筑波大学名誉教授 中 川 八 洋
1999年10月、『国民の歴史』が西尾幹二から贈られてきた。余りに分厚く大きいのにビックリ。30分ほどパラ読み。まず、二ヶ月前の8月、「西尾は共産党員だ!」と叫んだ(西尾幹二に対する)谷沢永一氏の怒りを思い出した。次に、『国民の歴史』は、西尾幹二が志位和夫と共著した共産党謹製なのかと唖然、憮然。
1999年8月、西尾幹二を巡って、私は谷沢永一とささやかな論争をした。「《新しい教科書をつくる会》は、共産党と共謀しており、相当に警戒した方がいい」との私の意見に、谷沢は「共謀しているのではない! 西尾自身が共産党員だ!」と激しく反論した。これに対し、私が「西尾はニーチェ・ヒトラー系の廃墟主義アナーキストだから、共産党員コミュニストとは区別したがいい」と言ったら、谷沢永一はブッキラボウに、再び「西尾幹二は共産党員だ!」と叫んだ。
この8月から二ヶ月後の10月、『国民の歴史』を手に私は、谷沢永一は党籍のある共産党員(1952年の火炎瓶闘争時に離党)だったから、西尾幹二の正体を見抜いていたのか、とほとほと感心した。また西尾幹二とは、「下層がニーチェ系のアナーキスト/上層が共産党員」の二層重ねサンドイッチ構造の“反日極左”人士だと、彼の恐ろしい正体を確信した。そして、1997年1月から対西尾“潜入捜査”を始めた私としては、日本国を西尾幹二の共産党史観/スターリン史観から守るために、是が非でも“一冊必殺”の『西尾幹二の研究』を出版せねばと、拳を固く握った(1999年10月末)。
日本憎悪“感情”を猛炎と燃やす西尾が、日本の歴史を破壊せんと大暴走しているのは、西尾の作品を見ればすぐわかる。『国民の歴史』『皇太子さまへの御忠言』『平和主義ではない「脱原発」』は、日本共産党員として書いている。『GHQ焚書図書開封』全十二巻と『日本と西欧の五〇〇年史』は、大川周明にニーチェをブレンドしたアナーキストとして書いている。『ソ連知識人(KGBお雇いの学者擬装の対外工作員)との対話』『国民の歴史』『GHQ焚書図書開封』『日本と西欧の五〇〇年史』は、KGBロスケとしての作品。後者の三冊は、強烈なスターリン史観一色。