中共が死亡宣告を突きつけた日本/台湾“運命共同体” ──日本・台湾「国防」に有害な“America Alone 反・中共”トランプ外交

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筑波大学名誉教授  中 川 八 洋

【お断り】 前々稿で、私が「頑張れ、トランプ」と熱烈声援を送っているものに、トランプの①“不正の塊”郵便投票糾弾闘争と➁米墨間「三千㎞壁」建設、の二つあると述べた。が、全部で四つあった。第三番目が③米国の惨たる分断“現実”を国民にありのまま見せた偉業。第四番目が④反科学の地球温暖化CO2説に異議を唱えパリ協定から離脱したトランプこそ、科学に適う勇者であろう。

 私がトランプに万雷の拍手を送る第三番目。米国社会は、レーガン以後の1990年代より顕著な分断情況を呈するようになった。が、クリントンやオバマらはこの隠蔽・糊塗に終始した。バイデンは、この「分断」隠蔽作戦をもっと狡猾に強化するだろう。一方トランプは、歯に衣着せず、悲惨な「分断」情況を米国民に白昼公然に暴露した。分断を可視化した。国家の現実をありのままに国民に提示するのが、政治家に課せられた正しい国政遂行。この意味で、この点に限るが、トランプ大統領は、米国民に対して、称賛されるべき極めて健全な行動をした政治家として特筆されるべきだ。

 米国の分断は、ソ連(フルシチョフ)が背後で操る“KGBロスケ共産主義者”キング牧師の「公民権運動」運動を皮切りに、1960年代に始まった。この米国社会の深刻な分断情況をアメリカ国民に警鐘乱打したのがサミュエル・ハンチントン。その著が『分断されるアメリカ』(2004年)。トランプは、ハンチントンに遅れること十五年、意図せずして米国民に分断の現実の惨状を啓蒙した。立派である。

(以下は、三分割した論文の、前々稿と前稿に続くラスト・パートに当る)。

トランプの反・中共は米国本土内。西太平洋での反・中共ではない。峻別せよ!

 日本の民族系は教養がなく知能指数が際立って低い下衆階級。国際政治などほとんど見えない。外交や国防という国政の中枢を正しく思考するに不可欠な国際政治が全く把握できない結果、民族系は保守の対極、つまり共産党・朝日新聞の別動隊になる。だから彼らは、次のようなイロハ事項の比較権衡すらできない/しない。

1、トランプは親ロであり、日本の主敵ロシアから日本を守るに、トランプの対露外交は有害で危険。

2、トランプの反・中共は、日本/台湾が裨益する“西太平洋を守る反・中共”に力点を置かない。あくまでも米国本土内への中共の経済侵略や情報侵略を排除する事に的を絞った自国重視に集中する。日本/台湾に少しプラスする部分もあるが、「大きなマイナス」の方が顕著。この「少しプラス」は、バイデンでもするだろうから、バイデンとトランプの間には差異はない。

3、バイデンは“やや反露”。“親露”トランプより、相対的には日本に直接裨益する。例えば、“稀代の反日コミュニスト”安倍晋三のスーパー対ロ売国行為(プーチンと27回も会談)をバイデンなら阻止した。バイデンはまた、日本全土をロシアへ献上することに全身全霊を傾注している“悪魔の敵国ロシア人”鈴木宗男を(刑法外患罪ではなく別件)逮捕せよと安倍晋三に迫っただろう。対ロ外交に関する限り、ほんの少しだが、バイデンの方がトランプより日本国に貢献したのは間違いない。

 そこで、以下、トランプの「反・中共」を、米国本土と西太平洋の二つに地理的分離した解剖をしよう。日本が米国に期待し欲するのは、“西太平洋での反・中共”。“米国内における反中共策!”ではない。トランプの“Fortress America  米国のみ安全な砦に立て籠もる”策では、日本の「対中」国家安全保障は向上しない。つまり、この地理的峻別をせず、トランプ支持/不支持を騒ぐ酔っ払い日本人は、意図せずして日本を撹乱し日本の国益を毀損している。

 換言すれば、抽象的な「反中か」「親中か」で米国大統領を評価してはいけない。具体的に、①「南シナ海」奪還の西側同盟を構築するか否か、②米国が西太平洋に投入する海軍力&核戦力をどれほど増強するか否か、③ニクソン対中外交路線を180度逆に転換すべきだが、それをどれほどドラスティックにやるか否か、④日本に原潜八隻を含め防衛力三倍増を要請するか否か。これらが米国大統領を評価する本物の物差しである。

トランプ西太平洋“防衛”策は「負け犬型撤退」。Rolling-Back戦略なき防禦は無力

 日本は、中共の軍事的大膨張に対し、自国の存亡がすでに風前の灯火となったにも拘わらず、いっさい何もしない。1945年8月~46年4月の在満洲「婦女子」の地獄図をそっくり再現して、二千万人のレベルで日本国民が阿鼻叫喚の中で殺されていく情況は、そう遠くない2045年までに到来するだろうに、麻薬を吸引した刹那に生きる重症の中毒患者となった一億日本人は、一年先以上を一切考えないし、また全く見えない“全盲の狂人”に成り下がった。

 やれ「デジタル国家への改造だ」、やれ「日本の重要な法的慣習《ハンコ文化》なんぞ一掃だ、日本文化なんか糞喰え!」、とスマホで脳を失った痴呆小学生のごとき(注1)戯言遊びに現を抜かす時間など一秒もないのに、今や一億日本人に、国家や子孫の行末を案ずる正常者が一人もいない。

 この“トンデモ国家”日本に居るものが、米国の外交政策を解剖し詮索的に論じるのは、甚だ忸怩たる思いがあるが、一人でもいいから日本人が、“友邦”米国外交の実情と欠陥を直視し振り返り、自国の国防と外交の抜本的見直しを決意し行動することを期したいからである。

 トランプの「対・中共」策を、表1に分類し纏めておこう。America First=America Alone=Fortress Americaとは、「米国本土の外に関わる事柄にはほとんど何もしない事」がよくわかる。かつてAmerica Firstが全米で猛威を揮った1930年代、リンドバークらは「America First、Second、Third」と叫んだ。国内問題最優先主義のAmerica Firstでは、“友邦や同盟国は、二番目扱いも三番目扱いもされず、番外”となる。

 なお、歴史の教訓。スターリン準崇拝者ルーズベルト大統領の介入主義の方が、英国をヒトラー・ドイツから救い、近衛文麿によって共産国となりスターリンに日本列島全土を献上し昭和天皇を銃殺する予定の“気狂い国家”日本を叩き潰して、日本を地獄から救出した。米国のAmerica Firstと、反全体主義の介入主義とのいずれを、日本が歓迎すべきかは、このように既に実証済みである。

表1;中共の軍事的大膨張に対し“お座なり”に終始するトランプの「反・中共」政策

トランプの「中共の対米経済侵略“押し戻し”策から、無為・惰弱な日本は何を学ぶか

 表1のAは、いわゆる“米中経済戦争”のこと。これは、米国の経済・産業基盤に対する中共の過激&過剰な経済侵蝕から米国の産業と雇用とを守る、純然たる経済問題で、国家安全保障問題ではない。が、トランプ開戦の“米中経済戦争”には、「中共の経済力を削いで、その軍事力増強ペースを減退させる」「世界経済における中共の発言力を低下させる」の思想が、顕著に欠如している。

 このトランプ対中経済戦争の特性を鮮明にすべく、レーガンの対ロ経済政策の一例と比較しておこう。レーガンは就任と同時に、ソ連に向けて、食糧と家畜飼料を大規模に輸出し始めた。日本の親ソ「極左」新聞は、レーガンの反ソ外交など、かくもハチャメチャでお笑いだと、揶揄報道一色だった。

 私は、レーガンの「反ソ」は一貫してブレないから何か企みがあるはずと思い、国防省の知人に尋ねた。回答は「大量に食糧をソ連に輸入させ外貨を大幅に浪費させ、ソ連が西側から購入している兵器に供するハイテク部品の代金を枯渇させるのが目的です」だった。確かに1983年から、ソ連の原潜など稼働率が急激に低下した。西側から輸入する重要部品が交換されなくなったためである。

 つまり、天才レーガンは、農家の所得向上とソ連の軍事力の低下とを、一石二鳥でやり遂げたのである。が、このような発想はトランプには無い。トランプには、中共の爆発的な経済発展を妨害しようとの気配がない。市場経済と統制経済の良いとこだけを合体した(備考)、鄧小平が創造した魔法的な“奇跡の混合経済体制”は、今も欠陥を見せない。

(備考) 1990年代に入ってからの日本は、過剰な統制経済の導入と異常な超・福祉国家路線で、その市場経済は逼塞状態。いずれ窒息死する。迫る近未來、日本経済は100%の確度で“死”を向かえる。鄧小平とは逆さに、1990年代以降の日本は、ナチ統制経済と市場経済の悪い処ばかりを合体させ、今に至っている。

 ただ、“選挙目当て”的な側面もあったが全米的に支持されているトランプの「米中経済戦争」には、日本が参考にし採用すべきものが多々ある。米国の対中“経済戦争”で、日本の“中共の奴隷新聞”が騒いだ「米国経済への大打撃」が、実際にはほとんどなかった現実は、この一つ。つまり、日本が対中経済断交しても「日本経済に致命傷を与えるほどの悪影響はない」「日本国民が我慢できる範囲に収まる」「経済向上の他策が見つかる」の重要参考情報をトランプは日本に提供してくれた。

 例えば、米国(議会超党派)は、2019年8月、「ファーウェイ/ZTE(中興通訊)/ハイクビジョン/ダーファ・テクノロジー/ハイテラ」五社製品を、政府関係機関が購入するのをすべて禁止したが、米国経済には負の影響は皆無だった。また、中共から輸入の約半分に当る2500億ドル相当への高関税25%は維持されているが(2019年12月13日、米中合意)、これによって米国経済が下落する事態は一切発生しなかった。なお、2020年8月からは、この五社製品を使う外国企業はアメリカ政府と取引できなくなった。

 米国は国内雇用と情報安全保障から、このような対中経済戦争を数多く、果敢に行っている。ならば、国家としての破滅が懸かっている日本は、米国の千倍・万倍での対中“経済戦争”や対中“情報防衛”をしなければならない。つまり日本は、中共から日本に来ている留学生/全大学の教員・研究者/企業の社員を全員国外追放にすることを含め、事実上の対中“経済断交”を決断すべき時にある。

 それだけでなく、もう一つの更なる重大問題を看過してはならない。米国がかなり過激な対中経済戦争/安全保障上からの中共製品禁止をしても、中共の爆走状態の経済成長に落込みや衰えが全く見られない事だ。すなわち、中共の破天荒の軍備増強の源である経済を破壊的に低下させる策を講じなければならない。

 参考として天才レーガンの策謀を思い出そう。レーガンは、ソ連経済を叩き潰す方法として、軍備増強競争をソ連に強いた。敵味方が全力で軍拡競争をしている間には戦争は決して起きないから、これは平和を維持する方法でもある。レーガンは、《米日欧の総計経済力とソ連のそれは「五対一」だから、軍備競争をするとソ連経済は風船のように破裂するはずだ》と公言した。

 ソ連KGB細胞に支配されている日本の“ロスケ新聞”は、真赤な嘘「軍拡競争は戦争に到る」と大キャンペーンした。私は日本随一の軍備管理論の学者として唯一人、第二次世界大戦における“ドイツと英国”“日本と米国”のように、「片方が大軍拡をして、他方が軍拡をしない(or軍縮の殻に閉じこもる)不均衡の場合のみ戦争が起きる」から、「レーガンの均衡的な軍備競争は確実な平和維持方法」だと主張した。拙著『核軍縮と平和 (中公新書)』は、この理論を学術的に完璧に証明した。

 特に“戦争狂”国の方が軍備競争で負けると経済破綻して戦争どころでなくなるから、軍拡競争の後に“二十年の平和が訪れる”はずだと、レーガンを擁護した。レーガンの対ソ軍拡競争は図星で、チャーチルや中川の「軍備管理の理論」通り、ソ連は1991年に経済破綻し、軍隊の給与支払いすら出来ず、戦争遂行能力を完全喪失した。崩壊後に分かった事だが、ソ連は1981~1991年の十年間、毎年GDPの29%を軍備に投入し(備考)、これが主因となって経済の自壊を起こした。

(備考)日本の防衛費はGDPの1%。米国は2%以上に増額しろと要求。が、これは控えめすぎないか。GDPの5~7%ぐらいの方が日本の経済成長にプラスする。中共を見れば一目瞭然。

 むろん、上記の方法を中共に適用しても、中共はロシアと同じではないから、中共の経済自壊は起きないだろう。が、ソ連を経済崩壊させた策を発見した経験において、米国と日本は智慧を絞り、中共の経済力を瓦解させる妙策を発見することはできるし、発見しなくてはならない。

中共の台湾侵略は東沙島も同時。尖閣・宮古島・石垣島も同時。日台の運命は一体

 表1に掲げた全ての事項を詳細に論じたいが紙幅が無い。そこで本稿では、表1にある「1、の台湾」「3、の南支那海」「β-(2)、の核戦力」の三つを、触りの部分をほんの少し取り上げる。最初に「1、の台湾」、即ち“台湾をいかにして、迫る中共の侵略=戦争から守るか”を取り上げるが、日本ではほとんど論じられていない問題に絞ろう。

1、中共軍の、東沙島への侵攻占領演習

 2012年9月から、中共は尖閣諸島の日本領海内に、頻繁にその海警「公船」を突入させるようになった。ロジックの前後を入れ替え「尖閣周辺は中共の領海→尖閣は中共の領土」を主張するため。この2012年、尖閣を侵略して自国領土にする戦争準備をしているなら、台湾の南西に浮かぶ、尖閣とは対角線上の東沙島を侵略占領する戦争準備もしているはずと、(専門誌の調査まではしなかったが)新聞やネット報道に、私は気を付けた。八年経った2020年8月3日、私の知る限りだが、雑誌『紫荊』2020年8月号掲載論文の要旨のみの紹介だが、見出し「中国軍、東沙諸島奪取演習を明言」の共同通信ネット記事にやっと出くわした。

 2012年、東沙島に関心を持った理由は三つ。第一。面積は2800m×860m=1.74㎢で、3.47㎢の魚釣島(3500m×1300m)の半分だが、規模が近似していること。第二。中共海軍が第一列島線内を制覇(制海)するには、バシー海峡に浮かぶ東沙島も、「宮古島/石垣島/尖閣」侵攻と同時に、侵略占領する必要がある。つまり、台湾島を真ん中に置くと一直線で連なっている東沙島と尖閣とは、中共の侵略が同時に起きる、対中共「防衛戦闘」における一蓮托生が運命の、双子の兄弟であること。

 第三。運輸大臣・森山欽司と私の1979年の共同熱望──尖閣を、自衛隊や米軍が駐留する軍事基地する──を実現するに、東沙島に対する台湾の実効支配の形態は最高の参考になること。まず東沙島には、C-130輸送機の離着陸ができる空港がある(滑走路1550m)。国立中山大学の研究ステーションや図書館もある。防衛省と陸自は急ぎ東沙島を精査し参考にして、尖閣・魚釣島の軍事基地化の建設を開始されたい。

2、中共は、滑空“弾頭”の実戦配備を大規模に拡大する。台湾はTHAAD2セットの設置を急げ!

 中共は、2019年10月1日の軍事パレードで、「東風16」の弾頭部を滑空翼体に入れ替えた「東風17」を登場させた。その性能は、2017年11月の最初の実験で、射程は1400㎞、大気圏再突入後の滑空高度は60㎞でマッハは6.2であることが判明している。

 高度70㎞以上の標的しか迎撃できないイージス艦SM-3では、迎撃不可能。台湾は急ぎ、台湾の北端と南端にTHAADを各1セット陸上配備する必要がある。これを日本のTHAAD8セットと連結的な運用を可能としなければならない。THAADを二段式に改良すれば、迎撃確率は一気に向上する。イージス艦SM-3について、より低高度の標的を撃てる改良を米国のメーカーは考えているが、THAADは今でも高度50㎞辺りで撃ち落とすから、技術的にはこの選択の方が賢明で確実。

(参考1)「弾道ミサイルの弾頭部に翼をつけて、極超音速の滑空で着弾させれば、敵の迎撃ミサイルを掻い潜れる」原理を応用したのが、滑空飛翔体。ロシアは、RS-28(NATOコード名は「サタン2」、射程1万㎞以上)弾道ミサイル等の弾頭部に「核兵器塔載のアバンガルド(YU-71/YU-74)」を塔載して発射し、その後、スクラムジェットエンジンのアバンガルドにマッハ20以上の飛行をさせ、低空で敵目標に着弾させるシステムの実験を、2018年に成功させた。2019年には生産体制に入り、2019年12月には、第一号機を実戦配備したと、プーチンは豪語している。

 なお、この低空着弾のため、高高度を狙うイージス・ミサイルでは撃ち落とせない。一方、THAADなら迎撃可能。日本は、THAAD8セットの導入配備が急がねばならない。

(参考2)米国も2020年3月、トランプ大統領が「super-duper(もの凄い)」と燥いだように、マッハ17の極超音速滑空体の実験(ハワイ・カウアイ島)に成功した。ただ、ロシアや中共のミサイル防衛の実態はお粗末だから、米国のこの極超音速滑空体は宝の持ち腐れになるかも知れない。が、核兵器の軍拡競争は安定的な戦争防止効果を持つので、これには絶大に貢献する。

3、中共の度重なる台湾領空侵犯は、中台間の国境線を認めない作戦の実行。尖閣領海侵犯と同じ侵略準備のやり方。

 2020年6月11日、米国のC-40A(兵員輸送機)が台湾の西側・陸地上空を飛行して、台湾は“中共の領域ではない”と警告した。米国が南シナ海のど真ん中を、わざとB-52H戦略爆撃機を遊弋飛行させるのも、南シナ海は中共の領域でないことを警告するためである。

4、米大統領が対台湾「武力行使権限」を持つべきは当然。この法律の立法を米議会は急げ!

 このほか米国は、米陸軍をして台湾に上陸阻止基地づくりの指導を行わせよ。米国原潜の緊急補給・修理の海底基地を花蓮に建設させよ。台湾の潜水艦部隊も、この潜水艦専用軍港の花蓮に移動せよ。米国のあいまいな《一つの中国政策》は、今や現実から乖離した化石。今すぐ廃棄せよ。

 クェーカー教徒で“戦争恐怖症の重患”ニクソン大統領が発出した、馬鹿げた上海コミュニケ(1972年2月)は、台湾海峡の藻屑にしなければならない。中共が第一列島線/第二列島線を明示すること自体、上海コミュニケ違反の“西太平洋における海洋覇権”ではないか。上海コミュニケ廃棄こそ、上海コミュニケの精神に合致する。

南シナ海“侵略”に抗し「航行の自由」作戦の米国空母に「(模擬)核弾頭投下」の中共

1、中共は、2020年8月26日、核弾頭を模擬弾頭に替えた弾道ミサイル「東風21号D型」を二発、「東風26号B型」を二発、南シナ海に投射した。これは、同年7月4日および7月17日、米国の原子力空母二隻「ロナルド・レーガン」「ニミッツ」の二ヶ空母打撃群が、B-52H爆撃機一機とともに、同海域で演習をしたことへの報復恫喝。また7月21日、B-52H戦略爆撃機2機が再び南シナ海上空を遊弋飛行した。

 なお、この「東風21号」「東風26号」は、海上標的攻撃用に改造されたもの。つまり、中共は、米国に対して南シナ海は“中共の内海”だから、此処への進入は、中共の核攻撃の標的となるぞ、と脅したのである。核恫喝の最たる典型。

2、2020年4月18日、中共は、2012年に南シナ海に新設した「海南省三沙市」の下に、八年を経て南沙と西沙の二つの行政区を設けると発表した(注3)。西沙区庁は永興島(ウッディ)に、南沙区庁は永暑島(ファイアリー・クロス)に置くようだ。

3、中共が「南シナ海」領有の法的根拠を一切有さないことは、ハーグの仲裁裁判所の判断(2016年7月)において明らか。が、始皇帝の秦とフビライ帝の元を合体させた“侵略帝国の再来”中共は、国際法上の非法・非道に意を介する気配すら見せない。南シナ海の海上も海中も中共の領域territoryにして、此処への米国の海軍艦艇と空軍機の進入を排除せんとする中共の狙いは、一体全体何だろう。

 この解は、スパイクマンに尋ねるのがベストであるように思う。

4、「米国地政学の父」で「国際政治学の父」と尊敬されているスパイクマン博士は、全米が日本のパール・ハーバー奇襲攻撃で激昂の炎に包まれている1942年春、太平洋戦争に米国は日本と海軍同盟を締結せよと提唱した。その理由として西太平洋へのロシアと支那の大膨張による対米脅威を米国政府と国民に警告したのだった。

 具体的には、「アジア地中海」と命名した南シナ海を支那が海軍力と空軍力で制海し「内海」化するから、東南アジア諸国はむろん日本を含めて、シナの支配下に入るのは不可避だとした。そればかりか、米国も西太平洋から排撃的に追放されると、今日の米国の「対中」劣勢情況を八十年前に完璧に予見したのである。一部、引用する。

「四億五千万人を抱えて、近代化し活気に満ち軍事力強化にひた走るチャイナは、日本だけを脅威するのではない。【アジア地中海】(=南シナ海から豪州までの海域)における米国海軍力への脅威になる。チャイナは、この【アジア地中海】」の沿岸部全体を支配する大陸型パワーとなるだろう」

「チャイナの軍事力が強大になればなるほど、アジアにおいて、その経済力が浸透し、必ず政治的強制力を揮うに至る。この【アジア地中海】の海域は、米英日のシー・パワーでコントロールされる時代は去り、チャイナのエア・パワーがコントロールする時代の到来が確実に予想される」469頁。

 中共を南シナ海から排撃して、日米豪英印などによる、西太平洋に共存の秩序を回復する策を発見するにも、この偉大な古典たるスパイクマン『世界政治と米国の戦略』を拳々服膺することから始めるほかないだろう。

 『世界政治と米国の戦略』は大著でこれを正しく読むには、スパイクマン学の入門指針が必要であろうと思い、2016年夏、ガイダンス的な小論をまとめた。本稿の末尾に、それを別紙として掲載しておく。三分割した本稿とともに、熟読して頂ければ幸甚である。

核戦力「大増強」に爆走する中共&露を牽制する米国の核は“中距離の北海道配備”

 中共の急激に強化されつつある対台湾/対「南シナ海」の侵略態勢を抑止し転覆するに、最も確実な方法は、中距離核戦力(INF)の配備である。だが、西太平洋の地理は、西欧とは異なり、INFを配備できるドイツ/英国/ベルギー/オランダ/イタリア等の国家群が存在しない。現在、西太平洋で米国のINF配備を受け入れる国家は日本と台湾だけ。フィリッピンは反米大統領が居座っているし、インドネシアは中共の属国化傾向が著しい。

 だが、愚痴を言っても始まらない。米国も日本も、中共の「中国は一つ原則」を完全に否定すべく、中共との全ての「条約、協定、コミュニケ」を破棄しなければならない。日本の場合、日中平和条約の破棄を明日にでもすべきである。尖閣の日本領海侵犯の頻度は、通常の二国間の正常な状態とは程遠い。この異常な状態で日本が平和条約の破棄を通告しないのは、日本国が主権国家である意識が腐食して消滅しているからだ。田中角栄の日中共同声明(1972年9月)も破棄せねばならない。

 さらに、台湾情勢と南シナ海情勢の戦争前夜的な緊迫度において、対中経済断交の決断は秒読み段階。少なくとも、RCEPとAPECからの離脱は、明日を含め、可及速やかに決行しなければならない。この「RCEPとAPECからの離脱」と一緒に、在日の中共留学生を一人残らず国外に追放し、また中共系シナ人が関与した日本国土内の不動産購入を全て禁止、既に購入している物件は日本政府がすべて買い戻す最小限の国家安全保障政策を断行せねばならない。

 米国の西太平洋配備予定の対中「本土攻撃」INF──新型の巡航ミサイルと新型の弾頭ミサイル──の適地的な配備場所は、北海道と四国と沖縄と台湾の四か所か。特に北海道は、これらINFの最高の配備適地である。日本は日本の方から米国に対して、かつて1981年のドイツや英国の如くに、「急いで配備して欲しい」と懇願すべきである。

1、アンデシュ・ハンセン『スマホ病』、新潮新書。

2、表2;中共以外のトランプ外交の通信簿

3、『朝日新聞』2020年4月21日付け。

(2020年12月16日記)

 

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