筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
※2014年5月23日に中川八洋掲示板に掲載された記事を、再掲載したものです。
漫画「美味しんぼ」の“鼻血タラリの描写”が物議を醸している。が、こんな些細な非科学漫画に目くじらを立てる方こそ、余りに笑止。それ以前に、「美味しんぼ」よりも、医学的にも科学的にも避難が全く必要もないのに避難している福島県海岸部の町村民約十万人の方が、もっと物議が醸されるべきだろう。
科学的に不必要なセシウム避難の福島県人は、反医学のカルト宗教の狂信者
なぜなら、これら十万人の福島避難住民は、“科学なんかクソ喰らえ”“放射線医学なんぞ無視してしまえ”と主張する、世界最悪の野蛮人たちだからである。
無害である微量のセシウムを恐れて避難することこそ狂気の極み。彼らは、悪の行政と組んで、勝手に避難しているのであって、被害者ではない。そうでないと反論したいなら、放射線医学的に、避難が必要だとの学問的な根拠を提示せよ。
このことは、無害のセシウムどころか、実際にはもっと線量の高い放射能が残留した原爆投下後のヒロシマ・ナガサキと比較すれば一目瞭然だろう。ヒロシマ・ナガサキでは、その地で生き残った日本人は、死者を墓に埋め弔いの読経をした後、その瓦礫の片付けに、衛生情況が現在とは比すべきもないはるかに劣悪な中で二十四時間、数ヶ月間働き続けたのである。それでも、この被爆地で生き残ったヒロシマ・ナガサキの人たちのがん発生率は他県より数%低く、きわめて健康に長生きした。この科学的な事実は、被曝五十年間の医学的追跡調査で証明されている。
つまり、福島におけるセシウム避難やセシウム除染は、科学や医学を全面否定するカルト宗教の狂信となんら変わらない。それなのになぜ、福島県の約十万人は、避難を続けるのか。彼らは、日本の一億三千万国民に対して医学的・科学的に説明する責任がある。
ここでは、現在の強制避難を全く不必要だと知りながらユダヤ人狩りと同じく避難行政を命令し続ける、赤い経産省官僚のみが跋扈して巣喰う、ナチのSS的な“世紀の犯罪組織”「原子力被災者生活支援チーム」の問題は、いったん棚上げする。本稿は、「被害者」を自作自演する避難住民の科学破壊の野蛮人行動、及び信念も方針もなくただオロオロ対応する東電の無能・無責任な賠償垂れ流し問題に、焦点をあてたい。
東電が、無害のセシウムからの不必要な避難に対して賠償を支払うことは、東電がこの非科学的なセシウム避難を認めることであり、それは東電が科学無視・科学否定の共犯者になったことを意味する。また、限りない青天井の賠償支払いは、電気料金の無限の値上げをきたして、電気消費者である家計を直撃し、電気消費産業に致命的なコスト増をもたらす。が、東電は、これらをいっさい考慮することがない。
東電は、夢遊病者のごとく、“賠償垂れ流しのトンデモ会社”として生きる、植物人間ならぬ植物企業になった。東電のこの情況をこのまま放置するならば、日本経済は致命的に損傷を受ける。そればかりか、国家の法的正義が破壊され尽くし、日本国民の倫理も道徳も腐敗の極に達する。その行き着く先は、日本の亡国を不可避とする。
避難解除を要請せず、「月十五万円よこせ」と、電気消費者を恐喝する浪江町
報道によると、浪江町の住民一万五千人は、現在「一人当たり月十万円の避難慰謝料」を、五割増しの「十五万円」にせよと東電に要求している(注1)。これが、果して正常か否か。
福島県の海岸部では、老人の同居が多く、平均モデル世帯で言えば、「勤労夫婦2人、子供2人、その祖父母2人」で月60万円を手にする。それは、2011年5月からとすれば、すでに丸三年間だから、「60万円×36ヶ月=2160万円」の収入である。このほか、避難先やその他で定職についているので、その収入が平均モデルで年400万円。これが三年だから1200万円。合計すると、三年間の収入は3360万円である。
これが、全国の一般世帯の収入に比して、法外の高収入なのは言うまでもなかろう。それなのに、なぜ、これをさらに「五割増やせ」と要求するのか。こんな要求を、べら棒と言う。べら棒な要求は、暴力団やならず者と同じ行動パターン。
現在も行政命令で避難し続ける避難住民が要求すべきは、原子力の避難担当役所の経産省と原子力災害対策本部長である安倍晋三・首相に対して、「直ちに強制避難を全面解除せよ」、これひとつだけである。これ以外には何一つあろうはずがない。これのみが、科学にも道徳にも一致するもの。正常な人間は、科学に敬意を払い、倫理道徳に背かぬように生き、勤勉を大切な人生の指針とする。福島県の避難住民には、この人倫の道が消滅している。
文科省のADR制度は、三権分立と“法の支配”を全否定するナチ型独裁制度
現在の「一人当たり月に十万円」でも法外に高額であるのに飽きたらず、避難住民は、東電との最初の取極めなど無視して暴力団の恐喝まがいの要求を、次から次にエンドレスにエスカレートさせている。これを可能にしているのは、実は、現在実行されている原発賠償が、裁判所(司法制度)のないヒトラーのナチ型組織を模倣した、悪のADR制度(備考)で処理されているからである。
なお、東電は、法律で認められている、ADR離脱の権利を、なぜか行使しない。東電には、賠償問題をADRでなく裁判所で決着させる選択の自由は保障されているのに、なぜかそうしない。実は、東電社内も共産党員ばかり。総務部は、東電の無限賠償を是とするトンデモ輩が占拠している(注2)。
(備考)ADRとは、alternative dispute resolution の略号。裁判所を否定し、弁護士や司法書士が裁判官ではないのに裁判官となって、裁判所外で示談で決着する制度。いわゆる無法国家のシステム。ナチドイツでは、警察でないナチ党の私的なテロル組織SSが公的な警察機構となったが、これもこの一種。原発ADRは、日弁連が裁判所を乗っ取ったと考えれば、実態はよくわかろう。詳しく知りたい読者は拙著(注3)を参照のこと。
つまり、「三・一一」に便乗した菅直人が、意識的な国家犯罪として不必要な避難を実行した。そしてこの避難賠償では、“悪の権化”ADR 制度に基づき、「原子力損害賠償紛争解決センター」が設置された。しかも、赤い官僚ばかりの文科省の監督下において設置された“原発ADR”「原子力損害賠償紛争解決センター」は、擬装名称。実態は、共産党が支配する日本弁護士連合会である。
つまり、東電の避難賠償は、東電がADRに参画したことによって、制度的に裁判所から追放され日本共産党に丸投げされ、それによってスーパー巨額に膨らんだ。この情況は、巨額のユスリタカリにあった被害者が、警察に駆け込むことを禁止され、事態の解決を暴力団に丸投げされたと譬えればわかり易いだろう。
なお、近頃、法の支配も立憲主義も全否定される共産社会への革命をいまだに編集方針とする時代差誤の朝日新聞が、集団的自衛権の憲法解釈を阻止せんとして、突然、“立憲主義”だとか“法の支配”とかを大声でキャンペーンするようになった。が、真赤な詭弁。なぜなら、法の支配や立憲主義を尊重するならば、必ず、法の支配を全否定し立憲主義の真逆にある“天下一の悪法”ADR法の廃止を主張しているはず。
ところが逆に、朝日新聞は、小泉内閣で立法されたADR法に、万歳を叫んだ。朝日新聞の「法の支配/立憲主義を守れ」キャンペーンは、“ペテン師”佐村河内守の「オレが作曲した」と同じ詐言、同じ真赤な嘘。佐村河内は、朝日新聞社の社員なのか。
ADR制度では、民法も判例もすべて無視できる。そればかりか、文科省の赤い官僚と日弁連の赤い弁護士の言いなりになるしかない。つまり東電とは、凶悪な共産主義者ばかりが泳ぐ赤いサメ群の海に投げ込まれた状況にある。当然、これから五十年以上、おそらく合計で何十兆円もむしりとられる。
問題は、東電が支払うこの賠償が、東電が勝手に支払い、東電が倒産してしまえばそれで済むが、そうならないところにある。電力事業は地域独占で、このシステムを変えることは、現実には電力の安定供給が阻害されるので、不可能である。
つまり問題は、避難賠償をいくら垂れ流ししても、電気消費者に請求書を廻せばそれで解決ではないか、と考えている東電のスーパー無責任を、どう処断するかである。賠償は現時点では数兆円だが、いずれ最終的には二十兆円にはなるだろう。これをすべて関東一円の消費者に支払わせれば済むと言うのが東電の方針。
このように、賠償に関して、東電には、公共的な企業としての良心など微塵もない。どうせ消費者が支払うのだと、全く無責任に徹し、いくらでも賠償垂れ流しをしてしまえ、の考えが総務部から社長・会長へのラインで、東電の中枢を貫いている(注2)。その意味で、東電は、資本主義であることをもって憎悪し日本経済を破壊尽くさんとする日弁連とはグルで、日本経済の破壊と日本の法的正義の破壊に疾走する悪魔の企業である。
東電が、福島第一の原発事故を起こしたのは、飛行機が時には墜落するように科学技術文明と不可分の“残念な事故”であって、東電の責任は限定的で一時的である。御巣鷹山にジャンボ機を墜落させたJALの責任と同一に扱われるべきものである。だが、無害のセシウム避難という医学的に全く不必要で(自宅居住の自由を保障する)、憲法に重大に違反する国家犯罪に加担したあげくの賠償支払いという大犯罪は、永遠に許されるべきものではない。
経済を守り、法的正義を守るに、日本が今すべきこと
1、原発の再稼動が不必要に阻まれて火力発電をするほかないため、毎年三・五兆円をドブに捨てることを直ちにやめること。その方法は、簡単。原子力規制委員会の委員長(田中俊一)と委員長代理(島崎邦彦)の二名を今すぐに追放すること。その方法はここでは言えないが、いくらでもあるではないか。
2、東電にADR制度から直ちに離脱させること。そして賠償はすべて裁判所における裁判を通じて確定させること。ADR法の廃止は、その後に行うこと。
3、賠償垂れ流しが許されないことを東電に理解させるには、いったん、賠償支払いの原資に東電社員三万人全員の給与を差し押さえて充てるというぐらいの荒療治をしないと治るまい。このとき、相当数が会社を辞め、それによって停電も頻発するだろう。
それでいいのだ。国民もそれによって、セシウム避難という国家犯罪、無制限な賠償垂れ流しを東電に強制させている“原発ADR制度”の国家犯罪を初めて正しく認識するに至るだろう。
4、現東電を賠償専門の特殊法人とし、給与は国費でまかなう。発電と送電部門は新会社に移管して、現在よりも経産省と文科省の介入を制限した、より私企業の色彩を強めたものとする。
これによって、賠償関係は、すべてオープンになるので、国民の目に曝される。この結果、現在のような、ハチャメチャな賠償は行うことはできない。賠償が減額されたり中止されれば、賠償欲しさに避難を続けている福島住民は、必ず“帰宅したい、帰郷したい”と言い出すに決まっている。よって、避難そのものがあっという間に解除される。
セシウム除染について、この賠償専門会社となった東電は一円も支払わなければいい。その結果、セシウム除染を所管する環境省としては、予算がないから、これまでの前言を翻し、「実はセシウム除染は医学的に不必要でした」と、直ちに中断するに決まっている。
5、国家で最も大切なことは、法的正義、科学、勤勉等の道徳を、国民すべてが守ろうとする正しい精神に立脚することである。これなくして、国家は悠久に栄えることも存続することもできない。
注
1、『朝日新聞』二〇一四年四月二六日付け。
2、一例として佐伯光司総務部長を挙げておく。その配下の法務室長らととも、濃厚な共産主義シンパで、「セシウム避難に、東電は何十兆円でも支払うべきだ」と公言した。東電を「脱原発」を推進する革命団体にしたいとする、電力会社としては正気ではない佐伯総務部長のような共産党系の社員や役員は、東電内に掃いて捨てるほどいる。東電をいったん解体し、不当な賠償を断固拒否する、また原発を推進する者のみを社員に再雇用する新・東電を早急に創設しなければならない。
3、中川八洋「東電の賠償支払いは、ユダヤ人の大量殺戮の実行犯ナチSSに劣らぬ“世紀の重犯罪”」『原発ゼロで日本は滅ぶ ―“非科学”福島セシウム避難の国家犯罪』第四章、オークラ出版。