安倍晋三総理への福島第1原発事故の収束に関する公開要望書

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※2013年11月21日に中川八洋掲示板に掲載された記事を、再掲載したものです。

原子力災害対策本部長
安 倍 晋 三 総理 殿          

公開要望書

 本要望書は、10・13シンポジウム「脱原発は、日本経済衰亡の禍機──科学と法と人倫に違背する<避難&賠償>」に基づき、またそのパネリストや参加者数百名の支持や了解を得て発するものです。

 その目的は、我が国の電力の安定かつ潤沢な供給を堅持すべく、日本経済の弱体化に直結する反科学”“反日イデオロギー濃厚な「脱原発」に屈することのなきよう、安倍総理大臣に対して、菅直人ら民主党政権がなしてきたおぞましくも犯罪性あらわな「脱原発」行政を断固糾弾され、これをコペルニクス的に矯正し正常な原発行政を回復して頂きたいからでございます。

 原発の再稼動が日本に不可欠なのは、原発に代替する天然ガスや石油の代金がすでに年間三・五兆円にものぼるように、日本経済をこれからじわじわと締め上げるのは経済学を持ち出さなくとも誰にもわかる常識です。

 小泉純一郎・元総理は、電力生産の分野で原発に代わる新技術が簡単に発明されるとばかり、「日本人は皆エジソン」という妄想に耽っており、まさしく夢見る妄想老人の典型。いや正しくは、“大言壮語する嘘つき無責任老人のご活躍”。解決策は、反論や反撃をするのではなく、徹底無視が上策で効果的だと思います。

 が、翻って国内を見るに、“極左イデオロギーの囚われ人”でない一般の常識日本人も、原発推進に自信がなく、声が小さい。ややもすれば「脱原発」にぶれる。この最大の原因が、15万5千人もの福島県人を不当に強制避難(=強制連行)させ、その「解放=避難解除=自由回復」を今なおしない、ユダヤ人の強制連行をしたナチと同じ日本政府の残忍な凶悪性に、無意識に、慄いているからだと思います。

 ヒステリー的な原発恐怖症に加え、凶悪な原発行政を恣にする政府が、避難や除染を抜本的に科学や医学に従って是正しないとすれば、日本国民は安心して正常な電力生産感覚(すなわち原発推進)を取り戻すことはできません。

 以下、安倍政権が、科学と法と倫理道徳に適う正しき原発行政へと、英断をもって舵をきられるよう、その主要な要点を要望の形で申し上げる次第です。

要望の第一 

 福島セシウム強制避難は、実は北朝鮮の日本人拉致誘拐を模倣した、菅直人らの意図的な「重犯罪」。ナチのユダヤ人の強制連行とも同種。しかし、自民党政権は、201212月に政権を奪還してすでに一年が経ちながら、科学にしたがった即時全面解除を今なお発動しない。安倍総理は、放射線医学に従って、福島セシウム避難住民を直ちに全員帰宅・帰郷させよ。

①福島セシウム避難は、科学的・医学的に全く不必要であり、しかも、日本人に憎悪を燃やす菅直人が、このことを知った上で、2011年4月に策謀し実行したものです。セシウム強制避難を初めて発動した4月21日は、3・11からすでに40日が経過していた。

②このとき、準・避難が必要な箇所は、大熊町の一ヶ所のみ。しかも、それも数ヶ月間未満で解除できるレベル。すなわち、この一ヶ所だけに限って、昼間はいつもどおり学校・自宅・職場にそのままで、夜間のみ福島市などへの避難を1~2ヶ月間続ける行政措置が許された。他は、いっさい避難が不必要でした。避難の全面解除は、今すぐすべきです。

 同封のパンフレットの8~10頁を参照のこと。また「脱原発を許さない 渡部昇一 中川八洋」でGOOGLE検索すれば、同封シンポジウムでの中村博士(大阪大学医学部教授、放射線医学が専門、現在、同大名誉教授)の発表が動画でご覧頂けます。

③菅直人は、日本人(原敕晁さん)拉致誘拐犯・辛光洙が韓国で捕まった時、その解放で韓国政府に対し圧力をかけたように、日本人拉致を支持した北朝鮮系コリアン(祖父母が済州島から移民)。

 セシウム強制避難を直ちに解除すれば、東電の賠償は極度に減る。つまり、科学・医学に沿った行政措置こそ、東電(消費者の電気料金)であれ、国費(税金)であり、それが現在以上は直ちに不要になる。

 すなわち、自民党政権がなすべき正しい福島・東電政策の中核は、科学・医学に従うセシウム強制避難の即時全面解除。それのみが、電気料金の不当な値上げを阻止し、税金投入という理不尽行政を排除できる、最も法に適い、最も科学に適うものです。

④上記に述べた、菅直人・斑目春樹の「8月4日報告書」──形式的な適用は、2011年12月18日──は、この2011年4月21日の福島県人15万5千人強制連行を“後追い正当化”するためのデマゴーグ詭弁書。当然、それは医学的・科学的にはでたらめの限りのキワモノ文書。なお、斑目春樹とは、東大の民青に所属していた過激な共産党活動家出身者。

要望の第二

 戦後日本の政治史上最悪の人権侵害事件というべき、憲法第22条が定める自宅居住の自由を侵害する「警戒区域」の発動を2011年4月21日になした菅直人首相ならびに経産省幹部の「重犯罪」を調査し、厳正な処分を行なえ。

①これに関する説明は、同封のパンフレットの8~10頁を参照下さい。

②経産省は現在、菅直人首相・枝野幸男経産大臣のときとは打って変わって「原発再稼動」の声をあげます。しかしこれは、アリバイ工作を含んだ表面的な行動。2011年の経産省の官僚は、菅直人や枝野幸男の犯罪行政に、本心はともかく唯々諾々とそのお先棒を担いだ共犯者たちで、現在の経産省による原発行政は、自分たちの犯罪共犯をいかに隠蔽・糊塗するかが中心。日本の電力政策など国家的なものは上の空状態です。

 この故に、経産省は、自民党政権になったからといって、科学と法に従った正常な原発行政を回復しようとはしませんでした。民主党時代の官僚が今もそのままその職にあるし、異動したとしても現在の担当官僚の先輩として近くにいるからです。

 経産省とは官僚機構であって、民間の個人営業の商店などではありません。ナチのユダヤ人の強制連行を模倣した“大犯罪行政”「帰還困難区域等の設定」をした官僚機構が、わずか二年しか経っていない2013年に、「避難は不必要で、全くの間違いでした」と宣言することなどありえません。

 そんなことをすれば、避難させられた住民の怒りの爆発だけではすまず、国中の日本人から総攻撃されます。事務次官ほか数名の懲戒免職などではとても収まらない事態をいかに回避するか、これが現在の経産省が最も腐心している原発行政です。

 避難行政を担当する経産省が、今も、セシウム外部被曝線量を実際のより六倍も膨らませたデッチアゲ嘘数字を死守しているのも、この理由です。経産省が、反人間的で反科学的なセシウム避難強制という暴政を止める気配がない理由は、もうお分り頂けたと思います。

③かくして、経産省を使っての原発行政の建て直しは、狂って腐った土台の上に正常な家を建てようとするようなもので、決して健全な原発政策など生まれるはずはありません。

④安倍内閣が、もし健全な原発行政を欲し、「脱原発」の波を逆転させたいのであれば、まずもって、菅直人と斑目春樹(原子力安全委員会委員長)らが謀議した2011年8月4日付け同委員会「報告書」の破棄を宣言する必要があります。安倍内閣として是非とも、デタラメな「斑目報告書」を破棄し、経産省の反科学のデタラメ避難行政を糾弾し、経産省に対し「帰還困難区域」等の「避難指示」を解除せよ、と命じて頂きたく存じます。

要望の三 

 除染は科学的・医学的に全く不必要であり、直ちに全面的な中断をすべきが政府の正しい行政。これについて異論の余地はない。

①日本の自然放射能は「2.4㍉シーベルト」。これより低い「1㍉シーベルト」に除染するなど世界の専門家が眉を顰めて日本を軽蔑しています。

 ちなみに、広島も長崎も、その原爆投下後に除染などいっさいしませんでした。しかし、医学的にそれによる健康被害の症例はゼロ。そればかりか、癌発生率は他の地域に比べ5%ほど少ないことが五十年間に及ぶ10万人対象の調査で実証されています。

②また、長崎原爆の放出放射能はおよそ7.4×104エクサベクレル、一方「福島第一の一~四号機」から放出されたのは0.37エクサベクレル。つまり、除染をいっさいしなかった長崎原爆の二十万分の一です。そのような超低レベルの微量放射能で除染をするとは、非科学性もきわまった、まさに異常な狂気。オウム真理教のハルマゲドン信仰と変わるところはありません。

(注)広島原爆の放出放射能は長崎よりやや低い。

③セシウムの生物学な特性は、土との親和性が極度に高いことです。いったん土表についたセシウムは、植物の毛根から吸い上げられることに徹底抗戦的に抵抗します。

 このため、福島東岸で栽培した稲の収穫米から微かなセシウムを検出するには、その農地において現在の1000倍もの濃度のセシウム汚染をしない限り不可能です。それなのに水田を除染すれば水田が損傷破壊され稲作をするのにさらに三年の土地改良が必要になります。

 福島県の農産物でセシウム検査が必要なのは、土に植えられていない椎茸のみなのは、この科学的な理由によります。

④この科学にしたがえば、自民党の大島理森代議士らの「1㍉シーベルト除染を公共事業扱いとして続行する」との国関与策は、全くの反科学の極め付き。正しい行政は、ただちに除染を中断すること、それ以外ではありません。

⑤政府は、今すぐ避難解除をなし、帰宅・帰郷した避難住民に個人線量計を貸与し、除染希望者があればその申し入れに応じて行政が科学に逸脱しない範囲で除染してあげるのが、正しい除染のやりかたです。おそらく、農業関係者で自分の田畑へ、建設業界の除染工事を希望するものは限りなくゼロになるのは推定するに明らかです。

⑥なお、「1㍉シーベルト除染」を恣意的に定めた菅直人・細野豪志らの意図は、“巨額除染費用からの東電つぶし”を狙ったことはご存知かと思います。「大企業=巨悪」とするコミュニズム信仰からの反資本主義闘争です。

要望の四

 汚染水問題は、安倍総理が国際オリンピック委員会総会で演説した「完全にコントロールされている」が、もっとも科学的・学問的に正しい表現。「完全にコントロールされている」は、日本国の名誉のために、世界にもっともっと発信されるべきである。

①海へ流出している現在の汚染水の放射線量は、国際的水準では全く問題ない。英国のシェフィールド再処理工場の排水と比較して下さい。

 具体的に汚染水貯蔵タンクからの「300トン漏洩」騒動における、排水路の濃度は100ベクレルレベル、周辺土壌の濃度は1000ベクレルレベルだった。海の希釈力などを考えれば、海洋汚染など万が一にも起きないレベル。

 堰外の海では0.01ベクレルで、飲料水の規制値「10ベクレル」の千分の一、飲めるか飲めないかではなく、がぶ飲みしてよいレベル。

②堰内のセシウムは1リットル当たり10~100ベクレルで、法令の90ベクレルをほぼクリアしている。「500億円かけての凍土壁で囲む」工事など、全く不必要。この堰内の海水は、わずかであれば飲んでも何ら問題ない。遊泳ならば、もちろん完全に問題ありません。

汚染水タンクを凍土壁で囲む工事はナンセンス、してはならない

③汚染水タンクを500億円近くの費用をかけて、「凍土壁で囲む」など、土木工学的に全く馬鹿げたナンセンス。それは現状の改善には何ら寄与しない。タンクからの漏出そのものを止めるものではないからです。

④改善策は、現在のタンクの修理&タンクの管理を中心に、多核種除去装置(alps)を円滑に稼動させていくことであって、無意味明らかな「凍土壁」など荒唐無稽な策などすべきではありません。

その他

⑤東電「福島第一」原発の四号機と五号機との間の防水堰を設置して、この五号機・六号機が近い将来に再稼動するか否かの選択を可能とせよ。五&六号機を廃炉にしてはならない。発電所を粗末にする国家など、その経済は、天罰が下るがごとく、必ず衰退が確実に到来します。

要望の五

 本要望書は、東電「福島第一」の原発事故に関して、いっさいそれを咎めることをしない立場で貫かれています。理由は、この事故は、人類の科学発展史において、より安全な原発技術向上への貴重な実験とみなすべきが“自由な文明社会”を維持すべき責務をもつわれわれ世代の人間としての健全な考えでなければならいからです。

 また、「福島第一」レベルの原発事故ごときで原発恐怖症に罹るようでは、日本人が文明の人間として前進する勇気や苦難に立ち向かう堅忍不抜の精神など、倫理道徳を喪失したことにほかならず、次世代の日本人(子どもたち)を惰弱に教示する害毒は計り知れないものがあります。日本国の衰退は、悪魔の「脱原発」イデオロギーを粉砕できないとすれば、確定的にならざるを得ません。

 どうか安倍総理におかれては、日本人から困難に立ち向かう克己や勇気という美徳を奪う、「脱原発」の怖ろしい側面を国民に訴えていただきたく存じ上げます。


平成25年11月15日

「原発と日本経済を考えるシンポ実行委員会」主催のシンポジウム「脱原発は、日本経済衰亡の禍機」のパネリスト代表 中 川 八 洋(筑波大学名誉教授)

(附記)上記の要望書に係わる文責は、パネリスト代表の中川八洋一人にある。また、上記にあるシンポジウムは、YOU TUBE にアップされている。

「脱原発」を許さない! 渡部 昇一 ・ 中川八洋 – YouTube

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