筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
(本稿は2月7日にupした「《列島すべてロシア献上》を決定した陸上自衛隊」の続き。「武漢ウィルス」問題で暗愚な日本が失念した最重要論点の喚起、及び悪意ある事実歪曲の是正が、緊要だったため、二ヶ月、意図的に脱線した。が、「武漢ウィルス」問題での私の役割は終了。原隊に復帰する)。
「武漢ウィルス」猛威が去った後に直ちにスタートさせるべき、日本の国防・外交・財政の新政策を、これからの半年間、日本国民が熟慮に熟慮を重ねるか否かが、今後二十年、三十年先までの、日本の没落か繁栄かを決定する岐路となる。日本国の隆盛か衰亡かの別れ道は、「一に国防、二に外交、三に財政」の適正な国策を考案できるか否かにかかっているからだ。
「武漢ウィルス」退治対策なんか、このトップ国策「一に国防、二に外交、三に財政」に比すれば、所詮マイナーな問題に過ぎず一過性のもの。この対策には万全を尽くすべきで、手抜きしてはならないからといって、マイナーな問題にパニック的に騒ぐのは、“恥知らず下衆階級”の行動。蔑むべきもの。エリート愛国者なら、厳に慎む。
“全盲”日本人よ、武漢ウィルス後、暗愚から目覚め、新しい外交/国防に舵を切れ!
有り体に言えば、「国防軍が欠如」「軍人が一人もいない」“半国家・日本”or“国家もどき烏合の衆が屯する日本”が、ポスト「武漢ウィルス猛威」で、一気に正常な真面な国家に再生できるか否かが、日本国の命運を定める。つまり、武漢ウィルスの猛威は、天が、“狂妄の非現実”「福祉国家、最高!」などに燥いで、阿鼻叫喚の末路が迫る近未来の現実が見えない“全盲の白痴”「一億日本人」を覚醒させんと、日本に下した鉄槌である。
だが、日本人は、この天与の警告に気づかない。これに気づき真っ青になって猛省をしないとすれば、「武漢ウィルス」が去った後、日本は、国民の精神も知力も道徳も堕落と劣化の下降階段を転落し続ける。その先は、“世界一の暗愚国家/世界一の痴呆民族”の滅び、つまり日本の国家滅亡。
それなのに、乱痴気饗宴の惰性の日々に酔い続ける日本人は、反省など一欠けらもしない。例えば、“対ロ売国奴”安倍晋三がぶち上げた“ペテン師の媚薬”「人生100年の到来」は(備考1)、浮かれることなのか。逆だろう。それこそ日本国民すべてを不幸に包む“暗黒の未来”ではないか。戦慄するのが正常。日本人全体が平均寿命百歳になる社会は、子孫を極限に虐待して地獄の釜に叩き落す(備考2)、血を吐く子孫の犠牲においてしか到来しない。
(備考1)安倍晋三が音頭をとり推進した「人生100年構想会議」の首相出席第一回会合は、2017年9月11日だった。その中間報告が2017年12月。これ以来、保険会社のコマーシャル等もあり、妄語「人生100年」は、巷間に広がった。「よほどの金持ち」「多くの孫やひ孫に囲まれている」「極端な無病体質」のいずれも具備しない平均的人々が、仮にも百歳まで生きれば、“不幸がいっぱい”の人生が確度100%で訪れる。サイコパス安倍晋三は、日本国民が阿鼻叫喚の不幸でのた打ち回るのを快楽したいのである。参考書;里美清一『人生百年という不幸』、新潮新書。
(備考2) コトリコフほか『破産する未来』、日本経済新聞社。
第一節 日本・台湾同盟条約締結を決断せよ。日中平和条約は死滅した。
日本が中共の侵略から自国を守りたいのならば、A「東シナ海(+南西“島嶼”群)」とB“石油SLOCの要衝”「南シナ海」の双方において、中共の“制海(sea-command)”を有事に完全に排撃する、“海洋拒否(sea-denial)”を完遂しなければならない。一定規模の米国の援護を別とすれば、日本単独での東シナ海/南シナ海の双方での“海洋拒否”完遂はもはや困難。
すなわち、Bの「南シナ海」に関しては、多国間の防衛協力が不可欠である。しかも、風雲急の東アジア情勢において、日本は、この選択肢を急がねばならない。具体的には、豪州/英国/ベトナムとの共同行動関係/協力関係を確立することである。豪州と英国に関しては日豪同盟条約/日英同盟条約の締結で、ベトナムに関しては日越防衛協力協定の締結。後者は、カムラン湾が、日本の軽空母・駆逐艦部隊等の整備・兵站基地として不可欠だからである。
1、米国は「台湾“外交同盟”強化法」を制定した。が、安倍晋三の日本は何もしない。
Aの「東シナ海」防衛(sea-control)のためには、台湾の基隆(キールン)と日本の尖閣・魚釣島とを結ぶ線―仮に「台湾・沖縄ライン」と名付ける──より以南に、空母・原潜からなる中共の海軍機動部隊を侵入させない海洋拒否の軍事態勢を完備することであり、それには、台湾の基隆・蘇澳・花蓮と日本の西表島・宮古島・石垣島・沖縄本島の全域を帯(面)的に一体化する、対中共“海洋マンネルヘイム帯”(仮称)を構築する必要がある。
このためには、当然だが、日本・台湾同盟条約の締結が必要であり、当然に日中平和条約は消滅する。米国が2020年3月27日に制定した「台湾“外交同盟”強化法」は、この意味で、これからの日本が向かわなければならない、台湾との同盟条約締結にとって大いなる励みとなった。ちなみに、「台湾“外交同盟”強化法」とは、例えば、次の第五条a項(3)のような定め。
「第五条a項3 米国政府は、米国の外交的利益に合致するならば、台湾の安全と繁栄を転覆するような、深刻or顕著な行動をとる国家(=「中共」)との経済/安全保障/外交上の取極めを変更する事を、考慮しなければならない。」
これは、日本国に当てはめれば、日本国の国家安全保障の維持に必要な場合には、日中平和条約の破棄はむろん、日中国交断絶も考えていいとの謂いになろう。「台湾“外交同盟”強化法」は、タイムリーにも、「対中」外交に関わる日本のコペルニクス的転換を大声援するものになっている。
とはいえ、問題が二つある。第一は、これらの順序。第二は、中共が日本に対し報復的に繰り出す強硬策にどう対処するかだ。
日本は、社会党左派系の社会主義者だった首相・田中角栄と矯激な共産主義者だった“KGBロスケ外務大臣”大平正芳により突然、1972年10月、日華条約を破棄して中共との国交を樹立した。このやり方を真似れば、「台湾との国交回復→日台同盟条約の締結」という、田中角栄・大平正芳の突然方式の裏返しが一案だろう。この場合、日中平和条約の破棄は、この「台湾との国交回復→日台同盟条約の締結」に激昂し怒り狂う中共にさせて、日本から言い出さないのは外交のイロハ。
問題は、第二番目の中共の報復だ。必ず実行すると想定されることは、まずは、支那本土内の日本企業の資産全てを差し押さえるだろうこと。次に、尖閣諸島への軍事侵攻。
(1)日本が「台湾との国交回復→日台同盟条約の締結」を決行する時の、後者の問題に対処するには、(実際には、全てを米軍に任せるのだから、敢えて私がここで言及するのは如何かと思うが)例えば、米国に空母四隻/原潜六隻を出動してもらう必要がある。そして、(一つのシナリオだが)空母二隻/原潜四隻は、東シナ海作戦用(空母の展開位置は、石垣島南方か)。空母一隻/原潜一隻は、バシー海峡の東。空母一隻/原潜一隻は南シナ海。これらで、尖閣諸島への軍事侵攻は抑止されるだろう。
(2)さて、中共が仮にも「在支」日本企業すべての資産を接収する場合の、前者の問題。これは、必ずしも中共が一方的に主導できるわけではない。「武漢ウィルス」のお蔭で、中共の経済は二重にガタガタになっており、日本に対する制裁的経済行動はブーメラン的に中共自身に甚大なダメージを与えるからだ。「二重」の一つは、日本を初め、欧米の多くの対中進出企業が中共から引き揚げており、中共は対日制裁で更なる日本との経済関係における大幅混乱を受容できる情況には無い。
「二重」のもう一つ。英国やEU諸国あるいは米国における、ポスト「武漢ウィルス」に懲りた“中共離れ”は、現在、想定されている以上のものになる。イタリア、フランス、英国などは、この方向への舵を既に切っている。米国は、トランプ再選ならば、凄まじい対中共“経済制裁”暴走が再開する。
日本が、このチャンスを逃すべきではない。「台湾との国交回復→日台同盟条約の締結」を決行しても、中共は直ちの「対日」政治断交はするが、経済断交はしない可能性が極めて高いし、恐らくしない。即ち、日中経済断交はありえないから、現在の日中それぞれの大使館は、東京駐支or北京駐日「経済文化代表処」と名称が変更されるだけの話。
「台湾陥落後に、中共の日本侵攻」は誤り。正解は「(先)日本進攻→(後)台湾進攻」
(3)以上、日台同盟条約締結を、日本初に提唱した。しかし、日本の親台湾派は相も変わらず、四十年前の1979年と同じ主張──日本版「台湾関係法」の立法──をぶつぶつ“言う”ばかり。時代錯誤も甚だしい。2018年8月29日付『静岡新聞』での屋山太郎エセーや「日本李登輝の会」2013年3月の提言は、これ。
“ヌエ保守”渡辺利夫が理事長を務める「日米台関係研究所」の“日台交流基本法の提言”(2018年12月2日)は、日本版「台湾関係法」とすらいえないアホ馬鹿のシロモノ。時代錯誤というより戯言。
かように親台湾派の能天気ぶりは、彼らの軍事情勢に疎い“スーパー軍事音痴”に発している。平たく言えば、1950年代の金門・馬祖島戦争の時のまま、彼らの時計は止まっている。
中共は、先に日本の宮古島/石垣島/西表島の三島を占領する。尖閣を、この序に占領する。言うまでもないこと。そして、この宮古島/石垣島/西表島の三島占領後に、基隆や花蓮や蘇墺に攻め込む。むろんこの時、台湾海峡の西側から、主力が台北/台中/台南/高雄に大規模攻撃。つまり、台湾には東西から同時に侵攻する。中共の台湾攻略は、東西から同時挟撃する戦法。
要するに、軍事的合理性の思考では、“花蓮・蘇墺・基隆・西表島・石垣島・宮古島・魚釣島は一蓮托生の小さな一戦場である”と見做す。これ等の間には、台湾と日本の国境など存在していないと把握する。実際にも日本と台湾は、“運命の共同体”として同一国家と同等の情況だから、外国同士が協力し合う、そんな関係と捉えてはならない。有事勃発と同時に合体する日台をもって、「台湾有事に備え、日本の安全保障は・・・」などと思考するのは、痴呆老人が竹馬に乗ったナンセンス。
2、台湾・花蓮に海自の原潜基地を造り、その背後山岳を巨大な巡航ミサイル基地に
台湾の存在は、支那本土に散在する、自由を求める漢族達にとって希望の星。ウィグル人にとっても、遠くに仰ぐ北極星のような存在。台湾の完全独立を世界中の諸国家が承認し、国連に復帰するまで、台湾の自由と独立の気概の炎を最大限に支援するのは、倫理道徳の発露において日本国民の責務である。日本国家の存続にも裨益するから、日本が生死を賭けて採るべき行動である。
しかも、今や、日本は台湾の隣国ではない。中共の東アジア制覇の阿漕な侵略の牙が剥き出しとなり、その急襲の第一撃が日台の両領域を含む「花蓮・蘇澳・基隆・西表島・石垣島・宮古島・魚釣島」である以上、日台両国の間の国境は消えた。「花蓮・蘇澳・基隆・西表島・石垣島・宮古島・魚釣島」は“一蓮托生の小さな一戦場”で、これらを分かつことはできない。
日本の南西諸島防衛を仮にも正しく整備したいなら、「基隆、蘇澳、花蓮」が連ねる台湾の東北部分を、日本の南西諸島防衛の中核に据えなければならない。今般の「武漢ウィルス」蔓延事件が無ければ、私は、この4月、基隆/蘇澳/花蓮の実際の風景の中で、これら三つの軍港拡充・新設と、その周辺に三つの「射程400㎞の対地巡航ミサイル基地」建設のプランを練っていただろう。
特に花蓮では、船を借りて海上から、その切立つ岩壁を視察する予定だった。「清水断崖」(海抜800㍍)が有名であるように、花蓮の“天然の岩壁”を活用し、海没下の岩盤内に中共の核弾頭投下に耐える“完全なる潜水艦基地”(米日台の三ヶ国共用)を建設する適地を予備調査するためである。この設計施工は、費用全額負担の日本政府が米国国防省に委託契約する。
中共の(「第一列島線」を突破する)空母機動部隊に対抗する、日本が構築する「A2AD」
中共の空母機動部隊が「第一列島線」の東に侵入するのを阻むことは、難しい事ではない。台湾と沖縄本島そして九州・大隅半島までの間が、ことごとく東シナ海からのチョーク・ポイントであることを活用すればいいからだ。
具体的には地対艦巡航ミサイル一千基の地上配備と「琉球海溝」に原潜四隻を貼り付ければ、基本的には、日本側のA2AD(anti-access area-denial)の基幹部分は構築できる。
(1) 総兵力三万人の陸自「南西“島嶼”方面軍」の新設。
日本のこの新設方面軍の基地は、「(対艦巡航ミサイル部隊が、台湾の花蓮と蘇澳と連結する)西表島、石垣島、宮古島、沖縄本島南端・北端、奄美大島、種子島、鹿児島県・肝属(きもつき)山地」の計八ヶ所。これらの陸上に対艦巡航ミサイルをびっしりと配備して、東シナ海と「琉球海溝」の間にある海峡すべてに中共の(空母を含む)水上艦艇を一隻たりとも侵入させない防衛体制を完備する。
さる3月26日、陸自は宮古島駐屯地に、「12式対艦巡航ミサイル」の発射機(数輌ではなく)一両?を搬入した。この部隊の人数は、たったの60名。しかも、「12式」の射程は150㎞程度。これでは宮古海狭の防衛すらできない。「琉球海溝」防衛に必要なミサイル最低射程距離は400km。どうする?
私はかねてから、(中古だが、安いので)地上発射型対艦トマホーク(公称射程460㎞)の配備を薦めてきた。自衛隊は、「12式」の射程を400㎞に延伸するとしているが、性能は大丈夫か。懸念が残る。ほぼ同じ射程「200㎞未満」の対艦巡航ミサイルにノルウェー製NSM(備考)がある。ポーランド陸軍、米国海軍・海兵隊、ドイツ海軍、マレーシア海軍などが続々と契約している。このNSMに比較して国産「12式」は、戦場での使い易さと命中精度は如何なものか。
(備考)ノルウェーのNSMは、英語名「ナーヴァル・ストライク・ミサイル」の略語。
さらに問題がもう一つ。陸自は、「12式」を西表島/石垣島にも配備する予定がない。多方向からの同時敵艦隊攻撃が、敵艦撃沈率を一気に数倍にあげるのに、陸自はこれをしない。予算と人員逼迫が原因。だが、陸自は何故、国民に向かって声を上げない。国を守るに、軍人が声を発するのは義務である。軍事予算は最終的に国会の権限とするシビリアン・コントロールにも塵ほども反しない
しかも、西表島も石垣島も、地下基地化するに最高級の岩盤地層の島。また、西表島/石垣島への配備が絶対なのは、台湾と与那国島の海峡(私は、この海峡名を知らない)制圧に欠くことができないからだ。台湾との同盟関係の絶対不可欠性は、基隆/蘇澳/花蓮の近郊に配備する台湾の地対艦巡航ミサイル(射程460㎞の中古トマホークを想定)と、西表島/石垣島の配備の陸自「12式」とを連動させなければならないからでもある。
(2) 海自に「原潜部隊」の新設。原潜は中古のロスアンゼルス級八隻を米国から購入。母港(整備)は横須賀。だが、有事に利用できる前進基地として、台湾の花蓮に、海面下の潜水艦専用海軍基地が最も有効。建設費用は、全額日本負担。
ここを、台湾海軍は、潜水艦部隊の母港とすべきである。台湾には、新しい高性能の通常型潜水艦六隻を購入配備してもらう。もし、日本国産潜水艦で良ければ、日本がODAで六隻を供与する。また、日本は「琉球海溝」防衛に原潜(八隻のうち)四隻を投入する。各艦は、①大隅海峡、②種子島・奄美大島間の海峡(私は名前を知らない)、③宮古海峡、④与那国島・蘇澳間の海峡それぞれにつき、「琉球海溝」から戦闘作戦を行う。
台湾の現在の潜水艦は、高雄市の海軍基地「左営」を母港として四隻がある。が、余りに重大な欠陥がありすぎ、抜本改革が緊要。①戦闘能力を有さない「海獅級」などすぐさま廃棄すること。②台湾海峡は水深が浅く、潜水艦作戦を行い得ないから、潜水艦基地として「左営」は不適切。
しかも、中共の原潜は、東シナ海や南シナ海のほか、水深が潜水艦戦に最高な「琉球海溝」で縦横無人に暗躍する。必然的に台湾東部防衛が、台湾潜水艦部隊の主たる任務。このためにも、台湾潜水艦部隊の母港は、日本が費用負担/米国が設計施工の花蓮「潜水艦」基地に移動すること。
台湾東部から(沖縄の南側を北上して)鹿児島の大隅半島に到る「琉球海溝」は、最高の潜水艦作戦区域。ここを中共の原潜に“制海”させてはならない。まさに、米国第七艦隊の指導の下での日台共同の潜水艦部隊の戦闘作戦は、琉球海溝とバシー海狭のシー・コマンド達成が任務。
(3) 台湾に対し、私ごときが、その国防の向上を提案するのは、甚だ失礼である。が、無礼ついでに、もうひとつ。それは、花蓮市の西側に広がる渓谷(核爆発爆風に対する減滅力が抜群)を利用して、ここに核弾頭数発をぶち込まれてもsurviveする、対「支那本土」攻撃の長射程巡航ミサイル(トマホーク、1600㎞)の基地を建設する必要があろう。2019年8月18日に米国が加州サンニコラス島で試射した新型GLCMトマホーク(blockⅤ)は、最も適切。
なお、一般論だが、台湾は、「支那本土」敵基地を攻撃する長射程兵器を台湾山脈の東側に展開する必要がある。例えば、戦闘機も空中給油機を用いて飛翔距離を伸ばし、可能な限り、それらの基地を西側から東側に移動させておかねばならない。台湾山脈という天然の要塞はフルに活用すべきである。
(4) 日台双方の空軍基地を、航空機の不時着など有事に自由に使用できるものとする。また、空対空ミサイルの補充や簡単な整備ができるよう、事前備蓄(POMCUS、備考)できるものは、双方とも事前に備蓄する。 (備考) prepositioning overseas material configured to unit sets
具体的には、例えば、台湾空軍は、石垣島と宮古島の滑走路を、有事の不時着等に自由に使用できるようにする。このためには、石垣島と宮古島の滑走路2000㍍は、短すぎる。日本は、3000㍍への拡張工事を急いで行う必要がある。
第二節 現実「“熱戦”直前の東アジア」から逃避する、“一億屍体”の日本
台湾は、日本と異なって、1989年末にゴルビーがばら撒いた、西側諸国を浮かれさせるための嘘八百の馬鹿馬鹿しい“国防忘却麻薬”「冷戦の終結」を吸引していない。台湾は、「冷戦」は1949年秋から今に不断に続いていると、国際情勢を正しく認識している。以下は、日本のみに対する警告。
日本人とは、「冷戦」の意味すら理解できない“世界一の超アホ馬鹿”民族。戦争(=熱い戦争、熱戦)に到る直前情況を抑え込む、究極の緊張状態を“冷戦”と言う。換言すれば、戦争(侵略)主義国の侵略決意を鈍らせる、対峙的な軍事力による抑止状態が機能している状態を“冷戦”という。朝鮮半島の三八度線で、北鮮の南進(韓国侵略)を抑止している1953年以降の状態が“冷戦”の好例。
この意味で日本は、主権回復の1952年以降七十年間、一度も、冷戦の闘いをしたことがない。むしろ、東アジアの、平和の代名詞でもある“冷戦”に対して、その破壊をなして、東アジアに“熱戦”を齎す“冷戦の破壊”ばかりに、日本は暴走してきた。その嚆矢が佐藤栄作。
1964年の中共の核武装に対して「日本も核武装を!」が国民の57%(各紙の世論調査を見よ)を占める時代にあって、この健全を阻止して中共の核戦力増強を手放しで歓迎する“冷戦の破壊”が、非核三原則であり、沖縄の核抜き返還であった。日本は、1967~72年の佐藤栄作首相によって、ロシア/中共の侵略を心底では歓迎する“マゾ的な国家不要論”に暴走した“無法国家”である。
佐藤栄作の冷戦構造破壊(「非核三原則+沖縄の核抜き返還」のこと)を継承し、東アジアの冷戦構造(=平和維持構造)を徹底的に破壊したのが、1972年10月の田中角栄/大平正芳である。両名は、台湾斬り捨てと中共との国交樹立に大暴走したからだ。これこそは、世界秩序の基盤たる冷戦構造を担っていた西側の、その一員であることを忘れ、片足だけ共産圏の一員になる“日本の自由社会からの半逃亡”でなくて何であろう。
日本が「非核三原則の破棄」と「中共との国交切断(台湾との国交回復)」を決行することが、日本が東アジアにおける戦争抑止の平和構造(=冷戦)に回帰する(その役割を逃げずに担う)第一歩である。国家は、周辺地域全体の自由ある安全と安泰に貢献する義務を果したのち、経済成長や経済繁栄を求める事が許される。
が、今日明日の金にしか頭が動かない“愚鈍で卑しい一億日本人”は、何時も一時的な経済利得に目が眩み、「自由の法秩序を自壊させる“反・平和への逆走”の常習犯であり続けている。冷戦構造の破壊が、平和破壊(=経済崩壊)事態という最終局面への直行便になる、国際情勢の冷厳な現実を認識できない、痴呆老人的なアホ馬鹿が、嘆かわしいが、一億日本人の実情。
東アジア・西太平洋域で、経済第一主義に遊び惚ける“ゲス町人・商人ども”が日本の主役として闊歩しても許された経済復興・高度成長の時代は、とうの昔に過ぎ去った。なのに令和日本は、未だに昭和時代の戦後経済復興時代感覚にどっぷりと浸っている。だから日本は、例えば、侵略国家のロシア/中共を仲間とするAPEC(アジア太平洋協力会議、発足、中共の加盟1991年、ロシアの加盟1998年)を存在させ続ける、阿波踊り的な“反平和の狂気”に酔い痴れ、その重大な危険性に気づかない。
「超福祉国家=共産社会」を国家理念だと錯覚する、国家以前の“烏合の衆の寄せ集まり”になった日本は、健康な国家の真正国民だけが視力を持ちうる、この視力が欠如するため、国際情勢がいっさい見えない。いや日本は、自滅への螺旋階段を駆け降り続けている自分すら見えない。
日本が主導すべき「APECから中ロ排斥」「役割終了のG20閉鎖」「台湾の国連復帰」
日本が国家として安泰に存続したいなら、この東アジアを、この西太平洋を、いや世界を、中共とロシアを包囲(encirclement)し、封じ込める(containment)決意と信条で一致団結する、自由社会諸国連合を構築しなければならない。世界の各国に、例えば、「中共側に入るか、自由社会側にいたいか」と踏み絵を迫れる、そのような自由社会諸国連合が構築された時、日本国は安全となる。
私がかつてTPP推進キャンペーンを張ったのは、TPPを発展させて「自由社会諸国連合」に成長させるのが目的だった。私には、経済的視点は二義的。自由が尊重される国際秩序構築が、私の最優先視点。「中川八洋対中野剛志の論争」も、これ以外ではなかった。一方の中野剛志は北朝鮮人として、TPPが北朝鮮封じ込めの機能を発揮する可能性があるが故に、ピョンヤンからの絶対命令「TPPを阻止せよ」に従い、あらん限りの嘘と詭弁で、TPP反対を煽動したのである。
私は、TPPの成立をもってAPECを解体消滅させることを狙っていた。中共が“人類の敵”になった今般の「武漢ウィルス」事件は、TPP以上に、APECの解体・廃棄の天祐的好機。「武漢ウィルス」の終焉とともに、世界をして中共“制裁”と“封じ込め”に走り出させるべきで、そのスタートがAPECの解体消滅なのは、自明ではないか。1999年に始まったG20も同じ。中共とロシアが加盟するすべての“地域”国際組織は、中共とロシアを追放・排除しなければならない大義において、閉鎖・解体・廃棄・消滅されねばならない。
1971年7月、“ロシアKGBの大物”キッシンジャーが北京に飛んで周恩来となした秘密会談は、台湾の国連追放を第一目的とした、世界を舞台にした史上最大の歌舞伎演技だった。キッシンジャー以上の“歌舞伎”外交官は、人類史に存在しない。自由社会の原則に違背する、同年10月の「台湾の国連追放、中共の国連加盟」の国連総会決議は、キッシンジャーの天才的外交術が産んだ、平和破壊の“負の遺産”。1971年の国際政治を、現在の2020年からすれば、五十年前の1970年に時計を巻き戻さなければならない。この問題、別の機会に論じよう。
なお、ニクソン大統領がキッシンジャーの手玉に取られたのは、ニクソンがクウェーカー教徒で戦争恐怖症の病気を病んでいた“大統領不適格者”だったからだ。外交は、レーガンのごとく“勇者の美徳”ある人格的完成者でなくてはならない。
トランプの対「中共」経済戦争に日本は馳せ参じよ。中共の経済破綻こそ世界平和。
トランプ米国大統領がなす対「中共」経済戦争を、今、日本人で理解する者がほとんどいない。それは、日本人が、国家存立の最枢要な基盤たる至高の価値“倫理道徳”を喪失し、アヒル/ブタの家畜レベルに劣化・変質して、いわゆる「人間以下」になったからである。
“倫理道徳の咲き誇る自由社会”こそ、日本国のレーゾン=デートルであらねばならず、ゲス人間でもわかる経済など、由緒正しきに日本国においては下位の価値しかないはず。経済の主体たる商人・町人を蔑む江戸時代の「士農工商」の秩序は、人類普遍&永久不変の“国家や国際の秩序原則”を体現したもの。即ち、「士農工商」を人間の差別ではなく、倫理道徳性における差別と解すれば、古いとか新しいとかの次元を超越する、真理で“法”であるのがわかるだろう。
話を、トランプの「対中共」経済戦争に戻す。“自由ある世界平和(=正しい世界秩序)”が人類を裨益し、この秩序枠組みがあって初めて、自由な経済成長も経済繁栄も可能となる。換言すれば、侵略国家の軍事力増大に直結する経済力を削ぐことが、“自由ある世界平和(=正しい世界秩序)”構築には絶対不可欠だから、自由ある平和に適う経済成長/経済繁栄にとって、中共の経済力を大幅に減退・縮小させることは正義である。
即ち、トランプ大統領が必死に中共に対し経済戦争に挑み、中共の経済力の更なる増強(=軍事力の更なる増強)を阻止せんとする努力は、自由を欲する世界全体が称讃し、一致協力して加勢すべき偉大な行動。かつて1981年~、天才的なレーガン米国大統領が、反ソ主義anti-Sovietismを掲げて“悪の帝国”ソ連の対外侵略を阻止し退却させんと、“巻き戻しrolling-back”策として対ソ“軍拡競争”を実行した時、日本人でこれを理解し称讃した者は、私だけではなく、かなりいた。
当時の「米国+日本+独英仏の西欧諸国」の経済力は、表向き数字でもソ連の四倍だから、軍拡競争をすればソ連経済が持たず、結果、ソ連は侵略どころではなくなり、アフガニスタンやアフリカから必ず撤退するとの予測が、レーガンの信念でもあった。これに対し朝日新聞やNHKは、KGBの命令通り、「軍拡競争は、核戦争を起こす」との恐怖をあおる誹謗中傷キャンペーンを展開した。
この偽情報が猛煙となって日本を包んでいたが、かなりの日本人は「レーガンの方が正しい」と、レーガン支持に傾斜した。レーガンの対ソ“軍拡競争”が平和の機能を持つと正確に理解したのである。それは、1980年代前半の保守日本人には、軍拡競争を“熱戦防止の冷戦(平和)の一形態”だと理解できる教養がまだあったからだ。
実際にも、ソ連はレーガンの罠にひっかかり、軍拡競争にのめり込みGDPの27%まで軍備生産に投入し、結果、風船が割れるごとく、経済大破綻に追い込まれた。結果、アフガン/アフリカ三ヶ国からの撤兵だけでなく、東欧六ヶ国まで手離した。さらに、(若きプーチンが所属の)KGB第二総局がクーデターを起こし独裁政党・共産党を追放して、ソ連はイワン雷帝型のKGB第二総局独裁の新ロシア帝国に化粧し直した。
さて、中共に対するトランプの経済戦争。旧ソ連とは異なって、経済力が大きく日本を超える中共に対して、レーガンの手法“軍拡競争による経済潰し”など無効だし、非現実。効果的な中共経済潰しは、日本・米国・独英仏が一致団結して、支那本土からすべての工場と資本を総引き揚げし、対中貿易を絶無に近いほど最小限度に大縮小する事、これしかない。
その意味で、トランプの対中経済戦争は王道を歩んでいる。「中共の経済力の縮小→中共の軍備増強ペースの後退」だから、対中経済全面戦争こそ、東アジアのみならず、世界の平和に寄与する偉大な平和構築peace-makingだし、正義の行動となるからだ。この状態にあって、仮にも、日産/トヨタ/ホンダら日本の企業がこぞって中共から引き揚げないなら、これら日本企業の本性は戦争好きで、中共の“対日侵略”を大歓迎する国賊&非国民と言うことになろう。
言い換えれば、正義の行為であるトランプ「対中共」経済戦争に加担しない、“対ロ売国奴”安倍晋三とは、中共の対日侵略を熱烈歓迎し、日本国の消滅を祈願する“日本の敵”ということ。安倍晋三は、“赤チャンコロ”と言うより、日本にとり黒魔教もびっくりの“悪魔の化身”といえる。
我ら真正の日本国民は、日本伝統の武士道の精神を呼び起こし、剣を抜き、トランプ米国が猪突猛進する偉大な“経済的「中共」封じ込めeconomic containment”助勢に駈けつけようではないか。中共とロシアに対する“経済封じ込め”こそ、侵略の無い“平和な世界づくり”に確実に貢献する、日本が最優先すべき“正しき外交の神髄”である。
第三節 中共の南支那海「制海」阻止に、日豪同盟/日英同盟/日越協力
英国東洋艦隊が、その栄光の旗を降ろしたのは、1971年10月31日だった。司令官トループ海軍少将の座乗する補給艦「ストロムネス」を旗艦とする、駆逐艦一隻/フリゲート艦五隻その他という、実に寂しいミニ艦隊が、シンガポールを去った。この新聞報道を読んだ時、万感胸迫るものがあった。事前に知っていれば、シンガポールに飛んで行き、どこかのホテルの窓からでいいから、敬礼したかった。日本政府から、誰もシンガポールに派遣されていないと聞き、何という無礼で、何という忘恩か、と独り憤慨した。武士道の廃れに、日本の未来の暗澹を直覚した。国防は礼節に始まる。
対馬を守り抜いた英国ホープ提督/東洋艦隊を忘恩する、“礼節無き野蛮人”日本人
理由は、英国「支那艦隊(東洋艦隊)」は、私にとり、1861年に対馬を不法占拠したロシアを追放し「対馬を守った」大恩の艦隊。また、その時のホープ「支那艦隊」司令官(最終階級は海軍元帥)は、まだ二十代だった私にとって(“海戦の天才”ネルソン/東郷平八郎/李舜臣に次ぐ、対ロ交渉のできる)“憧れの海軍軍人”だった。1971年も11月に入っていたが、新宿に出向き国旗店でユニオンジャックの旗を買い、また近くの花屋で赤薔薇20本ほどを求め、自分の部屋に飾り、「有難う、英国《支那艦隊》殿」と呟き、英国旗に敬礼した。
1861年の歴史について蛇足。ホープ提督は、対馬を占領したロシア軍艦「ポサードニク」のビリリョフ艦長に直接、退去を迫っただけではない(8月)。その後、この英国軍艦に同乗していた特別外交官「オリファント」の働きかも知れないが(注2)、ホープらは駐北京ロシア公使に、ビリリョフに対する退去命令を出させるのに成功(8月)。1861年3月に不法占拠したロシア軍艦は、同年9月末に退散した。
1861年、対ロ交渉を代行したホープ提督らは、教訓「領土に絡む外交は、国力、軍事力、国際法の三本柱を以てなせ」を日本に遺した。が、日露戦争後の日本では、「ホープ提督」の名前すら記憶されていない。また、私が、“対ロ外交の鉄則”「日本の対露外交は、日本自身が決して対露交渉をせずに“無交渉の交渉”に徹すべき」のヒントを得たのが、勝海舟のこの対馬奪還に関する、次の回想だったことも、英国東洋艦隊への格別の思いを形成した。勝海舟は、次ように語っている。
「対馬はこの時、事実上、ロシアに占領せられたも同様だった。俺は、この場合に処する一策を案じた。当時長崎におった英国公使オールコックは、俺が懇意にしていた男だから、内密にこの話をして頼み込み、また長崎奉行にも頼み込ました。駐日英国公使は直ぐ北京の英国公使に掛け合い、その公使は露国公使に掛け合って、堂々と露国の不条理を詰責して、訳もなくロシアをして対馬を引き払わせてしまった。これが、《彼(英国)に拠りて彼(ロシア)を制する》というもの。もし日本が正面から単独でロシアへ談判したなら、ロシアはなかなか“うん”とは承知しなかっただろう」(注1)。
“智慧の宝庫”英国の新「東洋艦隊」再建に、惜しみない助力を提供すべき令和日本
雑談的な私的回想をしてしまった。「日本の国防にとり、米国のパワーこそ天与の神風」だが、「外交術は、英国に学べ」もまた至高の哲理、の説明に少しは役に立つかもしれないと思ったからだ。私が私淑した“外交学の師匠”は「チャーチル卿/バルフォア卿/リットン卿」。私は外交を、三名の英国貴族に学んだことになる。
つまり、2020年の今、中共とロシアの軍事力が天井なしの強大化する極東情勢において、風前の灯のごとき軍事小国・日本が仮にも国家を維持するには、「米国のパワーと英国の智慧」だけが、命綱。つまり、米国のほか、何としてでも“智慧の英国”に、西太平洋に回帰してもらわねばならない。できるならば日英同盟の締結は、日本国民一丸となって邁進すべきものだろう。
英国もまた、南シナ海における中共の我が物顔で侵略態勢造りのやりたい放題に、政府部内で東洋艦隊復活の議論が始まったと聞く。ならば、EUを離脱して身軽になった英国に、もう一度、インド洋・西太平洋へ帰って来てもらうことに、日本国は積極的にアプローチすべきだろう。「武漢ウィルス」猛威のお蔭で、英国内には大きな“中共離れ”の動きが始まった。この好機を逃すべきではない。
1902年の日英同盟の締結が、日本とアジアをロシアの大侵略から守ったように、今再びの日英同盟は、日豪同盟を牽引し、米国を頂点とする西太平洋の全域を、“平和の守護神”「自由ある法秩序」に覆わせることができる。米国は豪州と同盟関係(ANZUS)。米国と英国はNATOで同盟関係。
つまり、日米同盟/日豪同盟/日英同盟/米英同盟(NATO)/米豪同盟(ANZUS)の五同盟で、南シナ海の中共を“包囲encirclementする”ことが、中共をして南シナ海から完全撤兵させる確実な方法である。レーガンがアフガニスタンからのソ連軍撤兵に成功したごとく、われら自由愛好の四ヶ国(日米豪英)は、中共をして南シナ海から撤兵させるに、どんな策でも果敢に取り組むべきである。
南シナ海に“自由航行の平和と秩序”が戻らない限り、西太平洋の自由は回復しない。国家滅亡の危殆に瀕した日本国に、僅かの安全すら戻ることはない。「武漢ウィルス」以後、日本は五同盟条約による南シナ海「対中共」包囲網完成に向かって、全速力で駆けようではないか。
なお、日米豪英四ヶ国の南シナ海「対中共」包囲戦略に、拡充と近代化されたベトナムの軍港「カムラン湾」の活用が不可欠。安倍晋三よ、日本政府としてベトナムとの間に日越防衛協力協定の締結を急がれたい。
注
1、勝海舟『氷川清話』、角川文庫、157頁。
2、オリファント(貴族)は、表向きの肩書では、オールコック英国公使の部下に当る一等書記官。が、実際は、オールコックより上席で“首相パーマストンの密使”ではなかったかと示唆するのが、上垣外憲一『勝海舟と幕末外交』中公新書、2014年、248~263頁。この書はまた、対馬で交渉したのはホープではなく、“親日家”オリファント(1865年からは下院議員)だったとする。これが正しければ、1971年の、私のホープ提督への憧れは、半分ほど的外れ。
なお、1861年の幕府における親英派は、安藤信正(老中)・水野忠徳・勝海舟である。勝海舟は、日本の“親英反ロ”外交路線の嚆矢であった。ということは、「勝海舟→陸奥宗光→小村寿太郎→吉田茂→中川八洋」に流れる日本外交“正統派”の元祖とも言える。幕末・幕府における“反露”は会津藩主・松平容保、“親ロ”は川路聖謨と小栗忠順。明治維新政府は、勝海舟を継ぐ、徳川幕府オランダ系“親英派”の系譜が中核を占めた。が、日露戦争の勝利後すぐ、山縣有朋らの親ロ派に逆転される。日本国の亡国は、親ロ派・親ロ主義者が齎す。
(2020年3月30日記)