ウクライナで戦死した日本人義勇兵ドブレ氏(享年28歳)を称讃し、岸田文雄総理よ、全国民に向け追悼演説をなせ!──国家は、その民族が発露する高貴なる道徳精神の輝きによってsustainされ、永続する基盤と未来を与えられる

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筑波大学名誉教授  中 川 八 洋

 日本人義勇兵「ドブレ」氏(仮名、福岡県出身)が、去る11月9日、ウクライナ戦場で、侵略軍ロシアの凶弾で戦死された(州都ドネツクから西67kmの激戦地バフムート? 迫撃砲が直撃?)。享年28歳。無念である。実に悲しい。その最期の光景は、いずれウクライナ政府から発表されるだろうが、代われるものなら代わって上げたかった。

 私はもう77歳。しかも2月24日の開戦と同時に、三千人ぐらいの日本人義勇兵に混じり込んでロシアと戦うのを人生の最終幕と決めたので、落下事故から(重量物を担げない)○○損傷しなかったら(今も毎日数回痛むが、ウクライナが勝利するまでレントゲンは撮らない)、一人でウクライナに渡航し、前線の戦闘戦場でなくともウクライナ軍兵舎の掃除・洗濯・ライフル銃その他の小火器修理など雑用兵としてウクライナ領土防衛軍(二軍)に潜り込んでいただろう。

 11月11日、ドブレ氏の冥福を祈るべく、(ビルの四階ほどの高さの)屋上に西方のウクライナに向け半旗の日の丸を掲揚し、大伴家持の「海行かば」を思い切り数回熱唱させて頂きました。涙が止まりませんでした。自己犠牲の最高の美徳を顕現された偉大なドブレ君は“日本国の誇り”。彼の英雄としてのその安らかな永久の眠りは、本来なら国挙げての称讃と追悼と慰霊に包まれるべきもの。来年11月9日の一周忌、私は白菊の花束を供えに参ります。

 また、日露戦争の必勝を賢所に祈願され続けた明治天皇の御霊に、“日本のサムライ”「ドブレ」氏の勇士ぶりをご報告すべく、近く明治神宮を参詣します。いずれあの世で、同氏の武勇伝を拝聴させて頂くのを心待ちにしています。彼より四日前11月5日に戦死された、ドブレ氏の戦友・曽聖光氏(享年25歳、台湾人、故郷は花蓮)も合流して頂ければ、三名となり賑やかになります。

 なお、明治神宮参詣時に捧持するドブレ氏の遺影は、明治神宮で明治天皇からご嘉賞を賜わりたく、車の運転席で敬礼している写真を選びました。額縁は少し華やかなものにしました。元来は総理・岸田文雄がなすべきこと。が、ドブレ君、老いた世捨て人の私で大変申し訳ないが、我慢して頂きたい。但し、紋付き羽織袴の正装で行います。明治神宮の参道では、私一人ですが、行進させて頂きます。日章旗とウクライナ国旗の旗手は雇います。

戦後日本の戦死第一号は中谷坂太郎、戦後日本の義勇兵第一号は根本博・陸軍中将

 ウクライナの土になった偉大なドブレ君は、戦後日本における戦死第二号。また、戦後日本における義勇兵第二号“群”の一人

 日本人は劣化し続け、今では最小限の教養や知を身に着けている日本人を見ることはなくなった。最小限の教養とは、日本の歴史に関するイロハ知見のこと。日本人の知性は、家鴨や豚並みになった。とても人間には括れない。現に、現在の日本人は、戦後日本の戦死の知見すら無い。

 1950年6月の朝鮮戦争の勃発に伴い、日本は“米海軍の掃海部隊”として出動した。出動した掃海艇のうち一隻が、同年10月17日午後、元山沖にて機雷に触雷。中谷坂太郎・烹炊長が戦死。他の乗組員は「重軽傷18名、無傷4名」。香川県琴平町の金刀比羅宮の境内に、吉田茂総理が揮毫した「掃海殉職者顕彰碑」(1952年建立)がある。中谷坂太郎の名前も刻まれている。

 要するに、中谷坂太郎は、韓国を北朝鮮の侵略から守るために命を元山沖に散華した。なのに、歴代の日本の総理や外務大臣で、韓国に向かって「日本は朝鮮戦争に参戦した。日本人が一名、戦死した」と、胸を張って発言した者がいない。「無知なるものに、愛国心無し」。脳内劣等のお馬鹿ゴロツキばかりとなった日本の国会議員全員は、この箴言通り、欠陥人間どもの集合体。

 戦後日本の、義勇兵第一号が、根本博・陸軍中将であることは多少知られている。門田隆将『この命、義に捧ぐ』(集英社)等、ノンフィックション小説が三冊ほど出版されているからだ。1949年6月、根本中将は、台湾に漁船で密航し、金門島防衛の事実上の司令官だった。そして、丸三年間戦い、金門島が無事守り抜かれたのを確認して、日本に再び密航で帰国した。日本の検察は、国会でもこの密航問題が騒がれたから、根本中将の密出入国という違法行為を知っていた。が検察は、台湾防衛の偉大な功績を考慮して、逮捕も起訴もしなかった。

 ドブレ氏とは、この根本博・陸軍中将を正しく後継する日本国国籍を持つウクライナ陸軍の臨時軍人。何とかウクライナ陸軍“名誉少尉”に任官してもらえないかと、今思案している。

 さて、現在、ドブレ君以外、ウクライナ陸軍に馳せ参じた日本国籍の日本男児は、十名ちょっと。この在ウクライナ義勇兵には、twitter名「サーロ」「犬の飯」「Ren_Takeda」氏など。私は、彼らの無事・武運長久を、ウクライナの必勝と共に、毎朝、神棚に祈っている。

 思えば、台湾防衛に馳せ参じた根本博・陸軍中将ら数十名の日本人は、戦後日本の義勇兵第一号で、凶暴な共産主義者・毛沢東の毒牙から台湾を護らんとした古武士的なサムライ。一方、今般のドブレ君以下の日本人義勇兵もまた、ウクライナを十三世紀蒙古帝国型のロシア・ファシズムの毒牙から守らんと“自由と法と美徳”の大義に命を捨てる覚悟の一流軍人。まさに軍人の鑑。称讃以外の言葉などあろうはずも無かろう。

義勇軍参加妨害は、憲法第98条(第二項)違反!&日本人から道徳剥奪の“悪魔の共産党革命”

 しかるに日本国内。ドブレ氏の戦死第一報が届いた11月10日の翌11日午前9時、冬眠から覚めた蛙の眼をした人間失格男・松野博一官房長官は、ドブレ氏の訃報を事実と認めたが、戦死した英雄への追悼は一言もなかった。ウクライナ人大量虐殺“快楽病”の非人・橋下徹がテレビから放つ悪魔の狂気は、岸田内閣を隅々まで伝染してしまったのか。松野博一もまた非人の極み。

 そして、壊れたテープレコーダーでも今はしない、さる二月の日本政府の狂った声明「日本政府としては、ウクライナ全土に退避勧告を出しており、どのような目的であれ、同国への渡航を止めて頂きたい」を、松野は繰り返した。国際法と憲法第98条第二項に基づいてウクライナへの“危険を顧みない”義勇兵志願者には、“危険を避けたい”一般邦人向け危険区域渡航禁止勧告が適用されないこと事も解らない、超お馬鹿の青蛙が松野官房長官。お馬鹿以下の“赤い白痴”が岸田文雄。

 現在、ウクライナには、日本大使館が首都キーウに開設されており、大使以下の職員がそこで勤務している。仮にも、岸田/松野の退避勧告が、“どのような目的であれ”の、無制限な渡航禁止ならば、大使館を直ちに閉鎖しウクライナから出ていかせろ! なのに、松野であれ日本政府であれ、大使館は別だと、二枚舌で退避勧告の例外に位置づけている。

 ならば、ウクライナへの日本人義勇兵は、この例外の最たるものと扱わねばならないのは自明。しかも、日本人義勇兵の行動は国際法に則っている。故に、彼らの行動は、日本の国内法の最高法規つまり憲法第98条第二項に従った“合法の中でも特段に合法”となる。それは、翻せば、日本人義勇兵の行動を妨害する松野博一・官房長官や岸田文雄内閣の方が、重大な憲法第98条第二項違反を犯しているトンデモ無法者のヤクザだということ。

 このように常識も人間が持つべき道徳も欠く内閣だから、この内閣の長・岸田文雄は、G7の首脳の中で、今ではキーウを訪れていない“世界一の反ウ”総理になってしまった。外務省は、直ちに対ウ渡航制限は「ウクライナ支援、国際法の義勇兵、報道」の三分野を除く、と正しい宣言を出せ! そして、これまで“みそ糞一緒”に、この三分野を他の三分野「ウ観光、対烏ビジネス、対ウ学術文化交流」と一緒にしてきた九ヶ月に及ぶ狂った領事政策を、岸田文雄よ、日本国民とウクライナに詫びよ! そして、この詫び演説をもって直ちにキーウに飛び、ゼレンスキー大統領との激励と支援の会談を持て! これこそが日本国の総理として当然の行動。

表1;渡航制限勧告の対象外「三分野」を圧殺する外務省の反・正義と無法

 なお、憲法第98条第二項とは、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」である。

ドブレ氏を追悼しない腐臭を放つ日本人。道徳的精神を喪失し野獣に化した現在の一億日本人

 上記の松野官房長官の発言に伴い、もう一つ重大な問題が発覚した。それは、松野博一が、日本人義勇兵の戦死を確認する時、この日本人義勇兵に対する追悼や慰霊の片言隻語すら発しなかったことに仰天した日本人が一人もいなかった、恐ろしい光景のこと。日本人の人格が、今ではロボットや野獣など非人間に改造されているのは、もはや疑問の余地が無い。

 人間が人間的であるのは、人間が道徳の心と精神とを有するからである。かく考えれば、日本人は道徳を完全に喪失している。日本人は道徳と一体の人間的な精神を消滅せしめている。この最大の原因が、日本の学校教育と学校教科書で、“反道徳の狂人”ルソー/ニーチェ/マルクス等をさも立派な哲学者かに教える極左洗脳教育によるところが大きい。ルソーが人類初に“道徳を一掃的に破壊尽せ”とアピールしたことなど、小学校五年生でもルソー『人間不平等起源論』をパラパラめくれば直ぐわかる。ニーチェが無道徳社会を夢想したことぐらい、中学生一年生がニーチェ『善悪の彼岸』『道徳の系譜』をパラパラめくればすぐ理解できる。

 しかし、無学無教養な究極の劣等人種に転落した日本人は、1997年に入ると、共産党以上に極左反日のニーチェ/ヒトラー系アナーキスト西尾幹二と一緒になって、歴史教科書の日本共産党史観化“改悪”運動に参画し、さらにはそれを通して日本人から道徳を排撃する無道徳運動にのめり込んでいった。その多くは、対ロ売国奴団体・日本会議の会員がほとんど。民族系は共産党の亜種で、日本にとって有害人士の集団である。

 ニーチェを信仰する精神異常者・西尾幹二の教科書“日本共産党史観”化運動や、(その実はマルクス・レーニン主義である)表看板「大東亜戦争肯定」「東京裁判糾弾」を日本人に摺り込むのが、“悪魔の共産党系スーパー極左”日本会議の正体。共産党主導の学校教育の赤化攻撃に耐えてかろうじて微かに残っていた日本人の道徳は、この日本会議の運動によって止めを刺され、完全に消滅した。それはちょうど2000年だった。2000年以降、日本人には道徳が散見できなくなった。

(備考)なお、2000年の年頭、ロシアでは計画経済が大嫌いな“第二のチンギス・カン”を夢想する独裁者プーチンが大統領になり、世界制覇の準備を開始した。一方、日本はこのプーチンに呼応して国家死滅に走り出した。森喜朗/安倍晋三/鈴木宗男の自民党KGB三羽烏の大暴走も、この2000年に始まった。

 日本全体を日本共産党の命令に従わせ、ルソー/マルクスの教義に洗脳し、日本人を無道徳人間に改造する手段は、学校教育だけではない。現在の憲法第九条の国防軍否定条項を宗教経文化する国防軍否定主義も、道徳を自然的に溶解して消滅させる超・福祉国家路線(田中角栄により1973年4月に始まる)も、日本人から道徳を剥奪するに決定的に作用した。後者についてはレプケの『Welfare,Freedom and Inflation 』(邦訳仮案『福祉国家の代償──自由の喪失と恐怖のインフレーション』)を読んでもらうことにして、本稿では割愛する。

 スターリンが創った日本史上空前絶後に最も狂暴凶悪なカルト宗教団体・日本共産党の革命目的は、一億日本人を共産主義的人間にならなければ皆殺しすること、及び徐々に共産主義的人間に自己改造するよう日本人から道徳を剥奪すること。後者の共産党の道徳剥奪運動の筆頭こそが、憲法第九条に国防軍設置を明記するのを妨害して絶対にそうさせない運動。すなわち、共産党の第九条神格化・宗教化運動とは、直接的には①日本列島を露・中・北鮮で分割占領し日本人の日本国の永久絶滅を目指すものだが、実は②日本人から道徳を剥奪して日本人を動物化するためでもある。

 多少の良識ある日本人は、①を直覚して共産党の九条宗教化運動を非難するが、②に関しては、私の知る限り、これに戦慄して真正面から取り組んだのは杉田一次(陸幕長、終戦時は陸軍参謀本部情報部のエリート軍人)と中川八洋の二名のみ。杉田・中川が1980年代、二人だけの勉強会を適宜開いたのは、「国防軍無しには軍人は存在しえない」「国防軍無しには日本人から道徳が消滅する」「よって国防からも日本人の人間性護持からも、第九条第二項を削り、そこに国防軍設置を明記する」の学術的な研究。

 この研究の結論を簡単に言えば、国防軍とは、“軍人”からなる実力組織で、それは国家を守るに自らの生命より“国家の永続”という大義の方が価値が高いとする、自己犠牲の道徳の精神を顕現化させる組織である。逆に言えば、国防軍が無い日本のような国家は、「国家を守るに国民が自らの生命より“国家の永続”という大義の方が価値が高いとする自己犠牲の道徳の精神を顕現しない(不在とする)」思想を標榜することになるから、当然に「“国家の永続”という大義」を否定することに一直線に繋がっていく。

 それは畢竟、日本国をして道徳不在が是となったor反・道徳を理念とする反・国家に爆走させる。その行き着く先は、ルソーやマルクスやニーチェが目指した無道徳人間(動物化した非・人間)が集合する社会が現出する。現在の日本がすでに半分そうなっているが、無道徳人間からなる社会とは“屍体となった人間が蠢く社会”で、ルソーやマルクスが描いたユートピア「共産社会」とはこれ。

(備考)なお、安倍晋三とは、スターリン狂の祖父(安倍寛)と父(安倍晋太郎)を継ぐその三代目で、狂信的な共産主義者。スターリン直系の志位和夫とは思想における兄弟関係。表面上の両名の兄弟げんかに目を奪われて、両名が血がつながった兄弟である事実を見誤ってはならない。要は、安倍晋三は、憲法第九条を「国防軍設置」に正しく改正をさせないために自衛隊を明記するのである。

 自衛隊を憲法に明記することは、日本は、非・国防軍で非・軍人(国家公務員)の警察組織しか持てないことが憲法の定めになるので、現在より日本の国防状況は大きく悪化する。現状の自衛隊は、自衛隊に関する憲法条項が無いので、有事には「国際法上の軍隊とする」と政府が宣言すれば、自動的に自衛隊法が無効化され、自衛隊は国際法上の実力組織となり、実態的に国防軍として行動することができる。

共産党の真赤な嘘宣伝「刑法93条は義勇軍禁止の定め」に騙された“超アホ馬鹿”な一億日本人

 このように、「国防軍設置明記」に憲法第九条を正しく改正させない共産党の共産革命運動と、今般の共産党による嘘八百のプロパガンダを流しての義勇軍派遣絶対阻止運動とは、軌を一にする。なぜなら、両者とも、国防否定につながる道徳破壊運動だからだ。国防は道徳の顕現なしには成立しない。道徳を否定されれば、国防はシャボン玉のごとく瞬時に破裂して消滅する。

 即ち、今般、“共産党の操り人形”岸田文男の日本政府がなした、ウクライナへの義勇軍派遣禁止は、一部の日本人若者がウの国防のために自分の生命を捧げても構わないとの自己犠牲という最高の道徳を顕現しようとしているのを、わざわざ流言飛語の嘘八百を流してそうさせない反・道徳の極みを実行させる政策だから、それはウクライナの国防否定に通じた恐ろしい反・正義/反・国際法の狂気の対外行動である。

 また、ウクライナの国防に対する若い日本人のこの道徳の顕現を禁止することは、日本の国防におけるこの道徳を顕現させないことに相通じており、日本人が日本国を護るための国防行動を禁止する前例づくりになっている。これはさらに、日米同盟の破棄にも通じている。日米同盟とは、米国の若者が、日本国を防衛するために日本に駐留して、ロシア・中共・北鮮の核弾頭を雨霰と浴びて死んでもいいとの、その生命を日本防衛のために差し出す自己犠牲の最高の道徳において成り立っている。道徳なしには、同盟もまた消滅する。同盟とは、“一緒に死のう”の《死の覚悟を共有する最高級の道徳的精神》において初めて成立する。

 ロシア・中共・北鮮の対日核脅迫(核恫喝)に対して、日本が戦わずして白旗を揚げ即時降伏するよう全力をあげている“悪魔のカルト宗教団体”共産党が、義勇軍派遣や義勇兵について、荒唐無稽な嘘八百を流すのは、日本人が降伏せず闘う/核恫喝には屈しないを形成する道徳を、日本人からすっかり剥奪する深謀遠慮から精緻に考案されている。即ち、われわれ健全な日本人が一丸となって、断固として義勇兵をウクライナに大量に送る土壌と思想を日本に再生しない限り、日本有事に、日本国民が日本防衛に立ち上がることは万が一にもない。

 上記の「日本が戦わずして白旗を揚げ即時降伏するよう、日本人を洗脳する“悪魔のカルト宗教団体”共産党が流す」「義勇軍派遣や義勇兵に関する荒唐無稽な嘘八百」の代表に、「義勇兵参加は、刑法93条が禁じている」というスーパー嘘八百がある。烏が鳴かない日はあるが、共産党員・共産主義者は必ず一日十回は嘘を吐く。このスーパー嘘八百「義勇兵参加は、刑法93条が禁じている」は全て共産党員が流布したもの。

 刑法93条の「私戦」とは、幕末の薩摩藩が幕府の許可なくおっぱじめた薩英戦争を事例に、政府を無視して外国と戦争する、そのような戦争を指す。つまり、個人ではなく、県などの団体が起こす(現実には不可能な)戦争を準備することの禁止と罰則の定めが私戦準備罪である。が、現実にはこのような戦争準備をする地方公共団体などなく、刑法第93条は起草と同時に死文であった。

 これが死文なのは、1949~52年の丸三年間、台湾の金門島防衛の事実上の司令官を務めた“義勇兵”根本博・陸軍中将に対し、検察も警察も、この93条適用を煙ほども考えなかった事実で十全に証明されている。当時検討されたのは、根本が犯した密出国/密入国の違法行為のみ。が、警察・検察はこれを検討したが、密出入国を問わないとの結論に達した。

 また、ISに入りテロリストになるべくシリアに渡航しようとした北大生を警察は「刑法93条」で逮捕して、彼の渡航阻止に成功した。が、送検された検察はこれをナンセンスと一蹴し直ちに不起訴にした。テロリスト志望者を規制することもできないお門違いの法律条項で、国際法が認める“ウクライナ陸軍への義勇兵としての参加”を、どうやって禁止したり罰したりすることができるというのだ。共産党発の悪質な偽情報は、笑止千万はなはだしい。

日本の若者よ、安心してウクライナ義勇軍に馳せ参じよ。法的トラブルは全て中川八洋が引受ける

 マスメディアは共産党が独占的に支配しているので、あらゆる機会を通じて悪辣極める真赤な嘘脅迫「日本人義勇兵は、ウクライナから帰国後に私戦予備罪で逮捕されるぞ」を流布する。刑法第93条が義勇兵には全く適用されないことは、法理論的イロハなのに。

 そこで、基本的な常識を一つ紹介しておく。テロリスト対処は警察庁の所管。故に、警察は2014年8月に、シリアのテロ団体ISに参加してテロ行為をしようとしたテロリスト志望の北大生らを逮捕し、彼らのシリア渡航を不可能にした。が、公訴時効の五年が経つ直前2019年7月3日、警視庁公安部は、刑法第93条「私戦予備罪」の被疑事実で書類送検した。が、検察は一顧だにしなかった。直ちに不起訴処分に付した(2019年7月22日。書類送検から二十日も経っていない。一種の送検不受理)

 この検察の判断は正しい。私戦準備罪とは、国家でない者が外国に対し戦争を企て、日本国の対外的安全を毀損する準備を罪とする条項。つまり、テロリスト志望者がシリアやイラクでいかに激しくテロ殺人をやろうとも、それは日本国の国際的信用を大きく毀損するが、日本国の安全にはいかほどの影響もない以上、適用することはできない。警察は、海外に渡航する日本国籍テロリストの渡航を阻む法律が完全に欠如している情況を糺す法的整備を怠り、明らかに無関係な法律条文で、この渡航を阻止する違法逮捕をなした。渡航阻止は正しい警察行為だが、私戦予備罪「適用」は決定的な間違い。重大な違法の極み。

 一方、義勇軍の所管は外務省。外務省は国際法が主体であり、国際法に照らして違法か否かを判断する。ウクライナ軍に参加する義勇兵志望を是とする国際法はあるが、非とする国際法などない。よって外務省には、義勇兵志望日本人の渡航を認める以外の方策はない。が、岸田内閣が恣意的に義勇兵参加を禁止としたため、外務省はやむを得ず一般邦人の観光・ビジネスに適用する(罰則がない)渡航制限勧告で、この義勇軍参加妨害を行なった。それでも、2022年の外務省は、2014年の警察のごとき、お門違いの馬鹿げた「私戦予備罪」など持ち出してはいない。

 つまり、現在、ウクライナ在留“日本人義勇兵”に新聞テレビやネットが流している「私戦予備罪に問われるぞ!」は、義勇兵希望者をたじろがせるため、実は共産党が流しているダーティな脅し。既に義勇兵の諸君! これから義勇兵になろうとする諸君! このような悪辣な脅迫など無視すればいい。仮に外務省や警察庁との間で、何らかのトラブルが起きたら、いつでも私に連絡されたい。官庁との法的トラブルは全て私が引き受ける。

「日本は義勇軍をウに派遣せねば、日本国の国防が脆弱化する」──義勇軍三部作のモチーフ

 このブログで私は、日本人が特段に無知蒙昧な義勇軍について、本稿を含め三本発表した。

○第一作;「“美徳の日本人勇者”義勇軍を潰す無道徳な非国民をロシアに叩き出せ!──国際法《ハーグ陸戦法規慣例》が定める義勇軍を否定する日本は、侵略ロシアと同じ野蛮国」、3月7日up。

○第二作;「“日本の誇り”ウ義勇軍参加《日本人若者三名》に対し、岸田総理よ、称讃と労いの感状を贈れ!」、3月30日up。

 本稿の第三作と共に、読者は、前二作をもう一度、熟読玩味されたい。

                                              (2022年11月19日記)

 

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