南シナ海が急を告げる“風前の尖閣” ──国防を忘れた一億日本人と国防を嫌悪する安倍晋三

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筑波大学名誉教授   中 川 八 洋

「国防」の2文字も、「領土奪還」「固有の領土」も、死語になった日本

 日本は、すでに国家ではない。国家の原点たる“国を守る”=“国防(国家防衛)”も、“国土”=“国家の領土を守る”も死語になった。このような主権国家であれば当然の言葉は、日本中のいかなる新聞からもNHKなどのすべてのテレビ局からも聞くことは全くない。死語になったからである。いや、正確には、数十年間の学校教育と新聞に洗脳されて、死語になった。

 例えば、日本では、「防衛省」「防衛大臣」と称して「国防省」「国防大臣」とは言わないことを不快極まりないと感じて、前者を後者に正せと主張する者がいるか。日本には一億人も国民がいるのに、一人もいないではないか。

 つまり、「国家を防衛する」(=国防)とか「国家を防衛する司令官」(=国防大臣)という、日本が主権国家なら当然の言葉を、日本は、国挙げて忌避し拒絶している。代わりに、漠然とした「防衛」の二文字でお茶を濁す。「防衛」なら、“家計の防衛”も個人の“正当防衛”もそうであるように、必ずしも“国家の防衛”を意味する言葉ではない。

 非国民化した一億日本人の、「国家」という二文字に対するアレルギーは、安倍晋三においても顕著である。安倍晋三は、2006年、第一次内閣の時、教育基本法を改正して「愛国心」の三文字を同法に明記した。ゴロツキならず者の“スターリン狂”椛島有三が率いる日本会議は、20万人会員あげて歓喜の余りに涙を流した。何とも白ける、お寒い光景であることか。

 もし、安倍晋三や日本会議に愛国心があるなら、「防衛省」を「国防省」に改名しようの動きをとっくに見せているし、安倍は2012年12月からの第二次内閣で、すでにこれを実現しているだろう。だが、安倍晋三にも日本会議にも、このような発想それ自体がまったく皆無。彼らには、正しい愛国心など完全に欠如していて不在だからである。

 「愛国心」とは、それを体現するに不可欠な、ずば抜けて高貴な精神と豊潤・高度な知見なしには持つことはできない。そうでないものが持てば、むしろ逆効果で、反転して有害になる。現に、安倍晋三や日本会議は、自分たちが「愛国心」の三文字が大好きだから、自分たちこそは“日本を守る、真正の日本国民だ”と自惚れ的に錯覚し、本物の愛国者が立脚する思想や行動を排除している。愛国心など、低級下劣な無教養人間が振り回すものではない。

 かくも安倍晋三や日本会議は、日本人としてあるべからざる無知・無教養なクズ人間たちである。だから、愛国心の塊であった日清戦争/日露戦争の明治日本人や昭和天皇の御遺徳を学ぼうとはしない。愛国心の魂そのものであった英国のウィンストン・チャーチルやフィンランドのマンネルへイム元帥の事績を知ろうともしない。

 そもそも、歴史の偉人に愛国心を学んで自らの愛国心を磨き高級化する以前に、ベーシックで初歩的な愛国心を一欠けらでも持っているならば、祖先からお預かりして子孫に相続していく、わが日本国の固有の領土たる樺太や国後・択捉そして千島諸島(クリル諸島、国後・択捉を含まず)を、1㎡たりとも侵略国の手に渡してはならないぐらいは考えつくはずだ。固有の領土の無条件奪還である。

 だが、安倍晋三は、国後・択捉を奪還するのではなく、プーチンのロシアと折半で手を打とうとしている。日本の領土を半分、侵略の犯罪国家に貢納しようとしている。つまり、安倍晋三とは、日ロ平和条約を結んで自分個人の人気をほんの一瞬上昇させるために、その代償に祖国の領土をロシアに売る、文字通りの“対ロ売国奴”である。それでも、対ロ売国奴を愛国心があるというのか。100%共産主義者だった安倍晋太郎の血が流れる、80%共産主義者である安倍晋三という「対ロ売国奴には、愛国心がない」と糾弾してこそ、正しい国語/文章の表現に沿っている。

 この問題、書けば長くなる。ここで中断する。南支那海の動きが深刻で風雲急を告げているので、こちらを論じたい。

風雲急を告げる、中共に軍事制覇された“南シナ海”──「外堀」は埋められたのだ

 日本国の生存の息の根を止めうる南シナ海の情勢は、中共やロシアの指揮下にある「反日」朝日新聞ですら、やはり相当に心配なのか、逐一客観的に報道している(2月18日付)。だが、この動きに、安倍晋三が、すわっ「大坂冬の陣」の外堀が埋められている情況ではないかと、戦慄の余り額から脂汗が流れたなど、安倍晋三に愛国心があることを示す報道もうわさも流れてこない。

 南シナ海が中共に制海されれば、東シナ海という内堀は難なく制覇されて、尖閣も宮古島も石垣島も自動的に中共の手に熟柿のように落ちる。まさに、「大阪夏の陣」での豊臣家滅亡と同じ、尖閣/石垣/宮古島の陥落は、秒読み段階に入った。「外堀南シナ海を制する control 者は、内堀東シナ海を制して control、本丸を支配する rule」は、地政学の真理。また、第二次世界大戦が我々に遺した“偉大な歴史の教訓”である。

 現実に、安倍の頭の中は、今年夏の参議院選挙だけでいっぱいだし、「同一職種、同一賃金」など、百年前の古色蒼然たるマルクス・レーニン主義を持ち出して、日本の共産社会化革命・計画経済化に余念がない。安倍晋三の頭のどこにも、日本を守るという国防は微塵もない。ほんの十年後/二十年後の2025~2035年の日本の将来すら案ずることもない。“一億玉砕”をもじった“一億総活躍”や介護/フリースクール/LGBTなどを、この「同一職種、同一賃金」と総合化すれば、今、“80%共産主義者安倍晋三が全開で大暴走中。

 人気至上主義の選挙屋安倍晋三には、自分の政権が続くかもしれないここ二、三年先まで日本国が存在していればいいのであって、「日本国の悠久の存続など、糞喰らえ!」の刹那主義が信条で本心。それ以上を考える知性も知力も、成蹊大学卒のスーパーお馬鹿安倍晋三には無い。

 さて、風雲急を告げる南シナ海の新情勢とは何か。

 まず、中共は、ベトナムのハノイと海南島の目と鼻の先にある西沙諸島(パラセル)の永興島に、地対空ミサイル「紅旗9」8機を配備したし、南沙諸島(スプラトリー)にはクワテルン礁などにレーダー施設を続々と建設し、また対空機関砲も配備している。

 これでは、この海域での“自由な海空の航行・飛行”は保障されず、これらの人工島によって中共が主張するままに海洋法の12カイリ領海・領空を認めざるを得ない。中東からの輸入石油など日本のシーレーンが中共の支配下に入るのは、時間の問題である。その上、この海域を中共の空母機動部隊が遊弋して制海もしくはシー・コントロールする日が目前に迫っている。日本は、ここ十年を待たず、貿易のために中共に屈するほかない。この時、日本は黙って、尖閣を貢ぐことは不可避。これ以外の選択肢は日本にないからだ。

 しかも、安倍晋三は、国後・択捉島という日本固有の領土をプーチンに半分献納するのである。日本は、この瞬間、尖閣について、固有の領土だとの主張はできない。国際法を全面的に無視する“生来の無法者でゴロツキ rogue”安倍晋三の対ロ売国奴の行為は、日本の領土が虫食い的にロシア/中共/朝鮮に好き放題に蚕食される法的根拠を与えるからである。  

 国家とは、古今東西の歴史が証明する如く、超一流の真正のエリートしか守り抜くことができない。この原理原則を忘れて、成蹊大学卒のスーパーお馬鹿安倍晋三でも国防が解る筈とか対ロ外交ができる筈とかと、国家と子孫に対して腐敗と堕落の無責任に狂乱するのが、お笑い芸人にしか興味がない“平成の一億日本人”。低級劣化した“朽ちた木材”日本人こそ、日本亡国の元凶である。

「国防を憎悪」と「国防を嫌悪」は、どう違うのか

 副題にある「国防を嫌悪する」の意味を、一部の読者は怪訝に思ったに違いない。確かに、余り使われない表現である。朝日新聞や共産党など日本の極左勢力は、自衛隊の解体や日米同盟の消滅を叫ぶから、イデオロギー的に「国防を憎悪する」勢力であることは、言わずとも明瞭。これに対して、自民党にせよ安倍晋三にせよ、自衛隊を擁護し日米同盟を大切にするのだから、一瞥では「国防を憎悪する」勢力とは対極的な「国防を重視する」かに錯覚されよう。

 だが、これは短絡極まりないお粗末視点。全くの間違いである。なぜなら、安倍晋三も自民党も、「国防を憎悪する」勢力とは一線を画して、これとは対峙するが、「国防軽視主義」であり、「国防無関心派」であり、「国防嫌悪派」であるからだ。

 この事実は、少し頭を捻れば明らかなこと。現実に今や日本には、未曽有の軍事的脅威が差し迫っている。だのに、安倍晋三は、国産の軽空母四隻の建造にも着手しない、六千人規模の海兵隊二ヶ師団の創設にも着手しない、空対地巡航ミサイルやその専用中型爆撃機の建造に至る開発研究すら開始しない、等々、“しない、しない”ばかりではないか。

 また、2013年3月、プーチン・ロシア侵略帝国のクリミヤ半島侵攻があった以上、日本は戦車(一〇式)2000輌ほどを北海道から青森・秋田・山形・新潟県に緊急に配備する態勢構築を開始しなければ間に合わない。島嶼国家・日本防衛の宿命としての、これ以外の地域での戦車部隊の配備も緊要で、それには約1000輌が必要だから、合計3000輌を数年以内に生産しなければならない。年平均生産で300輌以上のペースは最低限不可欠。

 だが、この「日本を守る」国防について安倍晋三は、ほんのわずかでも考えたことはない。代わりに、霞が関の共産党官僚たちと乱痴気騒ぎに興じながら、日本社会の共産革命に爆走している。これが安倍晋三の現在であり、異論はあるまい。これをもって「国防を嫌悪する」と表現しないとすれば、それこそ間違い甚だしい偽情報ではないか。

(2016年2月23日記)

附記 上記の南シナ海問題は、既発表『G6は伊勢志摩サミットをボイコットせよ』の、日本国の存立を左右する中共の海軍力増強問題の「続き」。その部分を以下、再掲。

 例えば、米国のCSIS(戦略問題研究所、シンクタンク)が去る1月20日に発表した報告書『アジア太平洋再均衡2025』を捲ってみても(注1)、知的幼児化と精神の腐敗が著しい日本人に、このレベルでアジア・西太平洋の安全保障政策を提言できる人材も組織もすでに存在しない。

 『報告書』は、こう書いている。中共は、一番艦の空母「遼寧」を竣工したが(2012年)、これに続いて複数の空母を建造中であり、これら複数の空母打撃群の平時の遊弋によって、2030年までに南シナ海は“中共の湖”となるだろう(19頁)。確かに喫緊に迫るこの危機事態の進行は、スプラトリー(南沙)諸島への埋め立てによる軍用飛行場の完成(注2)と総合すれば、これへの対処は戦慄するほどの厳しさをもって日本を襲っている。

 日本人は忘れているが、「南シナ海を制する者は、フィリッピン/台湾/東シナ海/沖縄諸島/日本列島を制する」。日本が、その貿易に欠かせないシーレーンも含め中共に屈する日は、2030年を待たず2020年代に確度100%で起こる。そればかりか、尖閣諸島は、熟柿のように中共の手に落ちる。

 このCSIS報告書もそうだが、米国の安全保障論文は、日本人のそれと異なり、健全性から逸脱しない。その理由の一つは、必ず具体的な軍事的改善策を提言する真面目さにおいて構想するからである。このような米国とは逆に、軍事白痴の劣悪腐敗民族に堕した日本人は、主権国家の通常の国民とはもはや言えないレベルになった。

 例えば、この報告書は、アジアに派兵駐留するアメリカ海兵隊やそれと一体となった海軍の水陸両用戦即応群U.S.NAVY Amphibious Ready Groupの倍増を提言している。また、現在、米国の原子力空母は横須賀に一隻だが、これを二隻体制にせよとも提言している。日本は、これに呼応して、(グアムやシンガポールとの線を考えれば)名古屋港などに新しい米国空母用軍港を急ぎ建設する必要がある(CSISの提言は、横須賀2隻論)。空母基地は、敵攻撃を考慮して冗長性 redundancyをもたせるべきで、二つが望ましい。小樽港なら簡単な改造で済むが、迅速な南シナ海出動を考えれば、横須賀に次ぐ第二の第七艦隊用軍港は、太平洋に面していなくてはなるまい。

 潜水艦については、ロスアンジェルス級を二隻グアムに追加せよ! と提言している。日本も潜水艦の建造竣工のテンポを、中共の水上艦艇・潜水艦の異常なハイテンポな増強に対応できる急増に転換しなければならない。「そうりゅう」型は現在六隻が就航しており11番艦(2020年)までの建造予定だが、これを前倒し(2018年までにすべてを竣工)、2023年頃までに更に六隻から八隻を(ポストそうりゅう型を含め)緊急に追加配備する必要がある。

軽空母も建造しない/尖閣(=魚釣島)の要塞化もしない“反国防”主義の安倍晋三

 このように、民間シンクタンクのCSIS報告書ですら、米国国防省と同じく、中共の「接近阻止・領域拒否」戦略(米国が2009年に名付けた中共の海洋戦略、anti-access/sea-denial、A2/AD)能力の急速な増大に焦点的に懸念を示している。しかも、中共の海洋「接近阻止・領域拒否」戦力は、その強大化する核戦力と一体となっており、南シナ海は、「中共のシー・コントロール下に陥る」というよりも、「中共にシー・コマンド(制海)される」のが確実になった。

 米国海軍や米国海兵隊が、中共の強大化する核戦力を背景としたその海軍・空軍によって、南シナ海/東シナ海への戦場・要衝への接近が阻止されたり、これら領域での展開が拒否されたりする事態が、着実に確度100%へと悪化しているのである。

 だが、友邦米国が紳士的に我慢に我慢を重ねて付き合っている“ならず者(rogue)”安倍晋三の総理官邸をみよ。安倍晋三もその取り巻きも、自国である日本の国防を一瞬たりとも考えたことはない。自分たちの今日明日の人気と売名にしか関心がない。日本には政治家はいなくなった。日本の国会議員は、有権者に媚びて子孫の金を毟り取ってばら撒く“子孫虐待の選挙屋”ばかりで、政治家ではない。

 だから、あの白々しい国民騙し語「一億総活躍」など、ひたすら国と子孫にタカル低級有権者に媚びる甘言を造語しては子孫に大借金を負わせる“福祉ばら撒き”ばかりに精を出す。今年の夏の参議院選挙の選挙にしか興味がない。2025年には顕在化する中露の対日軍事侵攻の脅威など、愛国心などかなぐり捨てて不在の安倍晋三の官邸は、頭の片隅であれチラリと想像することすら排除している。

 “国防”つまり“中露の迫る軍事脅威の現実”とそれへの対処アッピールを前面に出せば、自民党が単独で議席数「三分の二」どころではなく「四分の三以上」を掌握できるのに、惰弱と堕落に身を包んだ“子孫虐待の選挙屋”の親分でしかない安倍晋三には、全盲と同じく、これが見えない。

 しかも、“中露の迫る軍事脅威の現実”とそれへの対処アッピール(国防力増強の必要性の訴え)は、福祉ばら撒き(=子孫への地獄の大借金残し)からの脱却と一石二鳥となる。だが、このような高度な知的判断は、安倍家の家産である共産主義を80%相続した安倍晋三には、根本から欠けていて存在しない。安倍晋三は、その著『美しい国へ』で記述しているように、激越な反・国防主義者で、自衛隊の防衛力に対する嫌悪感情・忌避感情は共産党と遜色がない。

 そこで、安倍晋三に代わり、僅かにこの日本国に残っている愛国者が、CSIS報告書その他を読んで国民に日本の国防力づくりをアッピールしなくてはならない。我が日本国の国防力は、核戦力と外洋艦隊力 blue-navyを除けば、「9割を自国の軍事力、1割を日米同盟に基づく米国の軍事力」であるべき。それなのに日本は、自国に課せられている「9割を自国の軍事力」保有から無責任にも平然と逃避する。日本は、国防忘却という民族の魂を失った惰弱と腐敗から、自国への責任と義務を覚醒せねばならない。具体的に、その第一歩は、何か。

尖閣防衛の日本版海兵隊創設、スプラトリー滑走路を破壊する日本の巡航ミサイル爆撃機の開発

 軽空母と海兵隊を創設することが、それである。固定翼のF-35BライトニングⅡもしくはAV-8BハリアーⅡを搭載できる軽空母四隻の保有こそ、日本が喫緊に急がねばならない国防の緊急事項である。この軽空母や日本版海兵隊をどう創設するかについては、拙著『尖閣防衛戦争論』(PHP研究所)で述べているので、それを参照して頂きたい。

 この拙著で書いていない、日本の対地巡航ミサイル搭載の爆撃機の保有問題だが、この保有と配備の是非を論じるためにも、その研究開発だけでも直ちに開始する必要がある。前述したが、南沙(スプラトリー)諸島を軍事基地群にした中共の脅威は無限に近く巨大で、日本の中東からの石油ルートは、2020年代には危機に直面する。日本が中共の属国化していかざるを得ない情況は、今のままではもはや不可避で100%。ベトナムのカムラン湾に、日本が自前の爆撃機部隊を駐機させるための空軍基地を租借する必要は迫っている。

ベトナムとの防衛協力協定の締結──海自のP-3Cの常駐とカムラン湾の租借

 深刻化する南沙諸島問題で、日本が緊急に密接な連携を強化すべきは、第一には米国だが、第二にオーストラリアとベトナムとの連携をもっと真剣に推進しなければならない。オーストラリアとは米国に次ぐ第二の同盟条約を締結する方向を模索するのが当然。また、ベトナムとは、防衛協力協定の締結が急がれる。

 ベトナムとの間では、2015年9月15日、安倍晋三総理がグエン・フー・チョン共産党書記長との共同記者会見で、「より緊密な安全保障上の協力体制を築く」と述べたことは正しい。しかし、その内容となると、2014年の六隻の中古巡視船の供与に続く、二隻の中古巡視船の供与追加だけ。何とも、お粗末・お寒いもので、これでは「より緊密な安全保障上の協力体制」とはほど遠い。  

 日本が直ちに実行すべき日越間の防衛協力の第一は、南沙諸島海域の哨戒と監視。それにはP-3C対潜哨戒機と哨戒任務の潜水艦の常駐が不可決で、当然、海上自衛隊用の(飛行場付き)軍港が必要となる。ベトナムには、天与のごときこれにぴったりの最高の軍港がある。ベトナム中部に位置するカムラン湾である。  

 日本には、海外基地は保有してはならないと未だに思い込んでいる、時代錯誤的な「反日」の思考の非・国民が多い。だが、日本は2009年から、「哨戒機P-3C×2機+駆逐艦×2隻」体制で、紅海に面するジブチ国際空港やジブチ港/アデン港を活用した海賊対策の海外任務を行っている。  

 日本の生命線シーレーンの安全を左右する南沙諸島の監視と哨戒には、まずは最低「哨戒機P-3C×6機+潜水艦×2隻+駆逐艦×4隻」体制から始めるのが順当だろう。このためには、ベトナムとの防衛協力協定の締結は焦眉の急である。    

 なお、先述の軽空母の建造等を考えると、海上自衛隊の予算は倍増する必要がある。員数も、五割増加を急がねばならない。日本は、“国防第一の国家”に再生する健全化をするか、それとも亡国を選択するのかの岐路にある。予算がないなどは戯言に過ぎない。老人一人当たり3万円支給(総額3600億円)などバラマキ福祉を見直せば、年あたり数兆円レベルは難なく捻出できる。国家が存立して初めて社会保障制度は存在できる。国防を軽視した社会保障制度の充実論など、本末転倒の妄言狂気の極み。きっぱりと唾棄しようではないか。(以上、再掲)

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