日本は原潜(ロス級、中古)八隻を購入しAUKUSをAUKUSJA(オーカスジャ)に拡大し、大急ぎで中共“包囲”態勢(侵略抑止)を構築しよう──仏の強襲揚陸艦二隻を(台湾への供与を念頭に)日本が購入し、西太平洋防衛に仏を抱き込め!

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筑波大学名誉教授  中 川 八 洋                                    

 空母「クイーン・エリザベス」(満載排水量6万8千トン)は、2021年9月4~8日、横須賀港に接岸した。が、日本では、おざなり報道が少しあったが、全体として静まり返る異様な雰囲気、というより冷たい空気が漂っていた。

 露中鮮“侵略三ヶ国”の「対日」軍事脅威の大急騰で、緊迫する危機がすでに天文学的レベルになった日本だから、本来ならば英国空母の来航を国民挙げて大歓迎する熱狂ぶりになるのが普通で常識だろう。が、そんな正常な行動をした日本人はほとんどゼロだった。

 つまり、日本人とは、危機存亡の淵に立つ祖国の現実に目を瞑り、中共とロシアに人事まで支配され徹底検閲されている日本のテレビ新聞から流されるロシア/中共製の“洗脳刷り込み”報道に踊らされ操られている夢遊病者になり果てている。今の日本人は、疫病にかかった家鴨・豚と全く変わらない。日本国はもはや“死に体国家”である。

新・日英“準”同盟を世界に発信する好機の、空母訪問を拒絶したスガーリン菅総理

 空母「クイーン・エリザベス」は、横須賀入港の前後、東シナ海や日本の関東沖合で、四サブからなる五ヶ国合同演習「pacific crown 21」(備考)の中核いわば旗艦を務めた。この五ヶ国とは、英国、米国、オランダ、カナダ、日本。

(備考)「PC21」の四サブとは、8月25~27日の「21‐1」、8月27~28日の「21‐2」、9月2~7日の「21‐3」、9月8~9日の「21‐4」。第四サブでは、英空母のF‐35Bと空自三沢基地のF‐35A、および米海兵隊のF‐35Bによる航空合同訓練。

 日本は1930~40年代、祖国に叛逆した赤い大東亜戦争とは真逆に、英米蘭三ヶ国と最高の友好関係or同盟関係をもつべきだった。この意味で、八十年も遅れてやっと日本国は、日本国の所与としての国益を正しく認識でき、当然の日本国“国防基本路線”に回帰したことになる。

 要は、新鋭の英国戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ(=英国皇太子)」を、サイゴンから飛び立った帝国海軍の艦上爆撃機がマレー半島沖で撃沈した(1941年12月10日)、あの英国との愚行の戦争(=日本の祖国叛逆の戦争)とは、度外れの日本の自滅の狂気行動だったと今、日本人はしっかと噛みしめるべきだろう。岸・防衛大臣が表敬訪問した9月6日の横須賀港の空母「クイーン・エリザベス」は、日本を悲しい眼差しで見つめながらも「赦してあげます」と語りかけているように、私は感じた。

 が、“赤い悪魔の共産党員”スガーリン菅義偉は、英空母に表敬訪問をしなかった。表敬訪問は空母の艦長にするのではない。あくまでも空母が全権代理する英国国家への表敬である。元首エリザベス二世女王陛下を代理する空母から“謁見の光栄”に浴するための表敬である。

 空母艦上で述べるべき日本国総理のスピーチは、日露戦争を勝利に導いてくれた1902年1月締結の日英同盟への深甚の感謝(恩義への感謝)であり、最高の友邦・英国を逆さにも敵とし大東亜戦争を仕掛けたことへの懺悔の謝罪が骨子となる。迫りくる日本への“悪の三国枢軸”露・中・鮮の侵略と核攻撃に、日本が独立と自由を維持できるか否かは、日本が欧米五ヶ国「米英豪仏蘭」からの支援が最大級でなければ適うものではない。が、カンギイ(菅義偉)は所詮「在日朝鮮人」だから、日本国の領土や国民の生命を守らんとする精神など一欠けらもない。故にスガーリン菅義偉は、横須賀の英空母「クイーン・エリザベス」に平然と後ろ足で砂をかけ、表敬を拒絶した。

 国家の独立と自由を守るものは三つ。一に防諜力・諜報力、二に軍事力、三に倫理・道徳を顕現する高雅な礼節。日露戦争の戦費50%は英米が都合してくれたのを忘れるならば、それは恥知らずの忘恩の極み。悖徳の典型。忘恩は亡国への一里塚。これが国際場裏の鉄則である。

蘭海軍「エファ―ツエン」の参加を、“我が師匠”勝海舟&大村益次郎に報告せねば

 なお、“幕末日本の突出した二大秀才”で、私が青春時代に私淑した(外交・国防の)“我が師匠”勝海舟&大村益次郎(備考)の学問は蘭学である。今般の五ヶ国合同演習「pacific crown 21」に、小国オランダもまた、一隻のフリゲート艦に過ぎないが、駆け参じてくれた。感激が高鳴るのを抑えることができなかった。いずれ、洗足池の勝海舟の墓と靖国神社の境内に建つ大村益次郎の銅像に詣って、オランダのフリゲート艦「エファ―ツェン」“2021年来朝/海自と共同演習”を報告する予定。

(備考)長じた私の師匠は、「外交はチャーチル、国防はマンネルヘイム元帥」である。

 国防とは、日本国と日本国民とを子々孫々に永遠化するための現世代が果たす自己犠牲の精神であり、それはまた先祖との連続を自覚する事において発生する自然的な民族の精神である。それ故に、いかなる外交も国防も、愛国心ある真正の祖先に思いを致すことを片時も忘れてはならぬ。

 例えば、オランダとの関係において、我が日本国にとって“かけがえのない英才”緒方洪庵/勝海舟/大村益次郎を想起すれば──緒方洪庵の師匠はオランダ人医師ニーマン/勝海舟の原点・長崎海軍伝習所の教官は全員オランダ軍人/大村益次郎の師匠は緒方洪庵だからオランダ医師の二世弟子──、日本にはオランダと友好以外の選択肢は存在しない。オランダとの戦争など、日本は万万が一にもできないはず。

 なぜなら、日本国が仮にもオランダと戦争をすることは、緒方洪庵/勝海舟/大村益次郎を日本の歴史から抹殺し日本人の脳裏から消し去ることと同じだからだ。それはまた、日本が自らを形成している過去と祖先を踏みつけ、世界一に由緒正しい日本国を自ら完全破壊して、日本を(狂人ルソーが夢想したユートピア)祖先無き/歴史なき孤児に貶めるおぞましい自傷行為/自殺行為そのもの。祖先との一体化こそ、未生の子孫との一体化の源泉であり、これなしに国家民族が永続して行く生命は枯渇して消滅する。日本民族は歴史を紡ぐ、世界随一に高貴で由緒正しい歴史と伝統が咲き誇る民族である。

 私が、1942年早春の蘭領インドネシア攻略に激しい憤りを爆発させるのは、それは勝海舟の墓を暴き、大村益次郎の銅像を薙ぎ倒し、緒方洪庵の適塾の多くの遺跡を破壊尽くすのと同じだからである。海軍の例で言えば、スラバヤ沖海戦は日本史上の汚点の極み。日本国の恥部に他ならない。

 スラバヤ沖海戦とは、1942年2月27日~3月1日、ジャワ本島の北側海域で、圧倒的に優勢な日本海軍と、英米蘭の植民地用“中古艦船寄せ集め”弱小連合艦隊との海戦。この海戦で日本は、重巡「エクセター」()/軽巡「デ・ロイテル」()・「ジャワ」()/駆逐艦「コルテノール」()・「エレクトラ」()・「ジュピター()・「エンカウンター()・「ポープ」()の八隻を撃沈。自分の友好国の軍艦を撃沈するなど、天に唾し天に恥じる祖国叛逆。また、横綱が幕下を投げ飛ばして悦に耽るとは情けない。

 日本は、この撃沈「英国四隻、米国一隻、蘭三隻」という歴史を、今般の「pacific crown 21」に参加している英米蘭の士官たちに語ることができるか。大東亜戦争とは、日本の歴史において最も赤面し俯くしかない破廉恥の狂気。このことをスラバヤ沖海戦史が、現在の日本に教訓する。

日英同盟と英米の騎士道「日本“助太刀”」こそ、日露戦争「日本勝利」の陰の立役者

 国益を守る外交の根本は、一にマナー礼節、二に美徳を発露する倫理道徳性にある。この意味で、日露戦争ほど外交と美徳の関係を顕現した歴史は他にはなく、日露戦争の歴史は、我が日本国が永遠に拳々服膺するべき“外交学の根本”の教科書である。

 だが、悪魔の祖国叛逆でスターリン奉戴の大東亜戦争では、美徳と騎士道に生きる偉大な英米両国に対し、“罵詈雑言の極み”「鬼畜米英」を投げつけた。日本人が高雅な武士道の民族から一転して“一億ゴロツキならず者”になった、日本史上最悪の八年間、これこそが大東亜戦争の正体。この意味で、大東亜戦争の日本とは、その極度な反・国防の特性もさりながら、“外交学の根本”に違背する“反・外交のモデル”である。これからの日本は、大東亜戦争期の“ゴロツキ野蛮人”日本人を厳に蔑視して、日露戦争期の英米を範とする正しく美しき外交・国防に戻らねばならない。

 英国が東洋の小国・日本と格の相違に目を瞑り同盟を締結してくれたことは、感謝して感謝しすぎることはない。特に、その推進者エドワード七世国王陛下には、現在でも日本国民なら足を向けて寝ることはできない。エドワード七世国王陛下の親日ぶりは、日英同盟条約の締結を推進されただけでない。

 日ロ戦争の戦費の約半分は外債だが、当時の世界の小国で非白人の日本の公債を買う外国人など一人もいなかった。日本の公債が英米で売れたのは、エドワード七世国王陛下が、英米の金持ちを王宮の晩餐会に招待しては懇願する、セールスマンをしてくれたから可能になった。例えば、米国では、ユダヤ系ロシア人で“反露”シフが「日本が敗北した場合、債券の代金は《俺が支払う》」と約束したから売れたが、このシフに〈日本の公債の米国販売を引き受けさせた〉のは、たまたまロンドンに来たシフをエドワード七世国王陛下が晩餐会に招待して依頼したのがきっかけであった。

 日露戦争の帰趨を制した戦費問題は、「エドワード七世国王陛下、シフ、黒木為楨(ためもと)」の三人がいなければ失敗しており、日本は日露戦争を中途で投げ出したのは確実。東郷平八郎の日本海海戦もなかった可能性が高い。だが、日本人で今もエドワード七世国王陛下への感謝を捧げている者は、私を除きゼロ。 “忘恩の野蛮人”日本人の近未来が亡国になるのは、必然だろう。

 なお驚くのは、日露戦争の、東郷平八郎/乃木希典/児玉源太郎などの名前は知っているが、黒木爲楨・陸軍大将の名を知らない日本人がいること(注1)。日露戦争の陸戦は黒木大将の鴨緑江の渡河で始まったのであり(1904年5月1日)、ロシアの大軍を瞬時に潰走させていくその鮮やかな渡河作戦は、世界の驚嘆と称讃とを集め、この報に日本の外債が初めて売れた。1963年まで、カナダの田舎の鉄道駅名に、「KUROKI」があった。カナダ人が、黒木爲楨・第一軍の奉天への快進撃に興奮してつけた駅名。黒木爲楨の活躍によって、世界は「フレ、フレ、日本」の大合唱になった。

 英国の“反露/親日”の徹底ぶりは、戦費集めや、日英同盟の条文でもって露仏同盟条約を締結しているフランスを中立に追い込む巧緻(注2)などに十全に発揮されている。が、それだけでなく、英国は、軍艦四隻がロシアの手に亙るのを妨害し、うち新鋭艦二隻を日本が獲得できるようにしてくれた。

 第一。チリの軍艦二隻をロシアが購入する直前、英国は法外な価格で買い上げ、ロシア海軍の手に渡らないようにした。

 第二。アルゼンチンがイタリアに発注し完成した最新鋭の装甲巡洋艦(7700㌧)二隻を、日本に斡旋した。これが日本海海戦でも戦艦並みに活躍した「日進」と「春日」である。主砲の仰角は30度以上で、他の日本の軍艦の20度とは格段の差異があった。さらに、「日進」「春日」をイタリアからセイロン島まで、英国は大型の装甲巡洋艦「キング・アルフレッド」(1万4000㌧)で護衛した。しかも、両艦の艦長を英国海軍大佐にし、ユニオン・ジャックの旗を靡かせた。なぜなら、ロシア海軍は洋上で撃沈すべく、「日進」「春日」の真後ろに襲撃態勢の「戦艦一隻、装甲巡洋艦一隻、巡洋艦二隻、駆逐艦七隻」を貼り付けていた。両艦が1904年2月16日に横須賀港に着岸できたのは、英国なしでは叶わぬ奇跡であった。

 第三。ロシア艦隊のボスフォラス/ダーダネルス海峡通過を妨害し、ロシア黒海艦隊を黒海に封じ込めた。また、日ロ戦争勃発後はロシア軍艦のスウェズ運河通過を禁止し、アフリカ南端回りを強制し、水兵に大量の病人が出る赤道を二度も通過させた。

 英国の智謀に満ちた(戦闘参加以外の)同盟義務は最高級のもので、この英国の協力がなければ、日本海海戦に日本が勝利できたかどうか、心もとない。

豪州「原潜保有」は大歓迎。日本も「原潜八隻」でAUKUSをAUKUSJAに拡大を!

 さる9月15日、軍事問題を担当する新聞テレビ記者たちが、多少、エッと驚いた小さな出来事があった。①豪州が原潜を保有する計画への驚き。②この原潜技術提供に英米が協力するため、米国主導でAUKUSという三ヶ国の枠組みをつくったことの驚き。③いよいよ英国が本格的に西太平洋に戻ってくることの驚き。④豪州がフランスとの契約破棄を事前通告なしでやったことの驚き(「バイデン演説で仏マクロン大統領は事の詳細を初めて知った」)など。

 「AUKUS(オーカス)」は、Aはオーストラリア/UKは英国/USは米国、を繋ぎ合わせたもの。

 ところで私は、ほんの一部のみ驚かなかった。それは、豪州が2016年、フランスと潜水艦12隻の購入契約(七兆二千億円)をした時、技術的に余りにナンセンスな契約だと確信していたからだ。

 なぜなら、フランスは、日本のようなディーゼル・エンジンの通常型潜水艦を生産していない。だからフランスは、豪州への提供にあたって、シュフラン級の攻撃型原子力潜水艦のエンジンを原子力推進からディーゼルに改造することにした。が、この改造は技術的に困難で簡単ではない。改造はうまくいかないだろうから、この豪仏の「潜水艦」契約は時間の問題で自然破綻する、と私は推定した。その通りになった。実際にもフランスでは、この改造がすでに2021年6月頃、頓挫が決定的に明白になったようだ。この場合、豪州の契約破棄に瑕疵はなく、違約金の支払いは不要となる。

 さて、英米に乗り換えた豪州。豪州にとって、原潜は、設計図面を丸ごともらっても建造することなど不可能。豪州は恐らく、英国のアスチュート級原子力潜水艦(水中排水量7800㌧、全長97㍍)を組み立てるだけのノック・ダウン方式での購入をすることになろう。その数は八隻。トマホーク対地巡航ミサイルを相当数積載できる。有事には、米国からdouble‐keyで核弾頭も供与されよう。豪州は、この原潜を保有すれば、その後は中共に対して意思「屈しない」を鮮明にし、南シナ海に展開することになる。

 「AUKUS」は、今ではまだ防衛協力協定レベルだが、豪州原潜が配備され、またさらなる将来の核弾頭のdouble‐keyでの提供もありうるだろうから、そう遠からず英米豪三ヶ国同盟条約に昇格する。日本は「AUKUS」を拍手して歓迎し、確実に到来する日本が参加する時を準備しよう。

 さて、日本。これまで口酸っぱく提唱してきたように、日本も原潜を持たなければ、中共の侵略になすすべもなく白旗を掲げ、“第二のウィグル人”の地獄の道に転落するほかない。日本の原潜は、米国の中古「ロサンゼルス級」の購入方式で配備。八隻が最小限、不可欠。

 そして遅くとも日本がロス級原潜を購入し始める前には、現在の「AUKUS」に参加し「AUKUSJA オーカスジャ」へと拡大する。もし、それまでに日豪同盟条約が締結されていなければ、「AUKUSJA」が実態的に日豪同盟条約の代替となる。なお、映画語「忍者ninja」が米国で普及したお蔭で、アメリカ人はJAPANの「JAジャ」が末尾でも発音できるようになっている。

仏海軍の西太平洋「常駐」を誘うに、まず日本は(台湾供与の)ミストラル級二隻を購入

 さて、豪州の「フランスから英米への乗り換え」で、一つ厄介な問題が発生した。フランスが、英米主導の西側同盟への不信を抱いたことである。だが、マクロン大統領が口にしたのは、「七兆円分の外貨と四千人分の雇用をどうしてくれる!」の経済問題。安全保障問題ではない。ならば西側全体で、この分を補填すれば、フランスの対英米不信を除去することは可能。

 例えば、まず日本が、金額にしてほんのわずかだが、ミストラル級の強襲揚陸艦(注4)を二隻発注し、いったん日本に係留し、台湾が欲する場合、ODAで台湾に供与すればいい。ミストラル強襲揚陸艦は、簡単な改造でF‐35Bも搭載できる。価額も安く、二隻で9億5千万ユーロ(1235億円、2016年時点)である。F-35Bを、この極東で、沖縄の米国海兵隊と日本と台湾の三ヶ国が共通運用すれば、戦力は倍加する。

 なお、私が「仏製ミストラル強襲揚陸艦」を台湾に供与して、日本の海自もしくは新しく創設する日本の海兵隊用の主力にしないことについて、若干の説明をしておかねばならない。日本の海兵隊用には、「スペイン製ファン・カルロスⅠ世強襲揚陸艦」を四隻購入すべきと考えているからである。理由は、後者の方が仏製より、実戦時の戦闘行動がはるかに優れているからである(注4)

 話が変わるが、西太平洋で中共海軍力の天文学的な大増強の脅威に直面する日本は、フランスを怒らせてはならない切実な情況にある。いまフランスは、アジアから撤退させられた1940年からすれば八十年ぶりに、西太平洋に回帰し海軍力プレゼンスを強化していく傾向にある。が、この傾向をもっと恒常化させ/もっと強力化する方向に誘導する必要に、日本は迫られているからだ。

 が、惰弱で老人へのバラマキ(=超福祉国家政策)にしか頭が回らない、世界一に劣等な“一億ゲス”日本人は、フランス海軍力が南シナ海/東シナ海におけるプレゼンスを高めることが、いかに対中“抑止力”効果を持つか、その重要性が理解できないし、関心すらない。自国の独立と自由と生命を維持することに最小限の自己責任を果たすことすら忘却した、人類史に類例のない“家鴨・豚並み日本人”の腐敗は目を覆う。

 フランスを西太平洋(べトナム)から叩き出したのは、ヒトラーと、ヒトラーと組んだ“スターリンの赤い犬”日本。1940~1年のことだった。スターリンの命令で、が鳴りたてた共産革命スローガン「大東亜共栄圏」は、日本が日本の友人をことごとく西太平洋から締め出して自分の首を絞める縄を首に巻き付ける狂気の歌であり、日本自らを地獄に追い込む阿波踊りの三味線音頭だった。

 さて、話を二十一世紀に戻す。フランス海軍の西太平洋回帰「状況」を、私の粗雑な記憶に従って、以下リストする。(全てを網羅してはいないことに注意)

①2015年5月、ミストラル級強襲揚陸艦の三番艦「ディクスミュード」が、佐世保に親善寄港した。

②2017年5月、強襲揚陸艦「ミストラル」/フリゲート艦「クールぺ」からなるフランス練習艦隊「ジャンヌ・ダルク2017」が、佐世保に寄港。この「ミストラル」には、英国海兵隊六十名とそのヘリ「マーリン」二機が乗船していた。

③2021年2月8日、リュビ級攻撃型原子力潜水艦の四番艦「エムロード」が、南シナ海を遊弋したと、フランス国防大臣が発表した。同艦は、この発表よりはるか以前の前年12月15~17日、日本の海自や米海軍と共同訓練を実施している。

④2021年5月、ミストラル級強襲揚陸艦の二番艦「トネール」とフリゲート艦「シュルクーフ」が、日仏豪米四ヶ国訓練「ARC‐21」に参加。この時、フランス陸軍「第六軽機甲旅団の小部隊」が、陸自や米海兵隊と地上演習、すなわち離島奪還訓練を行った。

 また、海自の補給艦「ましゅう」が「シュルクーフ」に給油訓練を実施した。なお、豪海軍からはフリゲート艦「パラマッタ」が、米海兵隊からはドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」が参加。

新・日英同盟/日豪同盟条約、日仏防衛協力/日越防衛協力協定、の締結を急げ!

 南シナ海と東シナ海は、今や、中共がシー・コントロールよりもシー・コマンド的に支配している。つまり、惰弱と腐敗に下落する日本こそが、この領域を“中共の内海”にしてしまったのである。これは、戦後日本が、オホーツク海が“ロシアの内海”になっていくのを、指を咥えて放置したが、それを中共に対しても繰り返しているということ。「日本とは国家である」「自分とは日本国民だ」と、認識している日本人が今やゼロ名になった、恐ろしい惨たる結末である。

 南シナ海と東シナ海の両海を万国に開かれた公海に戻すことに、日本国民ならば、命を懸けて全力疾走しているはず。が、愚痴をいったん我慢して、まだ若干名の日本国民が残っているとの淡い期待をもって、この方策について、本ブログの2020年4月3日upの稿「日本・台湾同盟関係を構築せずして、日本国の存続は困難。日本よ、最悪アラートで国防態勢“爆”強化の新時代へ前進!」等で警鐘乱打してきた。読者は、これらをもう一度、よく噛んで頂きたい。

 が、これらの警鐘乱打をいくらしても、政府も国会もなにひとつ動かない。自民党ですら、共産党・朝日新聞の顔色を窺う“共産党の下請け会社”なのだから、日本は亡国と背中合わせで、もはや万事休す。それでも、日本国が存続できる唯一の道を、幽かではあっても、説き続けなければ、日本の近未来は、阿鼻叫喚の地獄以上の未曽有の事態に墜ちる。

 本稿は、「南シナ海防衛の担当を米・豪・英、東シナ海防衛の担当を米・日・台湾」を基軸に、フランス/インド/ベトナムがこれらを補完する、そのような当たり前の基本戦略をわかりやすく整理したものである。もう一度言う。2020年4月3日upの稿と一緒に、菜根を噛むように熟読して頂きたい。

 

1、黒木爲楨・陸軍大将に関する一般書には、来原慶助『日露戦争における黒木爲楨・陸軍大将』(復刻版)や柘植久慶『黒木爲楨』、PHP文庫、などがある。

2、日英同盟条約の第二条と第三条は、日本の戦争相手国が一ヶ国(ロシアだけ)の場合は英国は不参戦、二ヶ国以上の(フランスがロシア側で参戦する)場合は英国は日本側で参戦するとなっている。これを民族系は、英国は血を流さず日本人だけを戦場で戦わせ漁夫の利を得る条文だと難詰する。何とも悪辣な曲解。これらの条文は、フランスがロシア側で参戦すると英国と全面戦争になるぞ、との対仏警告である。実際にもフランスは、この第二/三条に震え上がって、完全中立を貫いた。

3、日露戦争における英国の協力については、『日本外交史 7』、鹿島研究所出版会、120~59頁、などを参照のこと。

4、諸元

(2021年9月27日記)

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