筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
TPPの批准国会で、安倍晋三は、苦戦している。TPP(環太平洋経済連携協定)が当分の間おそらくここ四年間は発効しないことを知った農協とそれが支える自民党農林部会は勢いづき、安倍晋三の正しい農協改革を骨抜きにしてしまった。トランプ次期大統領の誕生とリマでの安倍のトランプへの裏切り行動が、私も安倍晋三を支持し応援してきた“安倍晋三のTPP推進”を、ほとんど御蔵入りにした。
リマAPEC会議で引退直前のオバマに唱和し、トランプの保護主義を非難合唱した安倍の非常識
安倍晋三の“外交音痴”というよりも“外交白痴”は度し難い。何故なら、APEC首脳会議(備考)で、トランプが虫唾が走るほど大嫌いなオバマ大統領の保護主義非難演説に、安倍だけでなくニュージーランド首相やその他の首脳もそうだが、「その通りだ」と皆で保護主義非難を大声で合唱した。そして11月20日、APECは「あらゆる形態の保護主義に対抗する」との首脳宣言を採択した。
私は、その光景をテレビで見ながら、感情を直ぐ爆発させる“マナー欠如の《瞬間湯沸かし器》トランプ”が、この光景だけには、来年1月20日の就任式まで「TPPからの米国離脱」宣言を待てまいと直感した。
(備考) APECとは、「アジア太平洋経済協力会議」のこと。
案の定その通りになった。トランプは、必要もないのに、翌21日、動画サイト「ユー・チューブ」に、「就任日に離脱を他のTPP加盟国11ヶ国に通告する」と闡明した。APEC首脳宣言への報復である。
安倍晋三は、トランプ氏との関係を重視して刺激しない行動をするべきで、ベストはAPEC首脳会議の開催を(11月9日の大統領選挙結果判明後すぐ)トランプ大統領就任後に延期することだった。それが無理なら、自分の発言の順番時間帯には仮病を装い、大使等に代読させて、会場から消える次善の策を採るべきであった。
「あらゆる形態の保護主義に対抗する」とは、「トランプは間違っており、太平洋の貿易制度を巡って、APECはトランプと全面戦争をする」との宣戦布告文ではないか。トランプ攻撃に終始したAPEC首脳会議は、中共の習近平やロシアのプーチン大統領が主導した“日米分断”に悪用されていたのに、安倍晋三はAPECのこの欠陥──日本の国益と相克する事──に気付いていない。
安倍晋三は、2日前の17日、“保護主義の巨魁”トランプ氏と直接会談した仲である。せっかく培い始めたトランプ氏との友情こそ重視すべきだろう。いつもの“ポイ捨て性癖”をこの時こそフルに発揮して、オバマとは意見が異なるかの演技に徹して“オバマをポイ捨て”し、APECに対して背を向ける“APECポイ捨て外交”に走るべきだった。
私は、「TPP発効後に、12ヶ国はAPECを離脱する」ことが望ましいと考えている。習近平とプーチンは、この逆で、日米同盟の弱体化と軋轢助長のため「TPPを潰して、APECの存続と強化を図る」ことに執念を燃やしている。日本は、中ロの「TPPを潰して、APECの存続と強化を図る」謀策に対抗する“対抗外交(counter-diplomacy)”を直ちに展開する必要がある。その基本方向は、まずは“APECからの日本の離脱”。
しかし、安倍晋三や外交白痴の自民党国会議員たちだけでなく、外務省外交官の質的劣化はひどい。“APECつぶし”を検討していない日本とは、最低限の外交すらできなくなった外交無能国家の証左である。特に、日米同盟を重視するなら、それを阻害するAPECを軽視するか、廃止しようとするはず。だが、安倍晋三は、烏滸の沙汰にもAPECが大好き。安倍晋三が、TPP批准国会で四苦八苦しているのは、自らの“外交無能/外交ごっこ”が招いた自業自得といえよう。
日本の国益はトランプ/プーチン分断。トランプ会談二日後にプーチンと会談した安倍の支離滅裂
安倍晋三は、トランプ氏との折角の友情づくりをハチャメチャにぶっ壊した。それは、トランプが八年前から“俺の敵の中でも最悪の宿敵”としているオバマと安倍晋三が一緒になって、“トランプの保護主義反対!”のコーラスを歌ったからだ。
安倍はどうも、「トランプとは、大嫌いな黒人オバマの大統領職の失職を図るべく、オバマのハワイ州での出生証明をしつこく要求した“全米一のオバマ嫌い”」という事実も知らないようだ。「トランプと親友になりたければ、オバマの悪口を言うのが手っ取り早い」は常識で、ジョークではない。墓場に入ったあの世でも罵倒し合う「トランプ-オバマ関係」は、選挙中どんなに罵り合おうとも選挙が終わればお互いに水に流す「クリントン-トランプ関係」とは根本において相違する。が、安倍は、この事実を知らない。
それだけでなく、日本外交の最優先アジェンダは、トランプをプーチンから分断する事である。が、日本の国益が全く見えない安倍晋三は、トランプとの会談から2日後(19日)に、プーチンと70分間も会談した。
要するに、安倍晋三は、外交をしていない。総理という権限と立場において、違法性はないが世界一周旅行に現を抜かしているのである。一般人の観光旅行と本質において変らない安倍晋三のを、“世界要人との会談マニア型”世界一周観光旅行という。それなのに安倍晋三は、この「“世界要人との会談マニア型”世界一周観光旅行」を自画自賛して、自ら“地球儀を俯瞰する外交”と名付けた(2016年9月26日、衆議院での演説)。
笑止千万とは、このような幼児的妄想をいう。「地球儀を俯瞰する」とは、人工衛星から地球を眺めた宇宙飛行士になった積りだから、やはり安倍は自分を外交しているとは思っていない。“遊び三昧”の世界一周観光旅行していることを自覚して“世界要人との会談ごっこ”を謳歌している。
外交は、一挙一動、熟慮と慎重とが要求される。「トランプに会った以上、APEC参加はトランプを逆上させて逆効果になるので、APECでは仮病を使って席につかないことにしよう」など、臨機応変に対応するのが外交である。それほどまでに各外交ごとに熟慮と慎重と精緻さが要求されるから、日本の総理に、“世界要人との会談ごっこ”をしている暇などまったくない。総理職の頭を重要外交に絞って集中することができないなら、日本国全体の外交自体を重大に毀損する。安倍晋三の“世界要人との会談ごっこ”による海外旅行三昧は、日本国に致命的損傷を与えている。
プーチンの指摘「安倍の《新しいアプローチの対ロ外交》は全く意味不明。理解不可能」は正しい
序なので、この11月19日のプーチンの公然たる安倍晋三非難を振り返っておこう。安倍晋三との秘密会談を終えたプーチンは秘密会談のルールを破り、秘密会談で自分が話した内容を記者たちにすべて暴露した。それだけでなく、安倍晋三の“お馬鹿さ”に対して公然と非難した。さすが大秀才のプーチンらしく、この安倍非難の指摘は、厳密に正確である。
プーチンが「安倍は馬鹿だ」と指摘したように、確かに安倍晋三は、日本国民を騙している。安倍流日本人騙し語が「新しいアプローチに基づく対ロ交渉」。こんな幼稚な嘘をつくのが、滑舌芸人の安倍晋三。“嘘つきクリントンが、正直トランプに負けた”米国大統領選挙から、安倍晋三は、「正直さ」の価値を学んだらどうだろう。
安倍晋三の対ロ交渉はすべて、1997~8年の橋本龍太郎が大敗北した対エリツィン交渉をそのまま踏襲した“二十年前の古いアプローチ”である。つまり、安倍は、“二十年前の古いアプローチ”を、日本国民に対して、「新しいアプローチだ」との真逆の偽装表示を張り付けて宣伝している。賞味期限の過ぎた食品の表示を張り替えて消費者に売りつける悪徳産廃業者と同じやり方。安倍晋三の本性には強度の日本人騙し癖が根付いている。
第一節 「政経不可分」原則を破壊した、鈴木宗男・佐藤優一派の大犯罪
日本人はIQが低く記憶力がほとんどないから、鈴木宗男一派に担がれた“外交白痴”橋本龍太郎のトンデモ対露外交を覚えてはいまい。だから日本人は、安倍晋三が、二十年前に、橋本龍太郎が全面敗北したトンデモ対露外交を瓜二つで繰り返していることに気づかない。「“お馬鹿” 国民ありて、“お馬鹿”総理あり」である。
以下、橋本龍太郎の(当時においては、国民騙し語ではない)「対ロ新アプローチ」を復習しておこう。
ソ連邦が崩壊し新ロシアが誕生する1991年を境に、実は、ロシア以上の革命的激変が日本に起きていた。外務省のロシア・スクールがかつての“反ロシアの吉田茂路線”から、“親ロシア路線”に180度ひっくり返ったからだ。また、1991年に入り、共産党独裁のソ連邦が崩壊し追放される気配が漂い、明らかによれよれになっていたゴルバチョフ・ソ連共産党書記長を、日本政府は、あろうことか公式に訪日させる“異常外交”に走った。1991年の日本は、国挙げて、対露外交の不能と錯乱の巷と化していたのである。
1991年の日本の、対露外交の不能と錯乱は、むろん1980年代から徐々に形成されたのであって、突然に発生したのではない。例えば、中曽根政権の安倍晋太郎・外務大臣など、対ロ外交の分野に限るが、多くの“悪の政治家”が外交を外務省から奪ったことによって、日本外交は“不能と錯乱”を強く呈するようになった。
さて、橋本龍太郎の1997年「対ロ外交の新アプローチ」とは何だったか。それは、今、安倍晋三が対プーチンで模倣・踏襲しているから、内容は、誰でも知っている。「信頼/相互利益/私たちの世代で解決(=長期的な視点)」という三原則。この“日本国民騙し語”「相互利益」とは、“日ロどちらも勝者と敗者にならない”をスローガン化したもの。戦後四十二年間(1945~97年)一貫して、日本の政府・一般国民の間には「四島一括無条件返還」論しかなかったのが、橋本龍太郎の悪魔語「相互利益」以降、「三島返還」とか「二島返還」とか「領土面積折半」(択捉島の四分の一日本、四分の三ロシア)とかが、日本の歴史上初めて飛び交うようになった。1997年の橋本龍太郎(を操る鈴木宗男)をもって、日本は名実ともに対露従属国家の道を公然と選択したのである。
ポスト冷戦時代になってからの対ロ売国奴第一号となった橋本龍太郎の「対ロ三原則」は、具体的には、1997年7月24日の経済同友会での講演において表明された。
これを主導したのは、鈴木宗男。この橋本講演原稿の第一次原案を執筆したのは経産省の対ロ工作員官僚だが、それは事前に鈴木と打ち合わせた外務省“朝鮮人三羽烏”の構想に基づいていた。外務省”朝鮮人三羽烏“とは、東郷和彦(備考1)/篠田研次(現シンガポール大使)/佐藤優のこと。ロシアを祖国とするこれら反日人士によって、戦後四十二年間守られ続けた、日本の対ロ外交の基軸を全面破壊する、「橋本対ロ三原則or橋本対ロ新アプローチ」が完成した。
外務省“朝鮮人三羽烏”に、樺太生まれの“鵺男”丹波実(のち駐ロ大使、備考2)が加わっている。なお、“犯罪外交官”東郷和彦は、2002年の鈴木宗男事件の共犯者としてオランダ大使を免官されたが、逮捕・起訴を逃れるため永く逃亡先のアイルランドから帰国しなかった。篠田研次が逮捕・起訴されなかったのは、適用法律の偶然からである。
(備考2) 丹波実は、レーガン大統領の対ソ巻き返し時代の1980年代初頭、私の対ロ外交の根本「《➀日本が軍事力増強して拳をロシアに振り上げる、②対ロ無交渉に徹する、➂ロシア軍の撤兵と同時に陸上自衛隊が平和的に進駐する》が、無条件四島一括返還の日露間の最終合意になる」を聞いて、「僕は君の意見を過激だと思わない。ロシア民族/ロシア対外行動を知り尽くした見解だし、樺太でのソ連軍の暴虐を経験した僕は、納得以上のものを感じて同感だ」と語った。だが、1997年、丹波は駐ロ大使になりたくて鈴木宗男に胡麻をすり対ロ屈伏一辺倒になった。丹波実に抗議しようと某退官外交官に仲介を頼んだら、「丹波実の心底の信条は、確かに中川教授に近い。が、丹波は、自分の信条より出世第一主義の男だから、会っても無駄だよ」と止められた。
安倍晋三に変更ゼロでそっくり引き継がれた橋本龍太郎「1997年対ロ新アプローチ」は、実は、1996年の村山富市・社会党政権の誕生に乗じて、鈴木宗男/佐藤優/東郷和彦/篠田研次という“悪のロシア工作員四人組”が考え付いたもの。なぜなら、彼らが書いた露語パンフレット『日本とロシア──真の相互理解のために』(1996年)は、「四島の帰属」に改竄しており、「四島の返還」の“返還”の二文字を日本史上始めて消した革命であった。しかも、翌1997年からは「新アプローチ」と言われる、日本の対ロ属国化の対ロ叩頭外交を、篠田研次は、「重層的アプローチ」だと自画自賛した。
鈴木宗男/佐藤優/東郷和彦/篠田研次という“悪のロシア工作員四人組”の「新アプローチ=北方領土の全面放棄」の宣伝を買って出たのが、佐藤優の盟友である斎藤勉(産経新聞社)であった。産経新聞は、1996年11月30日/12月2日/12月4日付けで、この「新アプローチ(=北方領土の全面放棄)」を「新潮流」として連載して宣伝してあげた。その見出しタイトルが「日ロ新潮流──X氏は語る」。X氏とは、東郷和彦のこと。
斎藤勉は、『北方領土が泣いている』(注1)で鈴木宗男/佐藤優を激しく非難したから、世間では常識を逸脱していない北方領土奪還論者だと見做されている。だが、『北方領土が泣いている』は、自分がロシア工作員である事を隠し偽装するためのアリバイ工作で、真赤な八百長本である。“ロシア人”斎藤勉は、鈴木宗男/佐藤優の同志であり、北方領土全面放棄論者である。
第二節 “朝鮮人”花田紀凱は、“ロシア人”鈴木宗男の対日工作拡声器
「エリツィンとのクラスノヤルスク/川奈会談」に集約される、1997~8年の橋本龍太郎の北方領土全面放棄革命に関係したロシア工作員を、表1に纏めておく。
表1;1997年の北朝鮮人アナーキスト・外務省「KGB連合」
橋本龍太郎の対ロ全面屈伏をそっくり繰り返した自民党の“対ロ売国奴”首相が、小渕恵三、森喜朗、安倍晋三で、これら四名の対ロ政策にいかなる差異もない。何故なら、この四名の自民党首相は、対ロ交渉を事実上、鈴木宗男に丸投げしているのだから、「安倍晋三←森喜朗←小渕恵三←橋本龍太郎」と、全員がまったく同じ形で対ロ全面屈伏するのは当然である。
そこで、話を2016年の「今」に戻す。
安倍晋三は、プーチンの罠に嵌り、もはや蟻地獄に落ちて死を待つばかりの昆虫になっている。これを打開する道は、ただ一つ、プーチンとの長門市首脳会談をキャンセルし、「極東開発八項目経済協力」仮合意を破棄することだが、人気至上主義者で日本の国益など眼中にない安倍晋三には、このような正しい日本人になろうとの覚醒もなければ、そのような決断もできないだろう。
対ロ経済協力の危険も見抜けない安倍晋三は、「北方領土は、ロシア主権下のロシア領」すら認める可能性が大。ここでは、それらを詳細に論じる紙幅はない。そこで、安倍晋三をこの蟻地獄に引っ張り込んだ“獰猛な黒蟻”鈴木宗男と裏でつながる一部マスメディアをほんの少し概観する。
明らかに、“ロシア人”鈴木宗男と深い絆で結ばれているマスメディアの筆頭は、『月刊Hanada』。その12月号は、モスクワで編集されたとしか思えない代物。きっと『月刊Hanada』の編集長は、KGB第一総局(SVR)の将校だろうと表紙を見たら、「花田紀凱」と印刷されていた。
これには、最初は腰を抜かすほど驚いた。花田紀凱は名うての朝鮮人だが、KGB工作員だとはこれまで知らなかったからだ。『月刊Hanada 』12月号は、事実上の巻頭特集で、ロシア工作員の鈴木宗男と飯島勲の論稿を掲載している。しかし、よくよく考えれば当たり前だと納得した。朝鮮人アナーキスト花田紀凱が、ロシア工作員ではないとしても、ロシアの対日工作に全面協力するのは、日本人を憎悪するその信条において考えられ得る行動で、不自然ではない。
長野県生まれ“朝鮮人二世”飯島勲は、ロシアの対日侵略を熱烈歓迎する“日本のキスリング”
『月刊Hanada』12月号の飯島勲の稿は、「飯島流《新ロシア論》 北方領土の返還の道筋と夢のシベリア鉄道を北海道へ」である。飯島勲と言えば、小泉純一郎首相の首席秘書官として辣腕を揮ったことで、ロシア工作員だと見做されることはこれまでなかった。特に、小泉純一郎は、直感が鋭く、プーチンを警戒し、また鈴木宗男が大嫌いだった。小泉政権の最初の外務大臣・田中真紀子が鈴木宗男と喧嘩をして、これがきっかけとなって、常日頃から警察・検察が外交機密漏洩でマークしていた鈴木宗男/佐藤優を逮捕した時、小泉はこれを黙認した。一説では裏で応援した。
このため、小泉純一郎の永く筆頭秘書であり続けた飯島勲について、北朝鮮系の朝鮮人だと知る者でも、ロシア工作員だとは知らなかった。飯島勲は鈴木宗男と肝胆相照らす仲だとは知らなかった。また、安倍晋三が、飯島勲を「内閣官房参与」という国家公務員に任用しているのを、北朝鮮に拉致された被害者奪還のためのパイプ役だからと勘違いしているものが多い。が、外務省排除をもって外交専断を図る安倍晋三は、対ロ交渉の現地情報収集の特使として飯島勲を活用している。
安倍晋三とは、実は、鈴木宗男と飯島勲がロシア工作員であることを知っているし、ロシア工作員こそ北方領土交渉が打開できると逆さに考えている、対ロ狂気外交に暴走する首相である。鈴木宗男や飯島勲のように、祖国をロシアとか北朝鮮とか考える非・日本人が、日本の固有の領土の奪還や返還要求に情熱を傾けるわけなど万が一にもないが、自分の人気や名前を後世に残したいだけの(日本国が不在の)“自己チュウ男”安倍晋三には、この当り前の理性も思考も存在しない。
ともあれ、飯島勲は、『月刊Hanada』12月号で、日本は、北方領土返還など要求すべきでない/極東シベリアの経済開発に協力する“ロシアの奴隷国”あるいは“ロシアに無料で搾乳され続ける雌牛”になるべきだと主張している。ロシア人になりきっている飯島勲の怖さは、それだけでない。ロシア軍が大規模に北海道に侵略できるよう、北海道に直結するロシア兵員・兵站輸送鉄道を敷こうと、ロシアの対日侵略の偽情報尖兵の役に嬉々としている。
「大陸のロシア側からサハリン(樺太)に渡る間宮海峡には、まず鉄道と自動車両用の二階建ての橋を架ける。次に、サハリン(樺太)の南端ユージノサハリンスク(豊原)と北海道の北端・稚内の間の宗谷海峡にはトンネルをぶち抜く。」(注2、カッコ内中川)。
日本とロシアとの間の貿易はシェアにおいて、欧米や中共そして東南アジアと比すればほとんどないに等しいから、このような鉄道は全く不要。軍用以外に使い道はない。しかもロシアは今でも鉄道は軍事力と見做しており、鉄道を非・軍事力の民間商業用だと考える日本人と真逆である。1945年8月に155万人のロシア大部隊が満洲になだれ込んだが、飯島勲は、この満洲での日本消滅の光景を、近未来の北海道で再現したいのである。
この飯島勲論稿から誰でも思い起こすのは、ノルウェーのキスリング(クヴィスリング)だろう。社会主義者キスリングは、ナチ・ドイツに傾倒し、ヒトラーのノルウェー侵略(1940年4月9日~)に際しては、それを手引きしてノルウェーをドイツ領にする事に没頭した。飯島勲は、まさにキスリングの再来で、日本の厄病神。
飯島勲を母国・北朝鮮に追放し、代わりに、拉致被害者たちと交換できないだろうか。キスリングは、1945年5月9日に逮捕された後、銃殺刑で処刑された。飯島勲がいつまでも日本に居座るなら、外患罪の死刑を適用できる立法を急がねばなるまい。
安倍晋三を“プーチンの犬”に追い込む策謀に大成功した、“ロシア工作員”鈴木宗男は今や高笑い
鈴木宗男の対日犯罪は、先述したように1996年から始まっており、刑務所にいた期間を除き一貫して、日本の領土をすべてロシアに貢ぐことに専念してきた。そればかりか、日本のすぐ真北にある樺太や極東そして北方領土を、ロシアの軍隊と兵器で軍事化するために、日本の経済力・技術力を日本の資金で開発させる事に専念している。
鈴木宗男がここ三年ほど全力をあげたのは、プーチンの落とし穴/罠に安倍晋三を追い込むことだが、これにも成功した。これほど凄腕の対日ロシア工作員は、河野一郎を越えているし、瀬島龍三とも優劣つけがたい。
ともあれ、今や笑いが止まらない“ロシア人”鈴木宗男の高笑いの一端が、『月刊Hanada』12月号での実娘との対談。それは、嘘八百の洪水で、まさに鈴木宗男がロシア人として、日本人洗脳に未曽有の才能を発揮している作品になっている。この対談の分析は、他の言論誌における鈴木宗男の論稿と併せて行う予定なので、ここでは割愛する。ただ、鈴木宗男が自分をロシア人だと考え、実娘に対し日頃からロシア人と結婚してほしいと願っていた事実がポロリと漏れている箇所だけ、紹介しておく。
「(宗男) お蔭様で今回、伴侶も得たわけですし。
(貴子) ロシア人でなくて残念でしたか。」(注3)。
ところで、編集長・花田紀凱が、読者に真赤な偽情報を擦り込もうとしている重大な問題を指摘しておきたい。なぜなら、『月刊Hanada』12月号での鈴木宗男の父娘対談の、そのタイトルを「北方領土返還に賭けた父と娘」として、事実を倒転し、180度逆にしているからだ。実際の鈴木宗男は、北方領土をすべてロシア領にして、ひとかけらも日本の領土とならないよう、1996年から全力で対日工作してきた。また、日本人をその方向に洗脳してきた。
花田紀凱は、正しいタイトル「北方領土の返還を徹底妨害した“悪魔のロシア工作員”鈴木宗男」に、なぜしなかったのだろう。読者騙しを職業とする、良心なき花田紀凱もまた、母国の朝鮮半島に戻って頂くほかはない。
(11月26日記)
注
1、斎藤勉/内藤泰朗『北方領土は泣いている』、産経新聞社、2007年7月。
2、飯島勲、『月刊Hanada』12月号、81~2頁。 3、鈴木宗男/鈴木貴子、同上雑誌、74頁。