筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
※2014年5月16日に中川八洋掲示板に掲載された記事を、再掲載したものです。
漫画「美味しんぼ」の描写が波紋を投げかけている。『週刊ビックコミックスピリッツ』(小学館)の四月二十八日号と五月十二日号に掲載された。原作者は雁屋哲、画は花咲アキラ。
前者の号では、「福島第一原発」構内を取材した主人公が、鼻血を出している画がある。また、双葉町の赤い町長だった、悪名高き井戸川克隆を登場させ「福島県では、同じ症状の人が大勢いますよ」とある。
後者の号ではエスカレートし、“札付き<反原発>屋”井戸川克隆がふたたび「福島では鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いる」「今の福島に住んではいけないと言いたい」と語っている。さらに、福島大学の<反原発>運動家、荒木田岳・准教授に、「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思いますよ」と語らせている。
井戸川克隆と荒木田岳が登場した時点で、「美味しんぼ」が嘘八百のトンデモ漫画だろうとは誰でもすぐ感じる。また、実際に、福島県人で鼻血を出している人などいない事実も想起されるから、この漫画を信じるものは「小学生以下の子供」以外の大人であれば、まずいない。すなわち、「美味しんぼ」の悪影響は、ゼロではないが微々たるもの。騒ぐほどのものではない。
数万頭以上の家畜を殺した“日本一の悪鬼”佐藤雄平・福島県知事と比較せよ
むろん、放射線医学の専門家や一定以上の知識をもつ準専門家が、漫画「美味しんぼ」の嘘八百を批判し糾弾するのは、大いに歓迎されるし、むしろ積極的にそうしてもらいたい。しかし、この漫画に対して、佐藤雄平知事ら福島県庁と、自民党県連や民主党・県民連合らの地元の政党が大騒ぎをし非難声明をだした行動は、不正の臭いがプンプンで、どうも腑に落ちない。
“目糞、鼻糞を笑う”では済まされない、“盗人猛々しい”以上の悪質な二枚舌行動だからだ。まず、“嘘つき井戸川”に比較してその何千倍も何万倍も大嘘つきの佐藤雄平・知事らに、「美味しんぼ」を非難する資格など、まったくない。
自民党・福島県連も、遅くとも二〇一一年夏にまでに出すべきだった避難全面解除をこれまで一度も主張しなかったことにおいて、その言動の白々しさは寒々しく凍りつく。日本経済破壊のための「脱原発」を推進したコリアン菅直人を支えた民主党県民連合に至っては、かつては自分たちの同志だった井戸川や荒木田に、自分たちがやってきたセシウム避難推進の犯罪を責任転嫁して、民主党の“脱原発犯罪”を隠蔽するためのアリバイ工作が見え見えである。
たとえば、福島県庁は、佐藤雄平知事の決裁を経ている、次のコメントを出した。
「漫画<美味しんぼ>の当該場面は、風評被害を増長するもので断固容認できず、きわめて遺憾」(五月十二日付、県ホームページ)。
ユダヤ人大量殺戮のヒットラーと類似した異常犯罪者人格である“平成日本の大量殺<家畜>鬼”佐藤雄平知事も、こう述べた。
「今は福島県民が一丸となり、全国から復興を支援していただいている時で、このような雰囲気の漫画があって残念で遺憾」(さいたま市での記者会見、五月十二日)
だが、健康被害を与えない微量のセシウムで福島県人十万人以上を「強制避難(強制連行)」させた佐藤雄平・知事の犯罪行政の方は、「風評被害」などのレベルではない。たとえれば、「美味しんぼ」の漫画は、神社の鳥居に立小便した軽犯罪法違反の高校生。
一方、佐藤雄平・知事とは、サリン無差別殺人のオウム麻原彰晃(死刑囚)が小物殺人鬼に見えるほど、「一千人を殺害した平成随一の異常殺人鬼」のようなもの。ということは、五月十二日の福島県の「美味しんぼ」批判は、「一千人を殺した殺人鬼」が「鳥居に小便をした非行高校生」を難詰しているトンデモ光景。それ以外ではなかろう。
佐藤雄平を逮捕もせず、無期懲役刑にも処していない日本は、真っ当な人間の国家か──菅直人と共同正犯の佐藤雄平とは、日本人から人間性を剥奪して悪魔に改造した“福島の酒鬼薔薇聖斗”
佐藤雄平は、三つの大犯罪を犯した、世紀の大犯罪者である。
一、家畜の大量殺害の罪。
二、福島県人十万人以上に対して、反科学・反医学で全く不必要なセシウム避難を強制した。これは、自宅居住の自由を剥奪する蛮行で、憲法違反は言うに及ばず、わが国史上、他に類例のない最凶悪な“行政機関による強制連行”という罪。
三、自宅居住を剥奪された後の福島県海岸部の町村を、科学的に全く不必要である住民の強制連行をもって、計画的に破壊尽くし荒廃させた罪。
まず、第一の罪について。福島県畜産課の二〇一二年八月時点での数字は、「殺処分は、牛が一万一千頭、豚が三千三百頭…」とあるが、これはすべての餓死・渇死した数字を含めているかどうか不明。たとえば、馬も相当数が餓死・渇死した。
これら家畜を移動させる時間はたっぷりあったのに、行政機構としてその責任を負う福島県畜産課は何もしなかった。いや、実際には、福島県庁は、放射線被曝線量が限りなくゼロの家畜たちを悪逆非道にも “餓死・渇死させよ”と指示した。
佐藤雄平・知事が音頭をとった、福島県庁全体としての、動物愛護法に違反する猟奇殺人的な家畜殺しは、日ごろ猫など切り刻んで殺し、ついには小学生の首を斬ったりの猟奇殺人に至る「神戸・酒鬼薔薇聖斗」と、何ら変わるところはない。
現実にも、新聞・テレビをはじめ、ヒトラーのユダヤ人殺しと同じことをやった佐藤雄平の“大量家畜殺し”を、報道しない。また、餓死・渇死した家畜の総数についても、福島県は隠蔽して発表しようとはしない。日本人全体が、人間性を喪失したのである。人間性喪失の非人間となった日本人が、「被曝だ」「健康を害する」などと叫ぶ姿は、なんとも戦慄する悪夢の光景である。
放置された犬や猫などの「愛玩家畜」についても、どうなったのか。これも福島県は、「三・一一」から三年以上が経つのに発表していない。なお、佐藤雄平知事の了解をもって菅直人首相が出した強制避難命令は、「三・一一」ではなく、正しくはそれから一ヶ月余りが経った四月二十一日。「福島第一」の圧力容器に万が一にも損傷が起きず、つまり避難の必要がないことが確定してからであった。
そして、これに伴い、人間の顔をした“悪鬼”佐藤雄平の、数万頭に及ぶ家畜殺しが始った。ヒトラーのユダヤ人殺しを家畜殺しで再現したのである。家畜も人間と同じ動物なのに、どうしてこんな犯罪が許されるのか。動物愛護法第四十四条違反で逮捕しなかった福島県警本部も、佐藤雄平・知事と同罪の、人間性喪失の反人間たちである。
避難基準をべら棒に高くし、さらに実際の被曝線量を六倍に改竄した経産省
一義的には県知事の独裁権限と定められている災害避難に関して、法律は、原子力災害だけは例外的に(上位の)首相と(下位の)県知事の共管となっている。コミュニスト菅直人は、この首相権限を濫用することを決めた。
まず菅直人は、経産省の三分の一を占める共産党官僚と結託し、実際の福島県人の被曝線量は個人線量計を配布すれば実測値がすぐわかるから、これを禁止した。代わりに文科省の出す空中線量を換算するという、悪の手口を考え付いたからである。これだと、実測線量を六倍にデッチアゲルことができる。この「菅直人-経産省」発案の真っ赤な嘘換算方程式が、専門家が見れば唖然とする、「外部被曝線量は、福島県人の生活パターンをすべて屋外八時間、屋内十六時間として、<空中線量×0.6(低減係数)>とする」である。
だが、低減係数は、実際に計測した専門家(長崎大学の高村教授など)によると、0.05から0.2の間である。この平均値は0.1だから、経産省の0.6は六倍に作為している。私(中川)が、二〇一一年四月下旬に理論的に算出した低減係数は0.06で、高村教授の0.05~0.2の間におさまっている。ともあれ、「脱原発」革命に賭けた菅直人とその配下の経産省による犯罪は、このように悪意とデッチアゲばかりである。
加えて、除染を含め許容被曝線量を「実際の被曝線量で、年間二〇㍉シーベルト以上一〇〇㍉シーベルト以下の間」とするのは世界の関係機関や医学関係の専門家の常識。日本は、これを「一㍉シーベルト」などと、世界が嗤う非医学きわまりない基準値をデッチアゲた。
ところが、福島県は、佐藤雄平を先頭に、これら非医学的な基準値を「科学だ」「医学だ」と詐称して、県民に対し自宅居住を禁止して強制連行を実行した。このような“悪鬼”佐藤雄平の反科学/反医学の人権侵害行政や家畜殺しの非人道行政に比すれば、「美味しんぼ」の嘘描写など取るに足らない。
それなのに佐藤雄平は、「美味しんぼ」を遺憾で断固容認できないと怒る。この口吻こそ、“断固容認できない漫画”そのものではないか。