筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
※2014年5月20日に中川八洋掲示板に掲載された記事を、再掲載したものです。
日本人は堕落してしまった。より正確に言えば、堕落というより、無気力的な腐敗を強めている。これは民族全体が緊張を失ったことであるから、日本は、国全体として活力を失ったことを意味する。日本の衰退は、これから加速度的にそのスピードをあげていくことになろう。行きつく先は亡国である。
たとえば、表1を見てわかるとおり、電気料金は、極左革命イデオロギーの「脱原発」によって、鰻上りに高騰した。国全体では、毎年三・五兆円を垂れ流しだが、各家庭の家計への、その直撃的な影響は、たとえば関東一円では、37%も電気料金が上がった。このモデル家庭はささやかな世帯だが、それでも、その金額は、月に2310円、年にして2万7720円も増加したのである。だがなぜ、消費者はこれに怒らないのだろう。
そればかりか、消費税3%増で大騒ぎした朝日新聞やNHKは、消費税1%増に相当する、電気料金のこの法外な「脱原発」加算金に騒がないのは、どうしてなのか。
朝日新聞などの日頃の「庶民の味方」「消費者の味方」は、もちろん真赤な嘘。心底では、庶民などレーニンやポルポトのようにいくらでも殺しまくってよいと考えている彼らに、「庶民の味方」などの正義感や同情心などひとかけらもない。「庶民の味方」とか「消費者の味方」とかの彼らの口癖は、一般日本人を騙すためのヒトラー/ゲッベルス的なプロパガンダ。彼らのマルクス主義階級闘争が是とする嘘八百。
朝日新聞らの「脱原発」とは、日本経済の破壊を目的としたもので、反・資本主義闘争。実は朝日新聞らのマスメディアは、確信犯的に、共産社会づくりのために戦争と餓死を国民にテロルで強制した、<レーニンの「平和だ、パンだ」>を、二十一世紀の日本に百年ぶりに再現している。
表1;急騰する電気料金に怒らない“死に体民族”日本人
(備考)モデル家庭の電気一ヶ月使用量(㌔ワット時)は、北海道260、東北280、東京290、それ以外300と計算。(注1)。
原発停止が、どれほどの国損を招き、日本経済を蝕んでいるか
共産党員のコリアン菅直人が率いる民主党政権とそれを継承する霞ヶ関の赤い官僚組織によって、原発停止という、日本経済つぶしの蛮行が白昼公然と行われ、この結果、日本国は貴重な外貨を大規模にドブに垂れ流しすることになった。この垂れ流し外貨量は、いったいいくらか。
二〇一一年五月の菅直人首相の権力濫用による、中部電力・浜岡原発への停止などによって、日本の原発は、次々に停止に追い込まれていくが、その代替を火力発電で行った。そこで、まず、これらの原発停止後の電力九社の燃料費増を見れば、3兆4082億円。
表2;(沖縄を除く)電力9社の燃料費(注2)
しかし、表2には、従来から稼動している火力発電所の燃料も含まれており、この燃料部分を差し引く必要がある。この訂正をしたものが表3。原発停止に伴って、日本がドブに垂れ流した金は、2012年度は3.1兆円であった。ついでなので、2013年度を試算すれば、3.8兆円を、原発再稼動停止でドブに捨てることになろう。
表3;表2の燃料費増加分のうち原発停止に伴う分の内訳(注2)
当然、電気料金は、この3.8兆円の燃料費増によって、2013年度は25%増となる。表1と見比べるとおおむね一致している。この電気料金の高騰は、当然産業界を直撃する。特に、電力多消費型産業には致命的なダメージを与えつつある。
「脱原発」は、このように、初めから、日本の産業を破壊せんする共産革命であって、それ以外ではない。現に、「脱原発」を煽動する大学教授等はすべ共産党員。これに少数の全共闘系のマルキストが加わる。
名前はつとに知られているが、植田和弘、小出裕章、児玉龍彦、吉岡斉、飯田哲也、大島堅一らは、この共産党員の札付き「脱原発」屋たちである。彼らと付き合って、「保守」を名乗るのは、デタラメの限り。大阪の橋下徹の没落は、まさしくこのデタラメ振りがバレたため。今や、脱原発の橋下は、大阪市民から愛想をつかされ、当然の結末の、意気消沈の情況から這い上がれない。
「保守」とはあくまで、「脱原発」と戦う健全な精神の日本人のみを指す。これ以外は、日本人の顔をした堕落日本人。実態は“非国民”。反・日本経済の極み「脱原発」をいまだに捨てない橋下徹も日本維新の会も、賞味期限が過ぎた腐敗政党。すでにゴミ捨て場に直行してしまったが、「脱原発」を唱えて祖国日本に唾を吐いた天罰は覿面だったと言えよう。
三・五兆円は誰が払うべきか
原発の不必要な停止により、日本は貴重な外貨を毎年三・五兆円をドブに捨てることになったが、これを今、日本では「原発を稼動せよ!」と叫ぶ健全な日本人を含めて、平等に負担している。これはオカシイ。
あくまでも、「脱原発」を主張したり支持したりするものどもが、負担すべきである。次のようなルールはどうだ。世帯主で「脱原発」賛成といっている者が、少なくとも約二千万人いる。この世帯に毎年十七万五千円を課徴すれば、その額は三・五兆円となる。
原発を憎悪するのは勝手であり、信教の自由において、それを認めよう。だが、「脱原発」には科学はなくむしろ科学に反しているから、それは異常特殊な価値観というより一種のカルト宗教。このカルト宗教の信仰を認める代わり、それに伴うコストについては、自分たちのみで負担すべきは、当り前ではないか。「自己決定、自己責任、自己負担」の大原則である。
そして、「脱原発」に賛成する者だけでなく、“原発再稼動”を、「安全」とか「活断層」とかデッチアゲの非科学的な屁理屈をこね回して妨害する、原子力規制委員会やその事務局である原子力規制庁の全関係者の給与を全額差し押さえて、この三・五兆円に補填すべきである。その分、「脱原発」狂の一般世帯の十七万五千円が減額される。
むろん、非科学的な「一㍉シーベルト除染」にこだわる環境省についても、全職員の給与を全額差し押さえて、この三・五兆円を補填させよう。全く非科学の極みである強制避難を担当している経産省の「原子力被災者生活支援チーム」に対しても、その職員の全給与を差し押さえて、この三・五兆円を補填させよう。
日本から、カルト宗教の「脱原発」を完全一掃して、日本に科学的真理と医学的真理を復権しないかぎり、日本は、亡国の奈落へと転落している自国の最悪を阻止することはできない。
注
1、『朝日新聞』二〇一四年五月十一日付、三面。
2、縄田康光「火力発電への依存と急増する燃料費」『経済にプリズム』二〇一三年十月号。