、「警官のピストル/ライフル銃が善(=正義)」「強盗や殺人犯のそれは悪(=不正義)」と、ピストルやライフル銃の善悪を、所有者の善悪を投影して峻別・差別化する。

 核戦略用語に転用された「抑止」は、このように、善の兵器が“悪の兵器の使用”(=戦争、侵略)を躊躇わせることを言い、「侵略」対「防衛」の国連憲章と同じ善悪に基づき、善者が武力行使(=防衛)する直前の平時の武力の機能を指す。これと似て非なる、逆の事態「強盗の悪の機関銃が、警官が善のピストルを使えなくする」情況を、“逆抑止counter-deter”と言う。このように、抑止は、対極的な“通常の抑止”と“逆抑止”と、主客関係の善悪で差別される。

 日本でふんだんに使用される「核廃絶」が、カルト宗教の呪文や狂気の経文として唱えられていることは、これで判明しただろう。“善の核兵器”なしには、世界の自由と秩序ある平和は維持されえない。すなわち、廃絶されるべきは“悪の核兵器”だけである。だのに、「警官のピストルも廃絶せよ」と叫んでいるのは、狂気の沙汰を越えて“究極のカルト”「核廃絶教」を狂信しているからである。狂スローガン「核廃絶」を、大音量でが鳴りたてる共産党や朝日新聞は、オウム真理教よりはるかに狂気度が高いカルト宗教団体。これらの首謀者は、麻原彰晃と同じく死刑を執行しておかねば、日本人が何千万人もロシアや中共の核弾頭で死ぬことになる。

ノーベル平和賞を妻ナンシーに贈りたく、INF条約を締結したレーガンは初期認知症?

 レーガンは1983年、パーシングⅡ弾道ミサイルと地上配備型トマホークを西欧同盟国の地上に配備することによって、ロシアが予定していたアフガンに続いて北海道とイラン、次に西欧へと世界大戦級の大戦争を開始する直前に、それを完璧に阻止した。米国の欧州地上配備の中距離核ミサイルは、まさしく“対ロ抑止の鑑”であった。

 ところが僅か四年後の1987年末、レーガンは、「パーシングⅡ弾道ミサイル/地上配備型トマホーク」の撤去のみならずその解体まで、なぜかロシアに同意した。ロシア側の代償が「すべてのSS20の解体」ではバランスを欠きすぎ割が合わない。何故なら、SS20は、これら米国の中距離核戦力によってすでに十分に無力化しており、ロシアの「10の核軍縮」に対し米国が「200の核軍縮」をするようなもの。余りに不平等・不均衡に過ぎる核軍縮がINF全廃条約であった。

 当時の私には米国の国務省や国防省に知り合いがいたので、問い合わせたところ、回答は①「国務省や国防省のほとんどはINF条約に反対である」②「レーガン大統領はノーベル平和賞を妻のナンシーに贈りたく、またゴルビーとのINF条約締結は確実にノーベル平和賞の受賞だと思い込んでいる」であった。

 INF条約を締結しなければ、1988年までには、地上発射型トマホーク464基すべてが、西ドイツ/英国/イタリア/オランダ/ベルギーに配備される。この配備完了をもって、ロシアに“核戦争をしてもいいんだよ”と示唆すれば、核戦争恐怖症のロシア民族の習性から、勝手に東欧六ヶ国の返還だけでなく、旧東プロイセン(ドイツの固有領土)(バルト海とリトアニアとポーランドに挟まれている)ケーニヒスベルグ(ロシアは「カリーニングラード州」と命名)も、フィンランドの北端ルイバーチー半島/南端カレリア地峡も、ロシアは黙って返還してくると、私を含めて世界中のトップ・ロシア専門家は考えていた。

 が、レーガンは、愛する妻ナンシーを優先した。女性への愛は宝石がふさわしいのに、レーガンは、星占いに凝りノーベル平和賞をねだる愛妻に屈した。噂では、レーガンは初期認知症の症状を発症していた。私は、108基の核弾頭パ―シングⅡ弾道ミサイルと464基の核弾頭トマホークGLCMに加え、約800基のSLCM核トマホークによる“核包囲nuclear encirclement”という、絶大な“沈黙の威力”に屈し、ロシアは第二次世界大戦で侵略した欧州の領土を無条件返還するだけではなく、1990年頃にはロシアは北方領土/千島全列島/南樺太も黙って返還してくると踏んだ。

 だが、1987年のゴルビーはパール・ハーバー奇襲12月7日の日を選んでワシントンに殴り込みをかけ、まんまとレーガンを騙しINF全廃条約締結に成功。ロシアは東欧返還とアフガンからの撤兵だけで、欧州戦域核戦争(注1)の恐怖から解放された。そして、二十年後のロシア帝国の復活=再膨張のための雌伏の道を選んだ。二十年後の2011年頃、新ロシア帝国として復活するとの私の予測を『蘇えるロシア帝国』(注2)でまとめた。この拙著は精密時計のごとくに正確に的中した。

トランプ大統領よ、新・米ロ戦略条約も破棄せよ!

表1;米国が即時廃棄すべき、ロシアの対外侵略を助長する核軍縮三条約

 条約は相手国を縛るが自分は縛られないと考える反・国際法の民族文化を持つロシアとの間での、軍縮条約と平和条約だけは締結してはならない。米国ひいては世界にとって危険極まりない米ロ核軍縮条約は主要なものは三つある。今、漸く、二つが廃棄された。残りはあと一つ。非米的な“核廃絶狂お馬鹿”オバマ大統領が締結した新・戦略核兵器削減条約(新START)である。

 この条約は、射程(航続距離)5500㎞以上の核弾頭搭載の弾道ミサイルと核ミサイル搭載の長距離爆撃機の基数・機数の上限を定めたものだが、ロシアはいっさい守っていない。弾道ミサイルの核弾頭数は「1550発」だが、ロシアは、ここ数年で「8000発」を実戦配備する。

 この根拠として二例を挙げる。第一は、最新鋭のボレイ級原子力潜水艦に搭載されるSLBM「R30ブラヴァー」である。「ブラヴァー」の性能諸元は射程約1万㎞で、核爆発威力150ktの核弾頭を一基当たり6~10発搭載できる。またボレイ級原子力潜水艦は16基の発射筒を持つから、「ブラヴァー」一基が6発塔載するとすれば、一隻で「6ヶ×16基=96発」の核弾頭を米国本土や日本に投射できる。現在、ボレイ級潜水艦は三隻が就役しており、五隻が建造中/艤装中であり、計八隻がここ数年で就役するから核弾頭数は「96ヶ×8隻=768ヶ」となる。「ブラヴァー」一基に10発搭載すれば、このSLBMだけで「1280ヶ」が実戦配備される。

 第二は、NATOコード名が「サタン2」のICBM。ロシア名は「RS-28サルマト」という。射程は1万1千㎞。これは超ド級のICBMで、爆発威力750ktの核弾頭を10~15ヶ搭載できる。これはまた、プーチン大統領が2018年3月1日の年次教書演説で自慢したICBMでもある。プーチンによれば南極周りでワシントンやニューヨークを核攻撃できるという。この演説の直後の3月30日、二回目の実験を行い成功したので、実戦配備は今年の年末頃かも知れない。しかも、これらの核弾頭はそれぞれ独立の軌道修正の装置付きなので、迎撃MDは難しい。

 米国は、米国の核兵器の進歩と強化を自己規制する新STARTを廃棄しない限り、プーチンのロシアはますます核増強し、世界はロシアと中共による“戦争したい放題”の、無法と地獄の“戦争の世紀”へと移行する。“事実上の非武装”状態の自衛隊という、超貧弱な軍事力で日本が生存し続けることは全く不可能。日本の国家存立は、一にも二にも、米国の強力な対ロ核戦力に依存している。対露絶対優位の米国の核戦力こそ、日本と東アジアの平和の砦である。

 トランプ政権は、2018年2月、マティス国防長官名で「核戦略の見直しNPR」を発表したが、やたらブツブツと問題を指摘するばかり。1981年1月の就任早々のレーガン大統領のごとく、高らかに核戦力の大増強を宣言し、一気に前に進める勇断を決行すべきであろう。国際政治は言葉ではなく、行動である。この手始めが新START条約の破棄。言うまでもない。

ロシアは、恐怖を煽る強面の脅迫をする時、必ず譲歩する。トランプよ、もっと押せ!

 ロシアは、10月21日、総力を上げて舌戦に出てきた。朝日新聞はロシアを代弁し、それを増幅した拡声器報道に余念がない。ロシア外務次官は「INF条約の破棄は大変危険だ。国際社会の全メンバーから深刻な批判を受けるだろう」と。が、危険なのは、プーチンの大規模な核軍拡だ。真に危険を回避したいなら、まず自ら「RS28サルマト」の配備を永久に中止すると世界に公約するはずだ。

 まだ生きていたのには驚いたが、ゴルバチョフも「ソ連と米国の指導部が注いだ全ての努力を無にするものだ。何が起きるか、米国は理解できないのか」と、核戦争を示唆し米国と世界を恫喝している。トランプは、レーガンに学び、核戦争をロシアがしたいなら受けて立とう、と言い返せばいい。

 また、ロシア下院の国際問題委員長は「世界を再び核軍拡の戸口に立たせる事になる」と喚いたが、お門違いも甚だしい。この非難は、「ロシアは核の大軍拡を進めるぞ!」と世界に宣言した2018年3月1日プーチン演説に投げつけるもの。「プーチン」を「米国」に摩り替えるとは、スリ犯の言説。

 さて問題は、このようにロシアが口汚く脅迫めいた言辞を弄する時は、ロシアが頭まっ白であたふたと慌てている時だから、1981~4年のレーガン大統領のように、押せ押せの一本鎗が、プーチンに核軍拡を止めさせる決定的効果を産む。トランプよ、一気に米国は核軍拡を押し進めることだ。ロシアの方から必ず、核軍拡競争を止めようと言い出してくる。

安倍晋三よ、北方領土奪還の好機だ!米国のINF条約破棄の支持声明を出せ!

 日本にとっても、今般のINF条約廃棄は、好機である。安倍晋三はまずトランプ大統領のINF条約からの離脱を「歓迎する」「支持する」旨の首相談話を発表する。そして、米国が新型の中距離ミサイルを開発した場合、その配備に北海道を提供する用意があると宣言する。非核三原則を廃棄する好機でもあるから、むろん非核三原則の廃棄を閣議決定する。

 この時、プーチンの方から、「北方領土を無条件即時に返還するから、ハバロフスク(極東戦域の総司令部の所在地)とウラジボストーク(太平洋艦隊の母港)を標的とする米国の中距離核ミサイルの北海道配備を止めてくれ」と恫喝してくる。ロシアは懇願したり妥協・譲歩するとき、それを必ず恫喝のスタイルで表現する。北方領土の奪還は、米国の核戦力を“極東戦域核戦争”の態勢で日本領土内に配備するのが、もっとも簡便で確実なのだ。本件をもっと詳述したいが、別稿で論じることにしよう。

(2018年10月23日記)

1、中川八洋『地政学の論理』、徳間書店、203頁。

2、中川八洋『蘇えるロシア帝国』、学習研究社、1992年5月末に出版。執筆開始は1991年12月26日、上梓は1992年3月31日だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です